今季でツアー撤退する上田桃子の14本を分析! 2016年発売の3W、15年発売の4U、16年発売のアイアンと古いモデルを好むのはなぜ?
今季でツアー撤退を表明した上田桃子。長年活躍して通算17勝を記録した彼女の独特なクラブセッティングを詳しくレポートしたい。
配信日時:2024年12月19日 02時00分
今季でツアー撤退を表明した上田桃子。長年活躍して通算17勝を記録した彼女の独特なクラブセッティングを詳しくレポートしたい。
ドライバーは『パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆』(10.5度)に『ツアーAD GC-5S』の組み合わせ。3Wは『HOT PRO 2016』(15度)に『ツアーAD PT-6SR』を採用している。そんな彼女のクラブについて、クラブフィッターの吉川仁氏に詳しく分析してもらった。
「強い球が打ちたい感じが伝わるセッティングですね。スタンダードですけど、ドライバーと3Wは飛距離を重視しています。いずれもシャフトはスタンダードなクセのないもので、ヘッドの飛距離性能を最大限生かしたいのだと思いますね」
特に、3Wはシャローなフェースで上がりやすいが、強い球で前に飛ばせる。コントロール重視のシャフトを使って方向性を確保しつつ、ヘッドで飛距離を出す意図が見られる。
5Wから下は異なるテイストのセッティングだと語る。5Wは2016年発売の『APEX UW』(19度)に『ベンタスTR RED 6R』を採用。また、4Uは15年発売の『タイトリスト 816 H1 2015』(23度)を使用している。その下のアイアンにおいては、5Iでは『APEX DCB』を、6I~PWでは16年発売の『APEX 2016』を使用しており、シャフトはともに『N.S.PRO 950GH SR』を挿している。
「5Wから下はボールの高さを重視していますね。5Wのシャフトは先が動くモデル。『APEX UW』は、UTの性能も備える操作性重視のつかまやすい重心設計です。弾道をコントロールして色々な球筋を打ちたかったのでしょう」
4Uも16年発売の古いモデルだが、上田のこだわりを感じる1本となっている。「構えた瞬間に球筋のドローボールが出やすい、もう手放せない相棒なのでしょう。狙った距離を打てるクラブで、昔のユーティリティの飛び方が気に入っていて変えられない。最新ユーティリティだと飛びすぎてコントロールできません。今の女子ツアーのグリーンが硬いので、高さで止めないとオーバーしてしまう。飛びが必要ではないんですね」。
アイアンは16年発売の『APEX 2016』を長く愛用しているが、ソールが特徴的だ。「リーディングエッジとトレーディングエッジを削っているので、ソールが滑りやすい。ソール後方のバンスが多いと跳ねてしまいます。打点が刻まれたアイアンは、自分の思った距離が出てくれるまさにマイ名器といえるものです。『N.S.PRO 950GH SR』シャフトはボールを上げられてつかまえやすく、ドローが打ちやすいですね」。
古いモデルをあえてスタメンに選んでいる上田のセッティング。「プロの感覚とそのクラブの飛距離性能がピッタリ合っていて、距離感が体に染み付いているから、使用し続けるのだと思います。特に5Wから下のピンを狙う番手では長年使用するモデルが目立つのがその証拠ですね」。最新が最良とは限らない。新しいクラブに飛びついては、沼にハマっていくアマチュアには参考になりそうだ。
【上田桃子のクラブセッティング】
1W:キャロウェイ パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆(10.5度/ツアーAD GC-5S)
3W:キャロウェイ X HOT PRO 2016(15度/ツアーAD PT-6SR)
5W:キャロウェイ APEX UW(19度/ベンタスTR RED 6R)
4U:タイトリスト 816 H1 2015(23度)
5I:キャロウェイ APEX DCB(DG95 S200)
6I~PW:キャロウェイ APEX 2016(N.S.PRO 950GH SR)
50・54度:キャロウェイ Xフォージド 2017(N.S.PRO 950GH SR)
58度:キャロウェイ オーパス(DG105 S200)
PT:オデッセイ トライビーム ダブルワイド
BALL:キャロウェイ クロムツアーX
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