フェアウェイウッドが当たらないのは、実は軽すぎが原因!?【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はフェアウェイウッドの総重量のお話。
配信日時:2023年9月22日 05時29分
前回ドライバーの重さを取り上げましたが、重さはすべてのクラブにとって重要な要素になります。ゴルフは複数のクラブを使い、任意の距離を打ち分けるスポーツ。それだけにすべてのクラブの振り心地はできるだけそろえたいところですが、そのためには各クラブの総重量がポイントです。フェアウェイウッドがうまく打てない人は、適正な重さでないことが原因かもしれません。
総重量がなぜ重要かといいますと、スイングをするとクラブはパワーを発し、手には重さを感じます。そのパワーや感じる重さは長いほうが大きくなります。仮にドライバーからウェッジまで総重量がすべて同じだとすると、手にかかる重さはクラブによって異なり、振り心地が変わってしまいます。振り心地が違うと毎回、スイングをアジャストしなければならないので、ゴルフが難しくなります。そこで、短いクラブほど重量を重くして、手にかかる重さを増やします。そうすることで長さの違うクラブでも、同じぐらいの重さに感じて、振り心地がそろうのです。この重量の流れが、いわゆる重量フローです。
重量フローを体感しやすいのがアイアンです。セットで売られているので、重量フローは整っています。振り心地がそろうのでアイアンが調子いいと、ミドルアイアンでもショートアイアンでも違和感なく気持ちよく打てるはずです。アイアンはモデルによって多少前後しますが、1番手下がるごとに半インチ程度短くなって、6〜7グラム重くなるように設計されています。
総重量は長いクラブより短いクラブのほうが重くなっていることが重要です。この重量フローが適正でなければ振り心地をそろえることはできません。重量フローで特に注意したいのはフェアウェイウッドやユーティリティです。昔はドライバーと同じブランドでそろえるのが一般的でしたが、最近は、単品で買うことが多くなりました。そのため重量フローがそろっていないということが起きやすくなっています。フィッティングに訪れる方のクラブを見ると、ドライバーに対してフェアウェイウッドやユーティリティの重量フローが適正ではない場合がほとんど。フェアウェイウッドのほうが軽い場合も少なくありません。
これにはいくつか理由があります。一つは、ドライバーはモデルやカスタムシャフトが充実しており、比較的重量のあるモデルもありますが、フェアウェイウッド類はカスタムモデルが少ないため、軽いモデルの市販品を購入しているケース。また、芝から直接打つクラブは難しいので、やさしいモデルを探し求めています。昨今のクラブ事情に「軽い=高性能→やさしい」といった誤ったイメージがあるので、軽いモデルに手が伸びてしまうのでしょう。
重いドライバーの次に軽いフェアウェイウッドを打つと、ダウンスイングで体の起き上がりが早くなったり、タイミングが合わずにチョロやトップになりやすいのです。いいスイングをしていても重さが適正でないだけでミスしやすくなるのです。
ドライバーからフェアウェイウッドのフローの目安は、半インチ短くなるごとに5~6グラム重くします。ドライバーが45.5インチで300グラムだったら、43インチの3番ウッドなら325グラムが適正な重さになります。もちろん目安ですので、振り心地がそろっていれば多少の前後は構いません。
クラブを買い替える時に、性能比較をしてしまいがちですが、それよりも今使っているクラブとの重量フローが正しくつくれる重さと長さを確認してから、選ぶべきです。フェアウェイウッドがうまく打てないと思ったら、まず重量から見直してみましょう。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル