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    2024年に大活躍の「ツアーギア」をおさらい。上手な人がさらに強化されてしまうクラブって?

    写真/GettyImages、福田文平、米山聡明、岩本芳弘

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年12月25日 23時30分

    テーラーメイド『スパイダーツアーXクランクネック』ーー元々ブレード型だったシェフラーがクランクネックの高MOIマレットで覚醒。ブレード型の重心角は約45°前後だが、これは21°と開閉少で、ネリーのサイトラインは短いモノを選択
    テーラーメイド『スパイダーツアーXクランクネック』ーー元々ブレード型だったシェフラーがクランクネックの高MOIマレットで覚醒。ブレード型の重心角は約45°前後だが、これは21°と開閉少で、ネリーのサイトラインは短いモノを選択
    • 昨年12月にローガン・オルソン製のプロトタイプブレードだったシェフラー。今年の序盤もコレだった
    • シェフラーが長年好んできたのが、クランクネックブレード
    • トウハングは、当然42~45度前後と大きくなりがちです
    • 昨年の夏まではスコッティ・キャメロン製のクランクネックブレードを使用していたシェフラー(GettyImages)
    • この形を好まない選手はほとんどいないはず。でも、結果が出るかどうかは、人によります(GettyImages)
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    シェフラー&ネリー&マキロイ、世界“王者”の確変パターが『スパイダーツアーX』

     
    日米男女ツアーで話題となったギアを一挙に振り返る「ツアーギアトピックス2024」。今年は何といっても“世界最強”のスコッティ・シェフラーのパターが外せない。終盤戦ではネリー・コルダも同じテーラーメイド『スパイダーツアーXクランクネック』へ移行して今季7勝目を飾るなど、一年中、勝利の話題を提供した。

    昨年12月にローガン・オルソン製のプロトタイプブレードだったシェフラー。今年の序盤もコレだった
    シェフラーが長年好んできたのが、クランクネックブレード
    トウハングは、当然42~45度前後と大きくなりがちです
    昨年の夏まではスコッティ・キャメロン製のクランクネックブレードを使用していたシェフラー(GettyImages)
    この形を好まない選手はほとんどいないはず。でも、結果が出るかどうかは、人によります(GettyImages)
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    昨年12月にローガン・オルソン製のプロトタイプブレードだったシェフラー。今年の序盤もコレだった

    振り返ると、今年の1月時点で話題だったのは、テーラーメイド勢にワンオフパターを提供し始めたローガン・オルソンの方だった。ところが、開幕から3月までオルソン製ブレード型だったシェフラーが確変したのは『スパイダーツアーXクランクネック』を投入した3月の「アーノルド・パーマー招待」だ。
     
    この週に即勝利したシェフラーは、移行後16戦9勝と無双状態を継続し、PGAツアー史上最低平均スコアで完走。昨年、盟友のマキロイが「長い間ボクもブレードだったけどマレットで安定したし、彼がマレットを試す姿が見てみたい。他がすべてうまいシェフラーは僕たちに勝利のチャンスを分けてくれているんだ。(笑)これでパットまで完璧になったら我々に勝ち目はない」と話したが、まさに現実となったわけだ。

    シェフラー自身はトゥルーパスアライメントでシンプルに構えられてラインに乗せやすくミスが減ったと実感しているよう。元々ブレードだったマキロイはショートスラントネックだが、シェフラーに続きネリー・コルダも『スパイダーツアーXクランクネック』に落ち着くなど、来季もこのパターの威力をまざまざと見せつけられることになりそうだ。
     

    米国で人気大爆発のL.A.B. GOLFパターにリッキー・ファウラーが移行!
    L.A.B. GOLF『DF3』ーー創業時からあった大型マレットの『Directed Force 2.1』を、やや小ぶりに再設計した人気のマレット型。ファウラー以外にも、フィル・ミケルソン他、多数の選手が使用する
    独自のライ角バランスは、手のひらに乗せるとフェースが垂直に向いて据わる。これは、同社のどの形状も同じで、ストローク中にフェース開閉しないのが特徴だ
    ファウラーが使うパターは、ここ2、3年でツアーでも大人気に
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    L.A.B. GOLF『DF3』ーー創業時からあった大型マレットの『Directed Force 2.1』を、やや小ぶりに再設計した人気のマレット型。ファウラー以外にも、フィル・ミケルソン他、多数の選手が使用する

