熟成された極上の打ち応え? 石川遼、香妻陣一朗を優勝に導いた『OPUS』ウェッジを試し打ち
ベストスコア「67」、ホームコースのハンディキャップ「0」を誇る、貧打爆裂レポートのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、ギアについての噂の検証をします!実際にゴルフコースに持ち込んで、動画を撮影しながらラウンドしたレポートです。
配信日時:2024年8月28日 08時45分
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
キャロウェイが最先端の技術で開発したウェッジが『OPUS』です。2024年9月13日発売。“約19カ月をかけて熟成された、極上のフォルムとスピンパフォーマンス”というコピーです。
『OPUS』の名前は、カリフォルニアの最高級ワインをつくるワイナリーの名称を参考にしてつけられたそうです。極上なワインのようなウェッジを作ることが、開発テーマになったウェッジというだけで、面白そうだと興味を持つゴルファーはたくさんいるはずです。
『OPUS』は、まず、シェイプを徹底して作り込みました。ツアーメンバーから聞き込みと確認を繰り返えすこと6回。約19ヶ月かかって完成したのは、リーディングエッジに少し丸みがあり、ティアドロップ型がより強調された極上のシェイプです。
次に、注目するのはフェースと溝です。すでに実績がある鋭い角でスピンをかける「37Vグルーブ」の性能はそのままに、溝の幅を狭くし、体積を削減して、溝のピッチを狭くすることが出来たそうです。今までよりも、2本も溝が増えました。ウェットな状態でのスピン性能がアップして、打ち出し角が低くなり、コントロール性もアップしました。
『OPUS』のフェースの溝の間には「マイクロフィーチャー」を設置。小さい凸部が斜めに形成されています。フェースを開いたときのスピン量がアップします。ブラスト処理も『JAWS FORGED』から引き継がれています。
『OPUS』の最後の注目点は、ソールのグラインドです。従来からあった「S」、「W」、「C」に加えて「T」の四種類になりました。スタンダートな「S」。ワイドソールの「W]。ソールの後方を削ることでアルファベットのCの形状の半円状にみえる「C]。削る面積を増やし、バウンス角を減らしたツアー仕様の「T」。四種類あることで、あらゆる地面からでもボールに正確にコンタクトすることが可能になります。仕上げは、クロムとブラック。今回の試打はクロムです。
ロフトは48度から60度まで、2度刻みで7種類です。48度は「S」のみ。50、52、54、56度には「S」と「W」のグラインド。58度、60度には「S」と「W」と「T」と「C」のフルグラインドになります。52度、56度の「S」を試打します。シャフトは、3種類のスチールシャフトから選ぶことが出来ます。試打するのは、N.S.PRO 950GH neo (S)です。
新しいキャロウェイの『OPUS』は、どんなウェッジになっているのか?試打するのが楽しみになりました。試打した日は、曇りの晴れで、気温は23℃~34℃。微風でした。使用したボールは、使い慣れていてクラブだけに集中できる『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
『OPUS』の打音ですが、音量はやや大きめです。音質は、高音で硬質がベースで、微かに濡れた鞭系が混じります。打ち応えは、フェースに吸い付く感触と適度な弾き感もあって気持ちが良いです。フェースのどこに当たったのか、手応えは敏感です。
【弾道・球筋・スピン】
『OPUS』の弾道は、基本は高弾道で、ボールを上げやすくなっていますが、高低の打ち分けにも敏感に反応してくれます。スピン性能は、強めで、特に、速度を出して打つケースではオートマチックにスピンがかかります。フルショットでは、ボールが戻るようなスピンになります。
【距離性能】
『OPUS』の飛距離は、ロフト通りの飛距離ですが、比較的飛ぶほうに分類されるウェッジです。打音打感と飛距離が合致しやすいので、距離感も合わせやすいです。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『OPUS』は、飾り気がなくてシンプルという第一印象でした。フェースには密集した感じがあって、面白いです。ネックと周辺の絞りは好き嫌いがあると思いましたが、個人的に大好きです。
試打ラウンドで使って感じたのは、扱いやすいウェッジだと言うことです。ツアープロでも使用者がたくさんいる『OPUS』だから、ちょっと敏感で難しいのかとイメージしていたのですが、誤解を恐れずに書くと、素直にやさしいと感じたのです。
まず、フルショットがしやすいことがわかります。次に、アプローチでは見事にソールが機能してくれます。厚めに入っても滑って、跳ねてくれるので、ミスになりにくく、ウェッジが上手くなったような気分になりました。そして、打ち込んでも、払っても、打ち方に関係なく、ちゃんと仕事をしてくれるのです。
プロユースだな、と感心したのは、強く打てば強い音が出て、やさしく打てばやさしい音を出すところです。また、大きめに振って、ソールの機能で調整する方法で寄せるのも楽々出来るのも、プロユースだと感じさせました。プロユースなのに、やさしく扱いやすいウェッジが欲しいゴルファーには『OPUS』をオススメします。
注意点があるとすると、濡れた状態でのスピン量です。同じ状況でもっとスピンが効くウェッジが市場にはあるので、若干の不満がありました。ただ、ただ止まるのが優秀とは言い切れないのがアプローチの面白さであり、ちょうど良い、と感じるゴルファーもいると思いました。
『OPUS』は、極上のウェッジに仕上がっていると納得しました。わかる人だけがわかるというマニアックなものではなく、誰でもわかりやすいところが、ホンモノの極上なのだ、というメッセージを感じました。
高麗芝のフェアウェイ、野芝のラフで使用するのであれば「S」グラインドで十分です。むしろ、それが合っているように思いました。他のグラインドは、試していませんが、多分ボールを飛ばさないテクニックに応えてくれるウェッジになっていると思われます。そっちが好きだというゴルファーは、選べるのです。
『OPUS』は、とても気分良くさせてくれるウェッジでした。キャロウェイの最先端と極上を知りたいゴルファーには、使うほどに楽しめるクラブになっています。
【試打ギアスペック】
『OPUS』
ヘッド素材 軟鉄
ロフト 52度/Sグラインド、56度/Sグラインド
シャフト N.S.PRO 950GH neo(S)
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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