昨年から米女子ツアーに挑戦しており、今季のシード権を獲得して初優勝を狙う西郷真央。フリー契約である彼女のセッティングの詳細をレポートしたい。
ドライバーは『タイトリスト GT3』(10度)に『ジ・アッタス V2 5S』シャフトを採用。以前は『パラダイム ◆◆◆』を使用していたが、なぜ変更したのだろうか? ギアに詳しいクラブフィッターの吉川仁氏に分析してもらった。
「『GT3』は『GT2』より小さいヘッドで、初速が高くてかなりボールスピードアップできると思います。また、操作性が高いモデルで、左右に曲げたり、弾道高さを変えたい意図が見られますね。シャフトも同じように弾道を操れるモデル。『ジ・アッタス V2 5S』はクセのない中しなりで、全体は硬くないシャフトです。先端剛性が高いため、ボールを押し込むこともできますね」
5W、7Wはヤマハの『RMX VD/F』(18・21度)に『ジ・アッタス V2 6S』シャフトを採用。ヤマハのフェアウェイウッドは以前から愛用するモデルだ。
「このフェアウェイウッドは飛距離と弾道高さが特徴です。フェースには反発性能が高いβチタンを採用していて、かなり飛距離性能が高い。また、タングステン装着で低重心化しているので、ボールも上がりやすいですね。スピンが入らずに強い球が打てます。打点上目だと低く打ち出せて、打点下目だと高い球が打てる。操作性が良くて飛距離を出せますね。『ジ・アッタス V2 6S』は先端がしっかりめで、中がしなるので弾道をコントロールできるシャフトです」
ユーティリティは4・5Uに『G425』(22・25度)に『LIN-Q 7S』を採用。「ピンのユーティリティが女子プロでも人気な点に驚きますね。本当に楽なユーティリティで、上がりやすくて何でもできる印象です。あとは、顔を気に入るかどうかだけ。他のメーカーのユーティリティは球が強いけど、スピンが入りづらいので、ピンのユーティリティが選ばれるのでしょう。シャフトの『LIN-Q 7S』は剛性が高く硬く先端が動かないので、シャフトは方向性重視ですね」
アイアンは『JPX923フォージド』に『N.S.PRO 850GH neo S』シャフトを採用。吉川自身も絶賛するアイアンだと語る。
「『JPX923フォージド』はミズノ独特のネックと一体成型で、打感がかなり柔らかいモデル。5~7番はクロムモリブデン鋼、8番~PWは『S25CM』をフェースに使用しているので、柔らかいけど上の番手では飛距離も出ますね。『N.S.PRO 850GH neo S』は、先端が動かないので、方向性重視なのが伺えますね」
吉川がセッティングで異彩を放っていると指摘するのが、『ボーケイSM9』ウェッジと『オデッセイ ホワイトホットOG ROSSIE』パター。どちらもバックフェースに鉛を貼っているのは、現在では珍しい傾向だと語る。
「ウェッジは全般的にトゥ側に当たっており、”死球”で柔らかい球を打ちたい意図が見られます。48度と58度は鉛を貼っており、ヘッドの重さを生かしてゆったり振りたいのでしょう。また、パターもマレット型でソール全体に鉛を貼っています。こちらも重いヘッドでゆったりストロークする傾向が見られますね」
フリー契約で独特なクラブセッティングに仕上げている西郷。愛用ギアを駆使して米ツアー初勝利に輝く日を見てみたいものだ。
【西郷真央のクラブセッティング】
1W:タイトリスト GT3(10度/ジ・アッタス V2 5S)
5・7W:RMX VD/F(18・21度/ジ・アッタス V2 6S)
4・5U:G425(22・25度/LIN-Q 7S)
6I~PW:ミズノ JPX923フォージド(N.S.PRO 850GH neo S)
48・54・58度:ボーケイSM9(N.S.PRO 950GH S)
PT:オデッセイ ホワイトホットOG ROSSIE
ボール:ブリヂストン ツアーB XS
◇ ◇ ◇
川崎の14本のセッティングを分析。関連記事【24年シーズン3勝・川崎春花の14本を分析! なぜ1WもUTもアイアンも古いモデルを使うのか?】を読めば、強さの秘密がわかります。