ネックと形状、どっちが大事?パターマニアのプロに聞く!
ツアーギアに詳しい人なら、世界ランク1位でずっとブレード型を使ってきたスコッティ・シェフラーが、今年マレット型パターにして4勝と、無双状態になったことをご存知だろう。では、マレット型が全て正解か?と言われると、ブレード型で今年5連勝したネリー・コルダもいるため、そうとも言い切れない。
昔から「パッティングに形無し」とよく言われるが、どんなクラブカテゴリよりも、幅広い形状バリエーションがあるのがパター。ネック形状も加えれば、多種多様すぎて「自分に何が合うのか?」よく分からない人も多いはず。「ネックや形状に何か、正解はないのか?」と、問いたくなる。
この疑問を探るべく、オデッセイの“合体パター”こと、『Ai-ONE TRI-BEAM』と『Ai-ONE Milled TRI-BEAM』の全形状をパターマニアの追分功一プロに試してもらった。過去にゼロからパッティングロボットを複数台自作し、パターフィッティングを6,000人以上にした経験を持つ、設計にも携わる専門家だ。
「ブレード派は自分でミス対策済み」
そんな追分プロ自身は、ずっとブレード派。PINGのアンサータイプを長く使用してきたが、他社のクランクネックブレードについても触れ、「ブレード型は『難しい』とよく言われますが、プロとアマチュアでは、基本技術が少し違うかもしれません」と、アマチュアの実状を話しだす。
「私が6000人以上フィッティングしてきた経験で、アマチュアゴルファーの本人はみな真っすぐ『ストレートに動かす』意識の方が大半なものの、実際にストレート軌道の人は18%しかおらず、セミアークが47%、アークが36%と、実態はストロークが円弧を描いてフェース開閉も入るアマチュアが大半なのに『ブレード型は難しい』と仰いますよね。
本来のストローク軌道からすれば、82%の人が『ブレード型が合うはず』ですが、肌感として選ぶ人は3~4割ですかね。その3割の中でも『すごく入って、替えがきかない』という人は5~10%くらい。そういう上級者の方は、プロと同じようにブレード型のミスヒット対策が元々出来ています」(追分)
その対策の中身とは、トウやヒールに打点を外しても、フェースが負けてシャフトが回転することを防ぐ「左手小指からの3本のしっかりとした握り」。ブレード型が難しいという人は、この対策を知らずに「伸ばした右手人差し指で突いたり、押したりする人も多い」。ブレード型を選ぶ“前提”や“対策”が上級者と全く違うと言うのだ。
『Ai-ONE TRI-BEAM』ならミス対策不要
その点、樹脂+アルミ製インサートの『Ai-ONE TRI-BEAM』も、チタン製インサートの『Ai-ONE Millede TRI-BEAM』も、「打点ブレに強いフェース」+「ミスヒットに強い▲ネック」の合体だから「そういったブレード型へのミス対策自体が不要になると言ってもいいかもしれません」と追分プロ。
「全形状を試しましたが、特に元々ラケットホーゼル(▲ネック)自体に、高MOIドライバーに似た効果を感じるんですよね。テークバックの際からずっと▲の部分に面を感じながらストロークできるので、高MOIドライバーをシャットに上げる時みたく元々フェース開閉自体を抑えて振れるので、ヘッド挙動・フェース挙動ともブレード型でも全然安定しやすいです。
その上、Ai設計のフェースインサートは、両方とも明らかに打点を外しても届きやすくなっています。私はチタン製インサートの音が好みですが、樹脂インサートの『#1』の方がよりヘッドも大きく打感もソフトでアベレージゴルファー向きと言えそうです。ミルドの『ONE T』も、ブレード型のミス対策が不要で、本当にショートしづらいですね」(追分)
追分プロが過去に使った、昔のクランクネックブレードと比較すると、顕著な差が。特に『Ai-ONE TRI-BEAM』の『#1』はトウに2cm打点を外して10球打って、最大64㌢しかショートせず、昔のブレードの最大160㌢ショートより15%近く改善。また、左右ブレに関しても、当たり負けずに5~6%の改善効果が出た。
ブレードとマレットの垣根がなくなる!?
今作の全形状を試した追分プロが最も良い結果だったのは、超幅広ブレードの『Ai-ONE TRI-BEAM ダブルワイドCS』だった。ブレードと言い切れず、見方によってはマレットとブレードの間の子のような形状だが、この境界線の無さこそが、今作の特徴かもしれない。
「私は幅が細めのクランクネックブレードの見た目に慣れているのに、打ってみて、左右ブレもタテ距離もすごく少なくなったのが『ダブルワイドCS』でした。やはり、ラインによってはスパット通過時に1円玉くらいの差が8メートル先で左右6~70㌢ほどズレるのが普通ですが、それもない。
▲ネックとAiフェースの合体作なので、今までの『ブレード型はミスに弱い』という常識が全く取っ払われています。慣れた見た目だけじゃない、自分の新たな可能性にも気付けるというか、ブレード派もマレット派も、どちらも取り込める包容力を持っているのがいいですよね」(追分)
もちろん、従来の見た目のモノが好きな人には、よりシャープに引き締まった『Ai-ONE Milled TRI-BEAM』も選べるが、『合体パター』の中で選べば、追分プロを例に、どちら派か決めつける必要はなさそう。従来のブレードの弱点は払拭済みなのだ。(編集部M・K)