ドライバーのヘッド体積、460㎤にこだわる必要なし!【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はドライバーのヘッド体積の話。
配信日時:2023年10月5日 03時07分
今や大多数のドライバーがルール上限の460㎤となっています。2008年に反発係数とともに、ドライバーのヘッドサイズの上限が460㎤に決まりました。当時460㎤といえば、ミスに強いアベレージゴルファー向けのモデルに多く、プロやアスリート向けのモデルは、400~440㎤が中心で、レベルに応じてヘッドサイズが分かれていました。
しかし、時は流れ、今ではプロ向けもアベレージ向けも460㎤のヘッドが主流になりました。人の慣れというものは怖いもので、私もちゃんと460㎤のヘッドを使っています。最近は製造技術が上がり、重心位置の設計などによって同じ460㎤でも、ミスヒットに強いモデルと低スピンの強い弾道が打てるモデルとで差をつけられるようになりました。そのためレベルに関係なく460㎤のヘッドが好まれています。
ヘッド体積が大きいメリットの一つは、慣性モーメントを大きくできることです。「大慣性モーメントで曲がらない」「芯を外しても飛距離が落ちずに真っすぐ飛んでいく」というフレーズを聞いたことがあると思いますが、慣性モーメントとは、インパクト時のヘッドのブレにくさを表す指数で、直進安定性の高さを示します。大慣性モーメントのドライバーに対して〝曲がらない〟という意識ができると、思い切り振れるようになるので、ヘッドスピードも上がるという効果も考えられます。また、構えたときの投影面積が大きくなることで、芯に当たりやすいという安心感も生まれます。
こうしてみると、ドライバーがすごくやさしくなったように感じますが、万人に当てはまるわけではありません。慣性モーメントが大きいというのは、インパクト時のフェースの向きどおりにボールが飛ぶということです。右に向いていたら右に真っすぐ、左を向いていたら左に真っすぐ飛びます。大きく曲がるスライスを持ち球にフェアウェイキープしていた人が、大慣性モーメントのヘッドを使うと、左に真っすぐ飛んでしまいます。左のOBに一直線なんてこともあります。ドロー系が持ち球の人も同じですが、リストの使い方でボールを曲げてコントロールする人には、いつもの曲がり球が出なくなり、逆に難しく感じるでしょう。少数派かも知れませんが、大慣性モーメントのデメリットといえます。
投影面積も同じです。安心感ととらえられる人もいれば、大きいことでスイング中に空気抵抗を感じて、ヘッドスピードが上がらないと考える人もいます。そう感じるだけでも、本当にヘッドスピードが落ちてしまいます。そういう人は、同じ460㎤でも投影面積が小さいモデルや430㎤前後の小ぶりのヘッドに対して、振り抜きやすさを感じます。ボールを曲げてコントロールする方を含めて、ヘッドが小ぶりで操作性の高いモデルに安心感が生まれます。そういった方のニーズにこたえるために、メーカーは430㎤ぐらいのヘッドを製造しています。
ヘッドサイズが20~30㎤小さくなったところで、ミート率はそれほど変わらないと思います。仮に200㎤のヘッドで打っても、空振りはしないですよね。少し小さくなっても芯でとらえることはできると思います。460㎤の大慣性モーメントドライバーは、すべてのゴルファーがやさしいと感じるわけではありません。460㎤の中でも、重心角が小さければ操作性は高くなります。自分なりの〝安心感〟でヘッドサイズを選ぶことをオススメします。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
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