ライ角はアイアンよりもドライバーのほうが重要!【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はクラブのライ角のお話。
配信日時:2023年10月13日 02時57分
クラブを買う時にロフト角を気にして買われる方は多いですが、実はロフト角と同じぐらい気にするべき項目がライ角です。ライ角とは、簡単に言えばソール(フェースの溝のライン)とシャフトがつくる角度のこと。正しいスイングをしたとき、インパクトでソールが地面と平行になるように、それぞれの番手ごとにライ角が調節されています。
ライ角が大きいことをアップライト、小さいことをフラットと呼びます。明確な基準はありませんが、現在市販されているドライバーのライ角は、56度から62度ぐらいまでに設定されています。その中で見た場合、56~58度までがフラット、60~62度がアップライトといえます。アイアンもモデルによってライ角に幅があります。
フラットなクラブは、インパクトでフェースが右を向きやすくなるため、つかまり性能が低くなります。アップライトなクラブは、インパクトでフェースが左を向きやすくなるため、つかまり性能が高くなります。
この傾向は、ロフト角が大きいクラブほど症状が大きく出やすいため、一般的にライ角はアイアンについて話されることが多いのです。アイアンのライ角フィッティングを行うメーカーやショップもありますよね。しかし、私はアイアンのライ角の重要性は低く、フィッティングも、あまり意味がないと思っています。アイアンは地面にあるボールを打つため、ヘッドが地面に当たります。多少ヒール側から入っても地面に当たって適正方向にヘッドが戻りますし、トゥ側から入っても適正方向に戻るのです。地面を強くたたくパンチショットが真っすぐいくのも、この効果があるからです。
一方、ドライバーは、ロフト角が小さいため、多少ライ角が合っていなくても誤差が小さく、それほど気にしなくてもいいとされてきました。しかし、ティアップしたボールを打つため、アイアンのようにソールが地面に当たりません。インパクト時のライ角の影響を受けやすくなるので、ドライバーこそ、ライ角を合わせる必要があります。ボールを右に打ち出しやすい人はフラット方向に当たっていますし、左に打ち出しやすい人は、アップライト方向に当たっていると考えられます。ライ角を調整するだけでも変化は出るはずです。
アイアンは体格差やスイングの傾向でライ角を合わせることに意味はありませんが、ライ角の効果を利用することは、大いにアリです。私は、標準的なライ角より0.5度フラットに設定しています。一般的には、インパクトでソールがピタッと地面につく状態がいいといわれますが、私はその状態でインパクトすると左に飛んでしまいます。つまり引っかけやすいので、インパクト時にややトゥダウンしてヒール側が少し浮いた状態が真っすぐいくし、気持ちがいいので、フラットに調整しているのです。
左に行かせたくない人はアイアンのライ角はフラット方向に、右に行かせたく人はアップライト方向に調整すると、ライ角の効果を利用できます。自分の使い勝手によって、ライ角は調整するものと思ってください。
最近のドライバーは弾道調整機能、いわゆるカチャカチャが着いています。ロフトだけでなく、ライ角も2度前後変えられるモノがあります。簡単に試せるので、ぜひトライしてみてください。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル