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    松山英樹も平田憲聖も使う 男子ツアーで流行する“やさしい”3Wの名器とは何だ?

    ツアープロが14本のクラブの中で強いこだわりを持つのが3番ウッドだ。契約外のクラブを使用することもよくある。国内男子ツアーで今年流行しているのが、テーラーメイドの『Qi10』だ。

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年10月24日 05時00分

    • ギア
    • 平田憲聖
    • 武藤俊憲
    • フェアウェイウッド
    • 松山英樹
    テーラーメイドの『Qi10 スタンダード』の3Wを使用する松山や平田。『ツアー』よりも慣性モーメントが高く、スピンが入ってつかまりやすい
    テーラーメイドの『Qi10 スタンダード』の3Wを使用する松山や平田。『ツアー』よりも慣性モーメントが高く、スピンが入ってつかまりやすい
    • 『Qi10 スタンダード』3W。ヘッド体積190cm3と少し大きく、ロフト調整機能はない
    • 『Qi10 スタンダード』3W。「3番ウッドは14本の中で一番難しいクラブだと思います。ボールがしっかり上がってくれますし、比較的やさしく打てるので気に入っています」(平田)
    • 『Qi10 スタンダード』3W。「(3W選びは)ボールが上がることが大前提。(Qi10は)ティアップしても下から打っても、ボールが曲がらない」(武藤)
    • 『Qi10 スタンダード』3W。「曲がらない3番ウッドでしっかり振った方が組み立てやすいですからね」(武藤)
    • 「ドライバーの進化でスピン量が減って、球離れが速くなったことで今でも300ヤードいくのは助かっています。その反面、狭いホールとかでスピン量を増やしてコントロールしたいときに、まだそれができないんです」(武藤)
    • 賞金ランキング1位の平田憲聖。以前は別のメーカーの3Wを使用していたが、今季序盤から『Qi10』3Wを投入
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    ツアープロが14本のクラブの中で強いこだわりを持つのが3番ウッドだ。契約外のクラブを使用することもよくある。国内男子ツアーで今年流行しているのが、テーラーメイドの『Qi10』だ。

    顔がシャープだけどやさしいのが『Qi10スタンダード』3Wの特徴 松山は適正スピンの高弾道で打つ【写真】

    ■モデル別でも使用率は10パーセントを超える

    114名が出場した国内男子ツアー「ACNチャンピオンシップ」では、『スタンダード』、『ツアー』、『MAX』と3モデルある『Qi10』シリーズの3番ウッドの使用者は約14パーセントの16人。内訳は『ツアー』が3人で、『スタンダード』が13人だった。

    同大会にはテーラーメイド契約の選手は、石坂友宏のみで『ツアー』を使用。契約外の13人がスタンダードの『Qi10』を使用していたことになる。男子プロは『スタンダード』より『ツアー』を使っているイメージだが、まったくの妄想だった。

    これは海の向こう、PGAツアーでも同じ現象が起こっている。ローリー・マキロイやスコッティ・シェフラー、そして契約外の松山英樹も『スタンダード』モデルをキャディバッグに入れている。テーラーメイドのプロ担当によれば、例年『ツアー』と『スタンダード』は半々か6:4で後者が多い印象だが、今作はその差が大きいという。

    『ツアー』はヘッド体積170㎝3と小ぶりでロフト調整機能とソール部にスライダーウェイトがある。『スタンダード』はヘッド体積190cm3と少し大きく、ロフト調整機能はなく『ツアー』よりも慣性モーメントが高く、スピンが入ってつかまりやすい。アマチュアでも使えるモデルだ。

    今季は国内で戦うテーラーメイドの契約選手が多くないこともあり、契約外の選手のサポートを始めたところ、選手の口コミもあり使用者が増えたという。

    ■今季4勝の平田憲聖は「14本の中で一番難しいクラブなので…」

    『Qi10』スタンダードを使用するプロに話を聞いてみた。まずは今季4勝で賞金ランキング1位の平田憲聖。以前は別のメーカーの3Wを使用していたが、今季序盤から投入している理由を聞いた。「PGAツアーの選手がスピンの入るモデル(スタンダード)を使っているのを見て、いいなと思ってテストしたのがきっかけです。3番ウッドは14本の中で一番難しいクラブだと思います。ボールがしっかり上がってくれますし、比較的やさしく打てるので気に入っています」。地面から250ヤード以上先を狙うクラブのため“やさしく打てる”ことが決め手となった。

    また、平均飛距離302ヤード越えでクラブ契約フリーの坂本雄介も春先から使用している。今季は「バンテリン東海クラシック」3位タイなどトップ5入り3回を数え、初シードを確定させる活躍を支えている1本でもある。「僕はもともとテーラーのフェアウェイウッドを使っているので慣れています」と話すが、以前は『ステルス』を使用。「合わないと使わない」と『ステルス2』は使わずに移行している。

    「『ステルス』と比べるとちょっとスピンが入るから簡単になっています。ティショットでも使いますが、飛ばすこともできるし、(スピン量を増やして)めくらせることもできます。今のクラブはどこに当たっても飛んじゃう面がありますが、ちょっと上からつぶす感じでめくれる球が打てるのも気に入っています」。打ち方を変えて球筋もコントロールしやすいヘッドが決めてとなった。

    ■10年ぶりに手にした武藤俊憲は「曲がらない」と飛ぶ1Wとティショットで併用

    そしてかつてテーラーメイドとクラブ契約を結んでいたベテラン・武藤俊憲は、10年ぶりに同社の3番ウッドをバッグイン。「(3W選びは)ボールが上がることが大前提。(『Qi10』は)ティアップしても下から打っても、ボールが曲がらない。多少芯を外しても曲がることはほとんどありません」と寛容性の高さが決め手の一つとなった。

    46歳になったドライバーの名手は今でもドライバー(ミズノ『ST-Z230』)で300ヤード越えをすることもある。道具の進化による恩恵を受けつつも、“持ち味”の出しにくさを感じる部分もあるが、それを3Wがカバーしているという。

    「ドライバーの進化でスピン量が減って、球離れが速くなったことで今でも300ヤードいくのは助かっています。その反面、狭いホールとかでスピン量を増やしてコントロールしたいときに、まだそれができないんです」。名手は飛距離のコントロールをドライバーで行っていたが、進化したクラブは飛距離を落としたり、ライン出しをすることが難しい面もある。

    「ドライバーでコントロールしようとして、変にゆるんでミスしやすくなります。少し距離は残りますが、曲がらない3番ウッドでしっかり振った方が組み立てやすいですからね」。ドライバーのコントロールよりも、安心して振れることでティショットでも重宝している。

    ツアープロといえども3番ウッドには“ボールが上がる”、“つかまりやすい”、“曲がらない”というアマチュアが求めるやさしいキーワードを求めている傾向にある。ロフト角も15度から16.5度の入ロフトを選ぶ選手も少なくない。

    ひと昔前から評判の高かったテーラーメイドのフェアウェイウッド。クラウン部がオールカーボンになったことで低重心になって、やさしくさが増した『Qi10』はアマチュアにも大きな武器になりそうだ。

    ◇ ◇ ◇

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