     昨年ルーカス・グローバーやカミロ・ビジェガスの復活を支えて米国で人気爆発したL.A.B. GOLFパター。秘密は「フェースが無開閉」な独自のライ角バランスにあるが、昨年まで『ジェイルバード』だったリッキー・ファウラーもこの魔法のパターで絶好調になっていた。➡➡【関連リンク】ちゃごるTV・チャーリーさん驚き!「L.A.B. GOLFのパターは全部、余計なことをしなくても入る」
     
    昨年のPGAツアーでパターに悩む選手がこぞって使ったのが、①オデッセイの『ジェイルバード』②L.A.B. GOLFの無開閉パターだ。流行りの2つを行き来するのがリッキー・ファウラーで『ジェイルバード』人気の立役者が秋口にL.A.B. GOLF『DF3』に移行、来日した「ZOZO選手権」のSG:パッティングで「7.632」の2位になった。

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    開閉しない『DF3』の利点をファウラーはラインが読めれば安定してパットを打てる自信が持てたとツアー担当に話しており、海外より絨毯のような日本のグリーンでは、よりラインが読みやすく入るということか。L.A.B. GOLFと言えば、長らく人気者のアダム・スコットが愛用して親善大使的な動きをしてきたが、今季途中に彼自身が監修した新たなマレット型『OZ.1』を試用している。来年はこの形状の追加でさらに人気が増し、世界中で争奪戦が加速しそうだ。

    竹田麗央が8勝しグラファイトデザインが国内女子最多勝!


    国内男女ツアーの終盤戦では「米国挑戦」が大きな話題に。石川遼は及ばず敗退したが、竹田麗央はQTを経ずに「TOTO」の優勝で米国行きを決めた。体格に勝る海外勢とどう戦うのか? 2人のドライバーを見てみると、グラファイトデザインのシャフトが目立つ。

    松山英樹も大事なプレーオフシリーズで当時未発表だったスリクソン『ZXi LS』をいきなり投入。使い慣れた『TOUR AD DI-
8X』は不変のため、全く問題なかった(GettyImages)
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    『TOUR AD GC-6S』にして今季2勝の石川遼が再びの米国挑戦だ。長期のスイング改造で課題のロングゲームを払拭しQTに挑むも2打及ばず。若い頃と違い、ゆったりコンパクトでシャフトに負荷をかけない振りに変えたが、グラファイトデザインが「新世代のニュートラル」を掲げる捻れや潰れに強い『GC』「今までで一番いい。ヘッドの動きが少なくてブレずに収まる」と、過去最高の評価をする。
     
    かたや、米共催の「TOTO」で今季8勝目を挙げ、QTを経ず一発で米国行きを決めた竹田麗央。米国挑戦で必ず心配される“飛距離”も、彼女には何の問題もなく「TOTO」の平均272.333ydは1位で並み居る米国選手を上回った。今季は終盤戦でスリクソンの新ヘッドを試しても、中調子の『TOUR AD UB-5X』は一度も替えず、グラファイトデザインの1Wシャフトが女子最多勝タイだった。

    契約フリーの原英莉花、ヘッドを替えてもシャフトは不変!

     
    気になる契約フリー女子プロに、近い動きが見られたのが、原英莉花リ・ハナだ。2人ともヘッドは複数試したが「トータルドライビング」で上位だった。国内女子の1シーズンは37試合と長丁場な中で、調子に応じて複数社のギアをあれこれ試せるのが、契約フリーの特権と言える。では、シャフトもコロコロ替えるかと言うと、決してそうではない。原英莉花もリ・ハナもキャロウェイ複数とタイトリストの新作にヘッドは替えても『LINQ BLUE EX』だけは固定していた

    今季キャロウェイのヘッド複数とタイトリストの新作を使ったリ・ハナだが、シャフトは『LIN-Q BLUE EX』で固定し、トータルドライビング12位に。原英莉花もキャロウェイのヘッド複数とタイトリストの新作を使ったが、シャフトは『LIN-Q BLUE
EX』で固定しトータルドライビング9位

    今季キャロウェイのヘッド複数とタイトリストの新作を使ったリ・ハナだが、シャフトは『LIN-Q BLUE EX』で固定し、トータルドライビング12位に。原英莉花もキャロウェイのヘッド複数とタイトリストの新作を使ったが、シャフトは『LIN-Q BLUE EX』で固定しトータルドライビング9位

