オートマチックにも打てるけど、感性で使ってこその『Spider TOUR Z TRUSS TM1』
ベストスコア「67」、ホームコースのハンディキャップ「0」を誇る、貧打爆裂レポートのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、ギアについての噂の検証をします!実際にゴルフコースに持ち込んで、動画を撮影しながらラウンドしたレポートです。
配信日時:2024年5月23日 08時00分
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
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【注目ポイント】
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は、テーラーメイドが2024年3月8日に日本限定発売したパターです。同時に発売になった『Spider TOUR TRUSS シリーズ』の中で、『Spider TOUR Z TRUSS TM1』だけが全く新しい『Spider TOUR Z』というヘッドなのです。他のラインナップは、すでに販売されているヘッドです。
日本限定発売なのは、「トラスホーゼル」が日本でだけ大人気で、ツアーでも実績を積んでいるという不思議な現象があるからだと推測します。日本のコースに合っているということではなく、新しい技術の浸透が速いということなのだと思われます。例えば、現在、世界中で使用されているユーティリティ、ハイブリッドは、日本生まれ。日本独自のお助けクラブとして育ったものが、世界に認められて広まったのです。新しいモノ好きで、認めればあっという間に右向け右でセオリーにする国民性が背景にあるのだと思います。
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』のヘッドの特徴は、歴代の『Spider TOUR』の中で最も重心位置が浅いことです。前重心のパターは、最近のトレンドです。『Spider TOUR』にも前重心になっているヘッドは他にもありますが、『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は、後方の両側に取り付けられたウィングもペラペラの板状で、見た目のためだけに残されたところが面白いのです。
『Spider』はその名の通りクモ型ですが、最近のラインナップは、三角が強調されて足がない形もありました。後方の両サイドの膨らみは、重いウェイトを入れて後方と周辺に重量を分散させる意味もあるデザイン。しかし、テークバックをしやすくする視覚効果として機能することもあり、多くのゴルファーから愛される一因になっていたのです。『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は、板状でもその部分を残したことには、ちゃんとテークバックがしやすくなるという狙いがあります。
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』のブラックの仕上げも独特です。「トラスホーゼル」のブラックカラーにヘッドも合わせて加工されています。前重心のパター好き、5年のクモ使い(クモ型のパターの使用者のこと)なので、『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は試打するのがワクワクしました。試打した日は、晴れで、気温は7℃~23℃。微風。グリーンは10.0フィートの速さ。使用したボールは、使い慣れていて、パターの機能に集中できる『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』の打音ですが、音量はやや控えめです。音質は、硬質で残響が少ない音になります。打ち応えはカチッとした軽めで、手応えは鈍感です。
【弾道・球筋・スピン性能】
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は、狙ったところに合わせやすく、サイトラインも目立ちます。打ち出しに癖がないので、気持ち良くコロがせます。ミスヒットに強く、芯を外してもブレにくいと感じました。
【距離性能】
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』の距離感は、他の『Spider』と比較して、少しコロがる傾向がありますが、それに慣れてしまえば合わせやすいパターです。繊細なタッチも出せるところは、打ち手のテクニックが活かせるパターとして拍手です。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』の第一印象は、「オートマチックにも打てるけど、感性で使ってこそのツアーパター」でした。しっかり打つと、綺麗に回転したボールが出るので、直進性に優れた特徴があります。『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は使いこなせれば、入りまくる日があることを想像できるパターでした。自分の感覚とリンクしたときに、最高のパフォーマンスが発揮できると思ったからです。
もう一つ感じたのは、自分のテクニックを鍛えながら使えるということ。前重心のパターの特徴で、芯が狭めで、芯に当たった感触が分かるからです。ただ、芯を外したからといってミスにならないのも特徴です。助けてくれるのに、鈍感でも当たった感覚で調子は分かるところが良いのです。
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』で、さらにもう一つ良いと思ったのは、アドレスビューです。長いサイトラインは、好き嫌いがありますが、とても綺麗で、スッキリしていてヘッドデザインにマッチしていました。ボールの大きさに対して、ヘッドの大きさがちょうど良いところも打ちやすかったです。
パットが好きで、トラスホーゼルのスパイダーを使いたいゴルファーに、『Spider TOUR Z TRUSS TM1』はオススメです。特に、前重心のパターにこだわりがあればよりオススメです。『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は、新しさが詰まっているパターです。細かいところまで丁寧に作られていて、気分良く使えるところは満点です。入っても騒ぐことなく当たり前のように淡々とパットを決めていくゴルファーに、『Spider TOUR Z TRUSS TM1』は使って欲しいと思ったのです。
【試打ギアスペック】
『Spider TOUR Z TRUSS TM1』
ヘッド素材 ステンレススチール (304SS)
フェース PURE ROLL 5ミリ厚(アイオノマー+アルミニウム)
ネック カーボンコンポジット トラスヒール
ロフト 3.0度
ライ角 70度
シャフト KBS 120 BLACK STEPLESS STEEL SHAFT
長さ 33インチ (32インチ、34インチもあり)
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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