飛ばなくても強い、青木瀬令奈のプレースタイル
飛ばなくても強い、青木瀬令奈のプレースタイル
配信日時:2018年9月1日 02時53分
緻密で頭脳的なプレースタイル
ここ数年のスタッツを見てみると、伸びたとはいえドライバーの飛距離は平均以下で、昨年は225.88ヤードとツアーで83位だった。そのかわり、フェアウェイキープ率は高く、71.96%とツアー6位。長い番手を持つことの多い青木にとって、セカンドをライの良いフェアウェイから打つことはプレーを優位に進める条件だろう。平均パット数は24位(※1Rあたりでは3位)、リカバリー率は12位とショートゲームの冴えがスタッツにも表れている。そして特筆されるのがバーディー率で、ツアーで18位と飛ばし屋プロたちと比べても遜色ない位置にいる。
ここからわかるのは、ティショットで確実にフェアウェイを捉え、グリーンを外してもパーセーブしつつ、バーディーチャンスは確実にものにするという堅実なプレースタイルだ。ドライバーをドーンと飛ばして、ウェッジでピンハイを狙う豪快なゴルフとは異なる、緻密で頭脳的な試合運びが青木の持ち味だ。飛ばし屋とはまた違ったプロらしさを持っていると言えるだろう。
ツアーを転戦するカメラマンに聞くと、対応が気持ち良いプロとして「青木瀬令奈」は頻繁に名前が上がる。彼女のTwitterやInstagramなどのSNSを見ても、仲間の女子プロの勝利を喜び、ファンに感謝を欠かさない姿が垣間見える。優勝争いでは、相手に左右されずひたむきにプレーする姿が印象的で、惜敗したサマンサタバサレディースや北海道meijiカップでは、試合後の爽やかさも印象的だった。他にはあまり見られない、プロアスリートとしての“徳”を感じさせる稀有な選手なのだ。
結果に一喜一憂せず、笑顔を絶やさずに1打1打に集中するプレーは、アマチュアのお手本にしたいところだ。シーズンも終盤に差しかかり、そろそろツアー2勝目の気配も漂わせている。