スライサーは重心角の大きいドライバーを選ぼう!【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はドライバーの重心角の話。
配信日時:2023年10月3日 03時03分
最近は、ヘッドのつかまりを示す項目として使われるようになった重心角。大きいとつかまりが良くなるのは何となくおわかりでしょう。では具体的にどういう作用をもたらすのか、お話していきます。
「重心角が大きく、高いつかまり性能!」なんていう、ドライバーのキャッチコピーを見たことはありませんか?重心角という言葉は、最近になってドライバーの性能説明で使われるようになっています。そもそも重心角とは、机の上にシャフトを置いてヘッドを宙に浮かせた状態で、垂線に対してフェース面が作る角度のことを指します。ヘッドのフェース面が上を向くほど重心角は大きいといえます。
重心角はヘッドの重さの中心である重心位置によって変わります。重心位置が深く、なおかつヒール寄りにあるほど重心角は大きくなります。反対に、重心位置が浅めで、なおかつトウ側にあるほど重心角は小さくなります。一般的に重心角が小さいモデルは15~20度、重心角が大きいといわれるモデルは、25~30度前後といわれます。最近は35度を超すモデルも出ています。
この重心角は、一般的につかまりのよさを説明するのに使われます。なぜかというと、スイング中に働く遠心力が関係しています。ドライバーの重心点は、構えて見たときにシャフトの軸線(シャフトの中心)の延長上にはなく、少し後ろにあります。そのためダウンスイングのときには遠心力に引っ張られて、重心はシャフトの延長線上と一直線になろうとする力が働きます。つまり、フェースが閉じる方向に動こうとするのです。重心角が大きくなれば、その力が強くなるので、フェースターンしやすく、つかまりやすくなるというわけです。大きくスライスする人にとってはつかまりがよくなって、曲がり幅を抑えられる効果が期待できます。
また、この重心角が大きいモデルには、飛距離アップも期待できます。そもそもボールを効率良く飛ばすには、フェースを閉じながらインパクトを迎える必要があります。そうすることでボールを押せるので、ヘッドスピードで生み出したエネルギーをロスなくボールに伝えることができます。
重心角の大きいドライバーは、ヘッドスピードがあまり速くなく、フェースターンが苦手な方には最適なクラブですが、万人に合っているわけではありません。ボールをつかまえる技術を持ったゴルファーが重心角の大きいモデルを使うと、つかまり過ぎてしまいます。左へミスするだけでなく、左へのミスを嫌って逃がすようなスイングをするようになってしまう可能性があります。また、ヘッドスピードが速めの方が重心角の大きいモデルを使うとヘッドが返しきれずに右へのミス、それを嫌がって大きく左のミスとフェース面の管理が難しくなる場合もあります。だからツアープロが使うドライバーは、重心角が小さいモデルばかりです。
前述したように重心角の大きさは、ヘッドを宙に浮かした状態で、シャフトを支えた時にフェースがどのくらい上を向くかで知ることができます。スライスの曲がり幅が大きい、右へのミスが多いというゴルファーには、重心角の大きいモデルは良い結果をもたらしてくれる可能性が高いです。新しく買い替えるときの参考にしてみてください。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル