「すごいフィット感があって、スイングしていてブレないので、これだなという気持ちになってすぐ履きました」。山下美夢有がトップ通過を果たした昨年12月の米ツアーの最終予選会。その練習日に試して即投入したのが、14日に発売されたニューバランスの新ゴルフシューズ『FuelCell 1001 v5』だった。
2025年シーズンの出場権がかかる大事な試合で、しかも、普段のトーナメントよりも長丁場となる6日間。山下が重視したのは疲れにくさだった。「6日間もあったので足が大事になってくる。全然疲れなくて結果も出てくれて良かったです」と話す。スパイクレスで硬い鋲がついていないため、履いてみると確かに歩きやすい。
『FuelCell 1001 v5』にはランニングシューズで培った技術が使われている。その代表とも言えるのが商品名にもなっている反発弾性の高いミッドソール『FuelCell』だ。
ここで1つの疑問が生まれる。ニューバランスには、よりクッション性を重視したミッドソール『Fresh Foam』もある。ランニングシューズではゆっくりとしたペースで走るデイリートレーナーシューズには『Fresh Foam』、より速いペースで走るテンポアップシューズやレーシングシューズには『FuelCell』を採用。ゴルフシューズでも2500シリーズには『Fresh Foam』、稲見萌寧や藤田寛之が履く3000シリーズには『FuelCell』が使われている。なぜ1001シリーズは『FuelCell』なのか。
ニューバランスの商品企画を担当する橋本尚樹さんに聞くと、「1001 v5はクッション性に加えて、反発弾性によりスイング時のエネルギーリターンを提供するため、反発弾性の高いFuelCellをTPUプレートと合わせて使用しました」という。先端が二股に分かれたチキンレッグ形状のTPUプレートが、ランニングシューズのカーボンプレートのような役割を果たし、『FuelCell』と相まってスイング時の蹴る動きをしっかりサポートする。
また、ゴルフにおいてスイングは一瞬で、プレー中のほとんどは歩く時間となる。「歩行時の安定性を考慮し、1001 v5では、硬度の異なるFuelCellを2層で使用しています。全体を覆う白いFuelCellは硬度を上げて安定性を高め、オレンジ色のFuelCellは硬度を下げてクッション性をサポートします」(橋本さん)。アッパーのデザインはいたってシンプルだが、ソールに最先端の技術が凝縮されている。
山下の米ツアーシーズン初戦となった「ファウンダーズカップ」(2月6~9日)ではいきなり4位タイ。優勝とは8打離れていたが、4日間60台を並べ、今季の優勝を十分に期待させる試合だった。2022年、2023年の日本ツアーの年間女王が新シューズの反発力と安定感を武器に、今度は世界の頂を目指す。