先・中・手元 なぜ上級者やクラブに詳しいゴルファーは『シャフトの調子』にこだわるのか? 【フィッターに聞く】
自分に合うのは○調子と決めつけている人がいるが、それが原因で、ベストなシャフトに出合えない人も。
配信日時:2024年2月29日 02時20分
キックポイントというのは、簡単にいってしまえば、クラブのどの辺りがしなりの頂点になりやすいかということを表したもの。ヘッド寄りがしなるシャフトを「先調子」、グリップ寄りがしなるものを「元調子」、その中間がしなるものを「中調子」といいます。
ただし、先調子といっても、シャフトの先っぽがしなるわけではなく、シャフトの真ん中の少しヘッド寄りがしなるという程度。それぞれのキックポイントが大きく離れているわけではありません。
また、「45インチのシャフトの場合、グリップから何インチ先がしなるものを“先調子”とする」といったような決まりはなく、メーカーによってしなるポイントが微妙に違うということを頭に入れておきましょう。
ところでこのキックポイントが、どんな影響を及ぼすかご存じですか?
実はキックポイントによって、「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」が変わってきます。そうです、この3つは、“飛びの三要素”。つまり、キックポイントは飛びに大きく影響するわけで、上級者やクラブに詳しいゴルファーが、ことさらキックポイントにこだわるのも分かっていただけると思います。
一般的な特徴としては、先調子は「ヘッドが走りやすい」「ボールがつかまりやすい」「打ち出し角が高くなりやすい」などの傾向があり、元調子は、「“タメ”が作りやすい」「ボールがつかまり過ぎない」「打ち出し角が低くなりやすい」などの傾向があります。しかしだからといって、スライサーが先調子に変えたからといって、単純にボールがつかまるとは限りません。一応、「こういう人に合いやすい」という基準はありますが、人によってどういう結果になるかは分からないのです。
だから、自分に合うシャフトを見つけるときは、先入観を持たずに振ってみることが大事です。そして、気持ち良く振れたら、それがその人にとってのベストなキックポイントになります。
なお、気持ち良く振れたかどうかは、感覚的なものですが、ゴルファーの中にはこの感覚が鈍い人もいます。そしてその感覚が優れているかどうかは、ゴルフの上手い、下手にあまり関係ありません。アベレージゴルファーでも、鋭い感覚を持っている人もいれば、逆にシングル級の腕前なのに鈍感な人もいるのです。
もし「どれが自分に合っているのかさっぱり分からない」という人は、フィッターに相談するのがいいのですが、それができない場合は、弾道測定器を使うというのも一つの方法です。
最近は、練習場やショップでも最新の弾道測定器が備わっているところが多いので、そのデータを参考にしましょう。それを見れば、自分に合うのが先調子か元調子かだけではなく、自分に合うシャフトも見つかるはずです。
■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て、現在は渋谷にある「プレミアム ゴルフスタジオ」でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている
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