    「中元調子」と聞くと振り遅れをイメージする人もいるかもしれないが、高弾性・高強度の高級素材をふんだんに使う飛び系のコレはさにあらず素早く復元し分厚い押し感でエネルギーロスが少なくなるため、複数メーカーにまたがってヘッドを頻繁に替えても大丈夫というわけだ。リ・ハナは昨年球筋をフェードからドローにした頃からこのシャフトを信頼「クラブはUSTマミヤさんに任せています」とのこと。原も同様に、相当な信頼関係が見て取れる。
     

    79年間PGA使用率No.1のフットジョイが国内男子も席巻!

     
    契約フリーは「クラブだけ」かと思いきや、「シューズではもっと多いですよ」とフットジョイ(FJ)の担当者。昨年も国内男子ツアーで使用率No.1だったが、今年は約8%も伸ばして使用率60.3%そのうち約3割が契約外なんだとか。今年はFJ契約の飛ばし屋・幡地隆寛が海外で初優勝した後、『Pro/SLXカーボンレザー』に替えて国内でも2勝と大躍進。聞けば開幕からシューズにこだわり、終盤でも謎のスパイクを投入するなど、飽くなき探究心を見せる。

    フットジョイ『PRO/SLXカーボンレザー』ーーソールのX字の梁の部分が硬いカーボンで、よりエネルギー伝達がよく、本革製の『Pro/SLX』。幡地が採用して国内2勝し、同時に下の未発表スパイクも終盤にテストしていた
    未発表とはいいつつも、小さく『ハイパーフレックス』のロゴもある
    幡地が2勝した『Pro/SLX』と違って、未発表モデルはスパイクモデル
    勝俣陵もテストしていた、未発表スパイク
    新しい『ハイパーフレックス』は横ブレがなくフィット感がすごい。デザインが変わっても全
然違和感もなく、しっかり踵も固定されてとにかく歩きやすい
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    フットジョイ『PRO/SLXカーボンレザー』ーーソールのX字の梁の部分が硬いカーボンで、よりエネルギー伝達がよく、本革製の『Pro/SLX』。幡地が採用して国内2勝し、同時に下の未発表スパイクも終盤にテストしていた

    夏に女子ツアーでも『PROLITE』なるスパイクレスを供給し「スニーカーっぽい」ソフトなモノ路線を加速すると思いきや、男子の終盤では上の未発表のスパイクを展開。試した勝俣陵は「履き心地は横ブレもないしフィット感がすごい」と即採用した。そして、終盤の「カシオワールドオープン」で人気モデルを調べてみると、本格的なスパイクの『プレミア』シリーズが1位で、27人中8人が契約外で履いていた。このように、選手の好みや足型に応じて「あらゆる選択肢から選べること」が「FJしかNo.1になれない」理由と言えそうだ。
     

    国内男子の賞金ランク十傑のうち、7人が『モーダス』

     
    今年の国内男子ツアーは、平田憲聖と金谷拓実が最終戦まで激しく賞金王を争った。そして、4勝した平田を含め賞金上位トップ10のうち7人が日本シャフトの『モーダス』ユーザーで、国内女子で8勝した竹田麗央もそうだ。何故こんなに強いのか!?

    木下稜介( 賞金ランク6位)、今平周吾(5位)、桂川有人(9位)、小木曽喬(10位)。桂川以外は全員『モーダス』のプロトタイプを使用

    木下稜介( 賞金ランク6位)、今平周吾(5位)、桂川有人(9位)、小木曽喬(10位)。桂川以外は全員『モーダス』のプロトタイプを使用

    今年、国内男子ツアー最多4勝を挙げた平田憲聖のアイアンシャフトには『PROTOTYPE』と書かれているが、実は市販と同じ『N.S.PRO MODUS³ TOUR 115』(X)を使用している。また、国内女子ツアー最多の8勝を挙げた竹田麗央も、市販と同じ『N.S.PRO MODUS³ TOUR120』(S)を使うなど、国内男女とも市販の『モーダス』が勝ち頭となった。
     
    日本シャフトは多くの独自技術を持つが、特にピンポイントに細かく焼入れする熱処理に長け、選手個々に合う『プロトタイプ』を自在に生み出せる。そのため、石川遼を筆頭に選手の細かな要望に対応可能でそれは多くの選手から愛される。ただ、熱処理が効果的なのも、平田や竹田を例に、元々の製品の精度が高い前提があってこそ。誕生から15周年を迎えた『MODUS³』に対する選手からの信頼は圧倒的な状況になっている。 

    平田憲聖が年間4勝を達成。契約フリー女子の多くもミズノ!

