今年から米女子ツアーに参戦し、デビュー戦でいきなり4位に入った山下美夢有。彼女のセッティングを撮影すると、面白いギアを発見。その内容をレポートしたい。
ドライバーは新モデルの『スリクソン ZXi LS』(9度)に『スピーダーNX グリーン 40SR』を採用。山下のセッティングをクラブフィッターの吉川仁氏に詳しく分析してもらった。
「以前のモデルより浅重心のLSヘッドに替えたのは、強い球を打ちたいのでしょう。米国は下が硬いからランが出た方が飛距離が出ます。シャットフェースで上げてロフトが立つスイングなので、もっと強い球を希望したのだと思います。シャフトの『スピーダーNX グリーン』の40SRを使うのも特徴的。やや先が動いてくれるので、球が上がりやすいでしょう。以前より40g台と軽くして速く振れるスペックにしていますね」
3Wと5Wは以前と同じで、『スリクソン ZX Mk II』(15・18度)にドライバーと同じシャフト『スピーダーNX グリーン 50SR』を使用。「フェアウェイウッドではドライバーより重いモデルの50g台を使いますが、上から厚く入れられますね。硬度をSRにしているのは、切り返しで間が取れるんだと思います」
アイアンは新モデルの『スリクソン ZXi7』に『DG85 R300』シャフトを採用している。「以前よりもソールが狭いヘッドに替えたのは、芝が硬いので幅広ソールだとバンスが跳ねちゃうからでしょう。抜けないとアイアンは厳しい。『スリクソン ZX5 Mk II』だとやさしくてソールが広いやや深重心なので、ヘッドが抜けづらい。新モデルはソール後方を削った幅狭ソールなの、抜けがいいですね」。
山下はユーティリティやアイアンのチョイスに特徴がある。アイアンは『DG85 R300』、ユーティリティは『ベンタスHB 7S』を使用。「どちらも中調子で、振動数がやや低くヘッドが遅れて入ってくれるので、ややアッパー目に入りやすい山下プロの軌道を補正してくれると思います。ユーティリティ以下はフェアウェイウッドと違って、やや重めの方向性重視のシャフトをチョイスしていますね」。
上の番手は飛び重視で先が走るシャフトと浅重心ヘッドで前に飛ばす。下の番手はやや重めのシャフトで方向性を重視する。工夫を重ねた山下のセッティングは、アマチュアの参考にもなる、まさしくお手本セットといえる。
【山下美夢有のクラブセッティング】
1W:スリクソン ZXi LS(9度/スピーダーNX グリーン 40SR)
3・5W:スリクソン ZX Mk II(15・18度/スピーダーNX グリーン 50SR)
4・5U:スリクソン ZX Mk II(22・25度/ベンタスHB 7S)
6I~PW:スリクソン ZXi7(DG85 R300)
48・52・58度:クリーブランド RTZ(DG95 R300)
PT:オデッセイ 2-BALL TEN
BALL:スリクソン Z-STAR XV
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