ボーケイ『SM10』ウェッジが3月8日デビュー、下手なアマでもスピン性能は体感できるのか?
タイトリスト『ボーケイ・デザインSM10』ウェッジを体験した!
配信日時:2024年1月24日 09時50分
タイトリスト『ボーケイ・デザインSM10』ウェッジを体験した!
アクシネットジャパンインクが「世界中のツアーで使用率No.1を誇るボーケイ・デザインウェッジから『SM10』を3月8日に発売する」と発表し、24日に千葉県のゴルフ場でメディア向けの体験会を開催した。3種の仕上げ、3種のシャフトとも税込27,500円で前作と同価格にキープしており、今作から新色『ニッケル』も採用している。
冒頭から「『T100』アイアンのPWと、『SM10』の同じロフトのスピン差を見せたい」と担当者。昨今はセットのPWを抜いてボーケイを入れる選手も多く、一般に「別売ウェッジの方が同じロフトでもスピンが多い」との認識がある。そのため、同ロフトでも「飛ばずに距離のギャップが大きくなるのでは?」と見る向きも。
記者もその口だが、学生時にゴルフ部主将だった担当者がトラックマン計測で同一長さ・ロフトを打ち比べると、『T100』のPWが平均8,960回転、『SM10』の46°は8,640回転と遜色ない結果に。『SM10』は前作と同じTX9グルーヴが採用されたが、細かな製法の変更で「SM9より0.5°打出しが低く、約300回転増えた」という。
プロや上級者の一部にも「PWの代わりに別売ウェッジにすると飛ばない」という声が出るのは「ウェッジ形状だと無意識に振りを抑えてしまう」ことも一因とか。そのため、今作『SM10』の立ったロフトはアイアンとの繋がりが良くなるよう、『SM9』よりひと回り小ぶりでストレートネックに形状を見直している。
「平らなフェアウェイのドライ条件でクリーンに打つと、『T100』のPWと『SM10』で最大スピン量に差が無いことが分かりますが、差が出るのはラフやバンカーの場合。『SM10』のTX9溝ではドライ条件の8割程度のスピン量をキープできますが、アイアンのPWは半分程度になるため、フライヤーを抑えたい選手はボーケイを選ぶことも多いです。好みがプロとアマでも分かれますね」
ここで疑問が。PGAツアー選手の多くがノンメッキを使用する状況から「市販のメッキ品でも選手はフライヤーを減らせるのか?球乗りのいいノンメッキだから止まる部分もあるのでは?」と問う。すると、担当者もフィッターの黒木氏も「ツアー選手のノンメッキ品も市販品も、ボーケイの場合、同ロフトでスピン量に全く差はない」と、即座に否定する。
「メッキを剥がすと違反になるくらい、メッキ後にルール適合内に収まるよう、市販のボーケイの溝は計算されています。選手がノーメッキを使うのは、ソールのグラインドに対応するためで、両者ともルール内の極限までスピン性能は高く作られています」と担当者。スピンについて議論は白熱し、担当者は1000球打ったモノと新品のデモも披露。
2本とも同じ『SM9』の58.08Mだが、1000球打ったモノは平均9,995回転なのに対し、新品は10,899回転と、約900回転の差が出た。担当者は「打点や入射角など誤差の範囲と思われるかもしれませんが、1000球は約50ラウンドに相当する打数で、これでも打点しだいでスピンの差が出て、飛んだり飛ばなかったりが発生する可能性があります」。
熱処理が施されたTX9グルーヴは元々溝の耐久性に優れるとのことだが、1000球で見た目にそんなにダメージがなくても1割弱ダウンとは意外。ちなみに、記者の12年モノの52°の摩耗を見た黒木氏は絶句。当たりが悪いと5,000~8,500回転と激しくスピンがバラついたが、新品の『SM10』は8,500~9,300回転とショットが荒れても“激減”がなかった。
黒木氏によれば、熱心な上級者なら「1年に1本はSWを替えるイメージ」で、アベレージ層になると「SM8やSM7をお使いの方もかなり多い」。担当者も「1,000回転はアイアン1番手の差なので、飛んだり飛ばなかったりを見直したい方にはぜひフィッティングをお勧めしたい」と言う。黒木氏も頷き、記者に助言をくれた。
「溝は徐々に摩耗してくるので、使用を重ねる中で、それなりに距離感や止まり方に慣れるものかと思います。ですが、記者さんのレベルまで摩耗すると、新品に替えた時に距離のギャップが壊れて一時的にスコアが悪くなるリスクもあります。なので、スピンや距離のギャップに差が出ないよう、ある程度、均一なスパンで替えるのがお勧めですね」
前作『SM9』はおろか、『SM4』時代からボーケイをスルーし続けてきた記者にとって、新しい『SM10』が旧作とどう違うか?は正直、分からなかった。が、使い込んだ12年モノのマイウェッジで戦えないことだけはハッキリと認識できた。(編集部M・K)