「硬質でカチッとした面白い打感」 懐かしいけど新しい『ピンパター B60』
ベストスコア「67」、ホームコースのハンディキャップ「0」を誇る、貧打爆裂レポートのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、ギアについての噂の検証をします!実際にゴルフコースに持ち込んで、動画を撮影しながらラウンドしたレポートです。
配信日時:2024年5月30日 08時15分
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
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【注目ポイント】
『ピンパター B60』は、ピンゴルフが2024年4月4日に発売したパターです。『ピンパター』ブランドは、2022年末に『ピンパター2023』として発売された10種類のラインナップでしたが、今回6つのヘッドが加わって16種類になりました。
通常は、新しいテーマがあってブランド展開するのがピンゴルフのパターです。例えば『PLD MILLED パター』は、ツアープロのこだわりを削り出しで実現するパターになっています。しかし、『ピンパター』には、特定のテクノロジーではなく、ピンを代表するパターが個々の能力を最大限に生かすようになっているだけなのです。
今回のラインナップの追加と同時に、ピンゴルフはパターフィッティングのキャンペーンをスタートしました。全てのゴルファーが自分のストロークに合ったパターを選べることが『ピンパター』というブランドの存在意義だとわかったのです。
『ピンパター B60』は、オールドゴルファーには懐かしいヘッドになります。20世紀末、多くのツアープロが使用し、メジャートーナメントを始め、たくさんのトーナメントに勝ったパターとして、大ヒットしたからです。21世紀初頭まで、新しいブランドが出れば『B60』がラインナップされていました。
当時、大型パターは異端扱いで、マレットパターもスタンダードとは言い切れませんでした。『B60』は名称の通り「B」に見えるヘッドが大型ヘッドやマレットにつながっていく新しいパターだったのです。特徴としては、ブレードの薄さがあります。厚いブレードに比べると半分以下しか厚みがないのです。これがシャープに見えると好んだゴルファーがたくさんいました。
2024年。セミマレットのヘッドとして、『ピンパター B60』は、久しぶりの登場になりました。懐かしさで使いたくなるゴルファーもいると思いますが、むしろ、セミマレットのパターとして、新しく感じるゴルファーがターゲットなのだと感じさせます。
試打した日は、晴れ、気温は8℃~21℃。微風。グリーンは8.5フィートの速さ。使用したボールは、使い慣れていてクラブの影響だけに集中できる『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
『ピンパター B60』の打音ですが、音量はやや控えめです。音質はカチッとした硬質、残響薄いシンプルな音です。打ち応えは弾き感が伝わり、手応えはクリアな芯感が良いものの、少し弱めです。
【構えやすさ・方向性】
『ピンパター B60』は、方向性も座りも良いです。B型の曲面も良い感じで構えやすいです。サイトラインもしっかりしています。直線的なデザインが苦手な人は狙いやすいと思われます。
【距離性能】
『ピンパター B60』の距離感は、気持ち良く転がるのに、転がり過ぎない安心感があります。扱いやすさが、タッチを合わせやすくもしてくれます。懐かしいと感じたゴルファーなら距離感に苦労しないと思われます。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『ピンパター B60』は、若い頃に使用していた時期がありました。懐かしいと同時に、今になってどうして? という疑問も湧きました。
実際に構えてみると、シャープに見えて良い感じでした。『ピンパター B60』が、ラインナップに復帰した理由は、ツアー現場からのリクエストがあったからだと聞きました。セミマレットとして、ちょうど良い感じなのかもしれません。
ブレードに分類されるパターは、むずかしいパターだと考えるゴルファーが多いと思いますが、『ピンパター B60』は、むずかしいパターではない、と感じました。マレットの要素もしっかりと入っていて、ミスしても、後ろから押してくれる感覚があったからです。また、サイトラインもガイドとして仕事をしてくれます。
試打をして、一番面白く感じたのは、打感です。今のパターは比較的柔らかい感覚の打感が多い中で、硬質でカチッとした感触だったのです。感性の領域ですが、硬質の打音が合っているゴルファーは、自覚がないケースも含めてたくさんいると思います。使ってみて慣れてくれば、打感が合っているパターは距離感が良くなって頼もしいものです。『ピンパター B60』は、そうなる可能性があるパターです。
セミマレットのパターを使いたいゴルファーに『ピンパター B60』をオススメします。懐かしさで手にするゴルファーにも、ビビッと来た、という出逢いになるかもしれません。研究者による系譜の中には、近年、スタンダードとして認められたツノ型のパターの2本の角の元は、『B60』の二つの膨らみという分析もあります。
パターは入れば勝ちです。そして、力が強くなくとも戦える珍しい分野でもあります。『ピンパター B60』は、過去に強烈な実績があり、リクエストで復活したパターです。『ピンパター B60』が合う人にとって、これは運命です。自分に合ったパターを手にできる確率はかなり低いもの。だから、新しいパターは打ってみるしかないのですが、『ピンパター B60』は古さ故にシンプルで、ドキッとさせるパターだと思います。
【試打ギアスペック】
『ピンパター B60』
ヘッド素材 17-4ステンレススチール
ロフト 3度
ライ角 70度
長さ 34インチ
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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