先・中・元調子だけじゃない! 振りやすさに影響するシャフトの「全体しなり」と「部分しなり」【フィッターに聞く】
シャフト選びで最も優先すべきは、「全体しなり」か「部分しなり」か。合う合わないはどうすれば分かるの?
配信日時:2024年2月20日 01時00分
シャフトには、“全体しなり”と“部分しなり”とがあって、どちらのタイプにも元調子、中調子、先調子がある(全体しなりにはダブルキックもある)。クラブに興味がある人なら、「そんなことは知っている」という話だが、クラブに詳しくない人の中には、「?」という人もいる。ツアープロも担当するカリスマフィッター、吉田智さんに、ここで改めて詳しく教えてもらった。
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まず、全体しなりと部分しなりとの違いですが、その名前を見ても分かるとおり、全体がしなるか、部分的にしなるか。それがスイングにどう影響するかというと、「振りやすさ」です。一般的な傾向として、ゆったりと切り返す人は「全体しなり」が合いやすく、早く切り返す人は「部分しなり」が合いやすいのですが、それが絶対というわけではありません。
例えば、ジュニア時代にそれなりに名を馳せ、現在は某プロゴルファーのキャディ兼ユーチューブ制作を担当しているAさんの場合。見た感じ切り返しがめちゃくちゃ早かったので、当然のことながら「部分しなり」を何本か試していたんですが、ちょっと気になることがあって(フィッターの勘ってやつです)、「全体しなり」を打ってもらったら、切り返しがゆったりとしてきました。スイングというよりも切り返しのタイミングが明らかに変わったんです。
おそらくAさんの場合、プロのお下がりの「部分しなり」のシャフトを振っているうちに、自分のタイミングを合わせてしまったケースだと思いますが、こういう間違いを犯している人はアマチュアゴルファーにもたくさんいます。特にそういう人が多かったのが、日本中“ジャンボ尾崎”だったり、世界中“タイガー・ウッズ”だった時代。憧れのプレーヤーのスイングをマネしたり、彼らが使っているギアを手にすれば上手くなると思った人たちが、自分本来のタイミングを忘れてしまったのです。今でもローリー・マキロイや松山英樹選手に近づこうとして失敗している人も多いのではないでしょうか。
そういう間違いを犯さないためにも、両方のタイプを試して、振りやすさをチェックすることが大事になってきます。
ただ、ちょっと厄介なのが、メーカーのカタログには、どちらのタイプか明示されていないこと。われわれフィッターならば、振らなくても現物を見ただけで分かるものですが、ゴルフショップの店員さんの中には、そこまで詳しくない人もいます。そういう場合は、ちょっと大変ですが、“めちゃくちゃ振りやすい”クラブが見つかるまで振り続けてください。
ちなみに私の場合、打つたびにゴルファーが見せる反応を見ながらシャフトを選んでいきます。このモデルを振ったとき、気持ち良さそうに振っているか、それとも窮屈そうに振っているか。その反応によって違うモデルを打ってもらい、自分に最も合っていると思ったものを選んでもらうようにしています。
■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている
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