「アプローチが本当に楽」宮本勝昌は“止まるボール”にチェンジして全米シニアオープンに挑む
宮本勝昌は今月27日に開幕する「全米シニアオープン」を見据えて、クラブセッティングを替えていた。
配信日時:2024年6月25日 05時41分
昨季3勝を挙げてシニアツアー賞金王に輝いた宮本勝昌。今季は開幕から2戦で53位、62位となかなか調子が上がらずにいた。3戦目となった2週前の「スターツシニア」では、これまでの成績が嘘のように3日間ボギーフリーの快走で、後続に6打差をつけるトータル21アンダーで今季初優勝。キャディバッグを見てみると、今週27日に開幕する「全米シニアオープン」を見据えて、クラブセッティングを替えていた。
ドライバーのヘッドは昨年と同じブリヂストンゴルフの『B2 HT プロトタイプ』を使用している。替わったのはシャフトで44.25インチから45インチに、「飛ぶかなーと思って。ちょっと飛んでいるはず」と0.75インチ長くしている。それに伴い、ドライバーヘッドに付いている2つのオモリを、銀色の重いステンレスから、金色の軽いアルミに変更。長くなったぶん、ヘッドを軽くし、振り心地を合わせている。
実際どのくらい飛距離が伸びたのか。今年はまだ数試合を消化したばかりで単純計算はできないが、宮本の国内男子ツアーのドライビングディスタンスを見てみると、2023年は277.3ヤードだったのに対し、今年は283.7ヤードと6ヤードちょっと伸びている。
そして、「ボールが一番大きいかな」と、直近の2試合、国内男子ツアーの「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」と国内シニアツアーのスターツシニアの2試合はボールをチェンジ。打感がしっかりしていてロングショットで風に強い『TOUR B X』から、打感がやわらかくアプローチでよりスピンがかかる『TOUR B XS』に替えている。「両方使い分けたい」と言っていた宮本だったが、試合ではそれまで『TOUR B X』しか使用してこなかった。
「うちのスタッフには、つい1カ月前までは今年はずっと『TOUR B X』で行くよって言っていたんだけど…全米プロシニアでは立ち打ちできなかった」と話す。5月には「全米プロシニア」に出場した宮本だったが、4個のダブルボギーと12個のボギーを叩き、トータル1オーバー・39位タイに終わっている。「全米シニアオープンはもっと(コースセッティング)がすごいと聞いているので」と、よりグリーンに止められる『TOUR B XS』に替えたのだ。
実際、ボールを替えたタイミングで宮本の成績は急上昇。レギュラーツアー出場4試合目で今季初めて決勝ラウンドに進み、シニアツアーでは今季初優勝を果たした。
「3日間ノーボギーで回れた要因はアプローチが良かったから。それは明らかにボール効果です。本当に楽ですもん」と、ボールの力を実感している。そして懸念材料についても言及する。「横風とかアゲインストのときに、Xと比べるとXSは打感がやわらかいぶん、何かをしたくなるんですよ。それが心配でしたけど、いざ試合になると、打感は変わっても飛距離はほとんど変わらないなと思いました」。
アプローチの打ち方自体は変えてないが、『TOUR B X』よりもグリーンに止めやすくなった。「僕が打って止まるんですから、誰が打っても止まりますよ(笑)。Xは初速が出るから芝を噛んでも前に行っちゃう。それがXSだと初速がそこまで出なくて、アプローチのスピン量が圧倒的に多いんです。ファーストバウンドから芝を噛んでくれる。下りのアプローチも緩むことなく打てるので救われていますね」。
また、ボールと同じタイミングでスコッティ・キャメロンのファントムシリーズの3代目、マレット型の『ファントム11』に変更している。前作の『ファントム X 11』とは少し形が違う。フェースは『ディアルミルド』で、深い溝を入れた後にもう一度削りを入れて、やわらかい打感と安定した転がりを両立させている。
それにしても、ボールに加えて、パターまで同時に替えてしまったらグリーン上のタッチに影響しないのだろうか。「打感はもちろん違います。言われてみたら打感がやわらかいかなと思います。だけどすぐに慣れますよ。どんなパターを使おうが、どんなボールを使おうが、自分の目と感覚と脳が合致していないと上手くいかない」と本人はあまり気にしていない。成績が伴っていることもパターとボールへの信頼につながっているのだろう。
「全米シニアオープンのカチカチなグリーンでも、アプローチもショットもおそらくXよりは球が止まりやすいと思う。全米プロシニアよりも難しいコンディションだと思うけど、戦えるかなと期待はしていますね」。昨年の全米プロシニアでは2日目まで優勝争いを繰り広げ、最終的に10位に入った。シャフトを伸ばして飛距離アップしたドライバーと、より止まりやすいボールで上位進出を狙う。
【宮本勝昌のスターツシニア優勝クラブセッティング】
1W:ブリヂストンゴルフ B2 HT プロトタイプ(9.5度/Tour AD VF-7X、45インチ)
3W:テーラーメイド ステルス+(15度/Tour AD CQ-7X)
5W:テーラーメイド ステルス+(19度/Tour AD CQ-8X)
3U:HONMA TW-UT(N.S.PRO MODUS3 TOUR125 X)
4I~PW:ブリヂストンゴルフ 221CB(N.S.PRO MODUS3 TOUR125 X)
52,58度:ブリヂストンゴルフ B-Limited BRM2 フルミルド(N.S.PRO MODUS3 TOUR125 X)
PT:スコッティ・キャメロン ファントム11 プロトタイプ
BALL:TOUR B XS Just-in Alignment
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●グリーンまで残り160~190ヤードの距離は、番手選択に悩むところ。使うクラブの選択肢の中で最もバランスが取れているのがUT。UT選びで悩む人には関連記事【160~190ヤードを攻略! 最新ユーティリティ23機種のタイプ別選び方ガイド】がオススメ。これでピッタリUTが分かるかも……。