     
    前述の通り、国内男子ツアー最多4勝の平田憲聖の14本は、下記の通りドライバーからウェッジまで契約するミズノ製を多く揃える。中でも国内男子ツアーでパーオン率5位のアイアンの切れ味は抜群だが、海外で活躍する契約フリー女子の強者も今年もミズノ製アイアンを継続使用していた。

    中学時代からミズノ製のアイアンを使用してきた平田は、市販の『JPX923 TOUR』より少しロフトを立て、ブラッシュ仕上げの見た目を好む。また、FPで約1ミリ程だが、市販より僅かにグースな顔に調整したもので縦距離を整え、今季は安定したショットで夏に勝利を量産した。ミズノはその出色の出来を祝して、平田仕様のアイアンを限定発売するなどしたが、契約に関係なく多くの選手がミズノを好むのは今年も相変わらずだった。
     
    それが上のような、いずれも契約フリーの面々で、稲見萌寧と大里桃子が『ミズノプロ243』高橋彩華が中空の『ミズノプロ245』を使用。今年渡米しルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した西郷真央が『JPX923 FORGED』と、日米の舞台やコースの芝質の違いを問わず、ショットメーカーがそれぞれ最適なミズノ製アイアンを選んでいる。

    世界ランク1・3・5位の選手が『初代ベンタスブラック』に!

     
    世界一のシェフラーも世界3位のマキロイも『Qi10』『初代ベンタスブラック』で今年は米・欧の年間王者になった。また、世界5位のオーべリや、シャフトを替えない元世界一のLIV王者・ラームも『初代ベンタスブラック』と、強者はみんなコレになる点に不思議に思う人も多いだろう。

    なぜなら、スライドする激しい足元の動きから「変則的」と言われる王者シェフラー、お手本のように綺麗なスイングのマキロイやオーベリと、みなスイングも球筋も異なるからだ。特に、マキロイは昨年途中まで『ベンタスTRブルー』で44㌅台だったが、今年は1㌅近く長くしたのに『初代ベンタスブラック』でFWキープ率を約7%引き上げている。
     
    ラームも同様にシャフト探しをした今年は、最終的に先端の強いベロコア技術が入った最も曲がらないシャフトを見つけ出してLIV王者になった。秋前には『24ベンタスブルー』に続く『24ブラック』と『24レッド』もツアー供給されたが、未だに強い『初代ベンタスブラック』。もはや敵は他社になく、自社の『初代』にアリ!というわけで、【フジクラシャフト一強時代】が終わる気配はまるで無さそうだ。

    フジクラは国内男女の60試合でも使用率No.1に

     
    圧倒的に強い状況は、PGAツアーだけではない。今年の「国内男子ツアー」24試合と「国内女子ツアー」37試合の全日程を振り返ると、男女ツアーのドライバーシャフト使用率で、フジクラがNo.1ではなかったのは、61戦で僅か1試合のみ。米共催の「TOTO」以外は全てがNo.1だった。

    マキロイら世界トップ選手たちはゴルファー全ての憧れゆえ、当然ジュニアや多くの若い選手に影響を与える存在。そのトップがみな曲がらない『ベンタス』シリーズとなれば、国内の選手が影響を受けないわけがない。というわけで、今年も国内男子ツアーで『初代ベンタスブラック』がモデル別の一番人気で5勝し、平田憲聖が使う『24ベンタスブルー』が4勝と続いた。
     
    国内女子ツアーはというと、8勝したグラファイトデザインの竹田麗央に最多勝は譲ったものの、定位置の使用率No.1はキープ。そして、最新技術満載の『スピーダーNX』シリーズの部分トルク制御技術に加え、今年は加速技術を追加の『スピーダーNXバイオレット』の使用者も着実に増加。来シーズンは定位置の使用率&勝率No.1に返り咲くことが濃厚だ。

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