ショートパットを外す人は、パターのFP値が合っていない!?【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はパターのFP値の話。
配信日時:2023年9月28日 05時38分
この連載でFP値のお話をウッド、アイアン、ウェッジとそれぞれのクラブで説明してきました。最後はパターに関するFP値のお話です。パターはほんの少しのフェースのズレでも結果が変わってしまうため、目標に対して正確に構えることが重要なクラブです。だから自分が真っすぐ構えられているかどうかは、後ろから誰かに確認してもらわなければなりません。自分が目標に対して真っすぐ構えているつもりなのにフェースの向きがズレてしまうのにはいくつか理由があるのですが、その理由のひとつにFP値が挙げられるのです。
パターのFP値の違いは主に3タイプに分けられます。一番多いのが「フルオフセット」と呼ばれるモデルで、シャフトを垂直に構えた時にシャフトの右側のラインとフェース面が揃うモデルです。ブレードタイプによく採用されているカギ型のクランクネックは、このフルオフセットになっているモデルがほとんどですね。2つめはシャフトの左側のラインとフェース面が揃う「オフセットなし」と呼ばれるモデル。3つめはシャフトの中心のラインとフェース面が揃う「ハーフオフセット」があります。「オフセットなし」は主にセンターシャフト、「ハーフオフセット」はネックの短いショートネックのモデルに多いです。
これらパターでのFP値の違いは、構えた時に表れます。ゴルファーによってパッティングの構えは様々です。体の中心に構えたい方、ややハンドファーストに構えたい方と微妙に違ってきます。それぞれの構えに無意識にパターのヘッドをセットするのですが、FP値の違うモデルで構えてみるとフェースの位置がほんの少し前後するため、ヘッドの見える角度が変わり、フェース向きが微妙にズレるのです。例えば、「フルオフセット」で真っすぐ構えられている方が「オフセットなし」のモデルを構えると、真っすぐ構えているつもりでも目標より右を向いている事が多いのです。反対に「オフセットなし」のモデルで真っすぐ構えられている方が「フルオフセット」のモデルを構えると、左を向いている事が多くなります。真っすぐ構えたつもりでも、狙ったところに打てない方は、このFP値による見え方のズレを疑いましょう。
目標に真っすぐ構えるために、構えの他にもうひとつパターのFP値と深く関係することがあります。それは構えた時のボール位置です。ボールを左足寄りにおいて構えたい方は、フェース面が左目の真下付近に来ます。ボールを体の中心付近に置きたい方は、フェース面が右目の真下付近に来ます。このボール位置によってもフェースの向きは結構変わって見えます。ボールを左足寄りに置きたい方は、フェースが前方に出ている「オフセットなし」、ボールを体の中心付近に置きたい方はフェースが後方に下がっている「フルオフセット」のモデルと相性が良いです。どんな構えをしても手の位置が自然なポジションに収まりやすく、フェース面の向きも合わせやすくなるはずです。ちなみに私は、左足寄りに置きたい方なので、オフセットなしのパターが好きですね。
パターは様々な形状がルールで許されているクラブ。自分の構えのクセやボール位置を把握したうえで、自分に合ったモデルを見つけることができれば、スコアアップにつながることは間違いありません。FP値もそのひとつです。今度仲間とゴルフショップなどに行く機会がありましたら、パターコーナーで後ろからどのモデルが正確に構えられるかを見てもらいましょうね。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
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