吉田優利のクラブセッティングにアマチュアが学ぶべきことは?【プロフィッターに聞く】
女子プロと一般アマチュアはヘッドスピードが近いと言われるが、そのクラブセッティングは本当に我々の参考になるのか!?
配信日時:2023年7月28日 05時40分
プロのクラブセッティングが、個々に最適にチューニングされているのは当然だが、技量が圧倒的に足りない我々アマチュアが学べることはあるのだろうか。何百もの試打シャフトや剛性分布データを駆使して正解に導くプロフィッターの澤田嘉之氏に、女子プロのセッティングに学ぶべき点を聞く。
今回は、優勝した翌日早朝でも辻村明志コーチの元で練習に励む、ストイックな吉田優利のセットについて。クラブ選びにもストイックで、過去には敢えてギリギリ振れるハード目なシャフト『ベンタスブラック』を選んだり、クラブを滅多に替えないことでも知られる。そんな吉田について澤田は「アイアンとウェッジのシャフトが同じな点が注目ですね」という。その理由を考えてみよう。
【吉田優利のクラブセッティング 】
1W:ブリヂストンゴルフ B1プロト(9.5°スピーダーNX GREEN 50S)
3W:テーラーメイド SIM2 MAX(15°スピーダーNX GREEN 50S)
3,4U:ブリヂストンゴルフ TOUR B JGR HY(19,22°ATTAS EZ 75S)
5I: ブリヂストンゴルフ 222CB+(KBS TOUR 90S)
6I〜PW: ブリヂストンゴルフ 221CB(KBS TOUR 90S)
48°:ブリヂストンゴルフ BRM(KBS TOUR 90S)
52,58°:ブリヂストンゴルフ BRM2プロトタイプ(KBS TOUR 90S)
PT: オデッセイ O-Worksブラック#2W
BALL: ブリヂストンゴルフ TOUR B X コーポレートカラー
「吉田プロのアイアンとウェッジシャフトは5番から58°のSWまですべて先調子の『KBS TOUR 90』(S)というのが意外だと思われるかもしれません。女子プロで5番アイアンを入れる選手も少数派だと思いますが、ウェッジまで同重量のシャフトというのは、重量フローを考えると、通常、短くなるウェッジシャフトは重くした方がいいと考えがちだからです。ただ、一般アマでも『同じシャフトで振り感を揃えたい』という上級者は一定数いるものです。
『KBS TOUR 90』(S)はノーカット102gで、適度にしなりクセがなくシャープに振る人に相性のいい挙動で、球を上げやすい先調子。ウェッジも同じくシャープに振れ、慣れ親しんでいるから繊細なフィーリングも伝わりやすく、アイアンに求める縦距離やウェッジのコントロールもしやすいのだと思います。実はKBSでは既に廃盤なのですが、練習量が多くて使い慣れた人には替えの効かない存在で困っている方も多いかもしれません……」(澤田)
―コントロールショットが多いウェッジでも、アイアンと同じシャフトで問題はないのか?
「多くの人は低速でゆったり打つ場合、ウェッジを約20グラム重くし、フレックスも柔らかめのシャフトを選ぶ傾向がありますが、使い慣れた吉田プロにはこれがスタンダードなのでしょう。一般アマでも、ずっとアイアンのセットウェッジを使用するなど、使い慣れ重視の方がいますが、意のままに動かせれば、重・柔でなくても問題ありません」
―既に廃盤の『KBS TOUR 90』(S)。使用者が乗り換えるべき、似た選択肢は何なのか?
「KBSなら『KBS TOUR LITE』(S)でしょうか。『KBS TOUR 90』と同様に打ち出しが高く、わずかにしなやかです。KBSは他機種も軽量を増やしてきており、実は細かく要望に応えられますね。お店にはKBSの全ての試打シャフトがありますので、試してベストを見つけてほしいです。他社ならトゥルーテンパー『プロジェクトX UL』の5.5(S)は先中調子でカット前が100gで近い選択肢と言えるかもしれません。
また、日本シャフト『N.S.950GH neo』(S)も中調子ですが、同様にシャープに振れて球を上げやすい。ですが、吉田プロの場合、UTシャフトのUSTマミヤ『ATTAS EZ75』という、なめらかでしなる挙動が、それ以下の『KBS TOUR 90』(S)と振り感的な繋がりがあるはず。その辺り地面から打つクラブ全体の流れが整いやすいものをフィッターと一緒に探していくのがベストではないでしょうか」
■解説/澤田嘉之
プロフィッター。4Plus Fitting Labo東宝調布スポーツパーク店で動作解析GEARSやTRACKMAN 4を駆使し、数百本のシャフトから個々人に最適な組み合わせを導き出す。静的なクラブデータと動的データを読み込むことからついたアダ名は“博士”
プロフィッターに聞く[女子プロ]クラブ考