日本ツアー通算28勝を誇り、永久シードにあと2勝と迫っている申ジエ(韓国)。ツアー屈指のテクニックと経験を持つクラブセッティングについて、本人に直撃取材した。
ドライバーは昨年から『タイトリスト GT3』(9度)に『ジ・アッタス V2』シャフトを採用している。どんな意図で新モデルを投入したのだろうか?
「(決め手は)小さい顔。小さすぎる顔が好きです(笑)。小さいヘッドの方が弾道を操れます。大きいヘッドだと、(自分でコントロールできずに)ドーンと飛んじゃう。あくまでヘッドは、自分の感覚が分かるものがいいですし、ミスがミスと分かるヘッドがいいです」
『GT4』も試したがスピン量が少なく、『GT3』の方がスピン量がある程度確保できたため、こちらをチョイスしたという。「(ヘッド内の)ジェルを入れる場所をいろいろ変えて(『GT3』『GT4』など)7個も試して大変でした」と語る通り、ジエの理想とするつかまり、スピン量に仕上げられている。
『ジ・アッタス V2』は新たに投入したモデル。「『GT3』のヘッドに合わせて選びました。以前は(『スピーダー569 EVO4』などを使用した)フジクラを10年以上を使っていましたが、最近のヘッドは球離れが早くて弾道をコントロールしづらい。鈍感な『ジ・アッタス V2』が『GT3』にマッチしたんです」。
そして、ジエからはタイトリストとUSTマミヤのスタッフへの感謝の思いがあふれ出る。
「とにかく2つの会社のスタッフの方がすごく頑張ってくれました。その気遣いが分かるので、絶対に使いたかったんです。昨シーズンの夏くらいからいろいろ調整を重ねて、本当にすごくいいものに仕上がったと思います」
アイアンは長い間、『APEX TCB』ヘッドに『ツアーAD 65ll S』シャフトを採用している。このモデルにはかなり厚い信頼を寄せているようだ。
「『APEX TCB』はもう5年目です。こちらもヘッドが小さいのが一番の決め手。大きいのは、(弾道を操れないしミスが分からないので)ゴルフが楽しくないんです。顔で言えば、トップラインはちょっと膨らんだものがいい」
アイアンへのこだわりはソールの出っ張り、バンスにもあるようだ。「バンスがある方が抜ける感覚がある。他のモデルはバンスがないので、使うのが厳しいですね」。
しかも『ツアーAD 65ll S』については10年以上も使っているという驚く。「私は硬くて軽いのが好きですね、重く軟らかいのは(ヘッドコントロールができないので)ダメです。いいとか悪いとかはなくて、私に合っているんです」。
ウェッジのロフトバリエーションは50・54・60度でタイトリスト 『ボーケイ SM10』を使用。常時いろいろなモデルを試しているが、今はこれが本命のようだ。50度はバンス角12度、54度が10度、60度が14度とかなりハイバンスのクラブを使用している。
「ウェッジも小さいヘッドが好き。アイアンと同じでハイバンスがいいです。ローバンスだとバンスを芝に当てるタイミングで変わってしまいます。いろいろな弾道を打ち分けるので、私はバンスがある方がやさしいんですね」
老練なテクニックを駆使するために、日々ギア調整を丹念に行っているジエ。ギアへの思考と調整への取り組みこそ、アマチュアの上達のヒントになるに違いない。
【申ジエのクラブセッティング】
1W:タイトリスト GT3(9度/ジ・アッタス)
3・5W:テーラーメイド ステルスプラス(15・19度/スピーダーNX 50S)
4・5U:テーラーメイド ステルス2レスキュー(22・25度/MCH 60 S)
6I~PW:キャロウェイ APEX TCB(ツアーAD 65ll S)
50・54・60度:タイトリスト ボーケイSM10(N.S.PRO 850GH S)
PT:スコッティキャメロン スタジオスタイル ニューポート
BALL:タイトリスト プロV1
(開幕戦の練習日に撮影)
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