『スリクソンZXi』がさらにぶっ飛び化! カスタムシャフトを試すと『ディアマナBB』が“最強の相棒”だった
取材協力/フナボリゴルフ 撮影、構成/田辺直喜
配信日時:2024年10月15日 22時00分
ーー毎年、秋はカスタムシャフトが勢揃いする季節だが、《この秋最大の注目モデル》と言っても過言ではない、最新ドライバーをチェック。そう、発表前から大きな注目を集めていたダンロップ『スリクソンZXi』シリーズで、三菱ケミカルの新作『ディアマナBB』の組み合わせを試すテストを敢行したーー
松山英樹が即投入した、圧倒的性能の最新ドライバー
今、多くのゴルファーが発売を今かいまかと待ち侘びている最新ギアがダンロップの『スリクソンZXi』シリーズだ。9月に国内男女ツアーでローンチされ、多くの契約プロがテストを行うと、圧倒的な初速性能に飛び付く選手が続出。米国男子ツアーでも、プレーオフ最終戦の「ツアー選手権」に持ち込まれ、あの松山英樹が即実戦投入を決めるなど、詳細が発表される前から大きな話題を呼んでいた。
松山と言えば、クラブに対するこだわりが強く、入念な調整を重ねた上でなければ実戦投入はしない選手。しかも「ツアー選手権」はフェデックスランク3位で迎え、初の年間王者も視界に入る超重要な大会だった。腰痛という不安要素があることも考えると、通常であれば、慣れない新クラブ投入などまずあり得ないはずだった。
しかし、松山はいきなり『スリクソンZXi LS ドライバー』を実戦投入。同大会では9位と年間王者には届かなかったが、先日の米国と世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」でもスリクソンの最新1Wを使用。最終日シングルス戦で世界ランク1位の絶対王者、スコッティ・シェフラーを破る大金星を上げる活躍を見せた。
そして、ついに去る10月10日、ダンロップは『スリクソンZXi』シリーズの全貌を明らかにした。【i-FLEX】と呼ぶフェース裏側の《》部分を厚肉に、真ん中部分を最薄にする新技術で反発性能もフィーリングも大きな進化を遂げたという。モデル名にも変更が加えられ、これまでの「5」や「7」といったナンバリングから、「MAX」「LS」「TR」といったヘッド特性を示す名称が採用された。
松山が即投入を決め、結果も出ているだけに、性能の高さに疑いの余地はない。しかし、アマチュアにとってどれだけの性能を秘めているのか。そこで早速、試打クラブを取り寄せて『スリクソンZXi』ドライバー全4機種をテストすることに。試したのは、JGTOの2ndQTに出場した経験を持つゴルフライターの田辺直喜。ここからは、彼の本音にバトンタッチするとしよう。
『スリクソンZXi』は『ディアマナBB』で試したい!
今年の秋の新作の中でも、とりわけ注目度の高いクラブが、ダンロップの『スリクソンZXi』シリーズでしょう。まずはヘッドの「顔」を並べて見てみましたが、ヘッドごとに微妙な違いがあるものの、どれもマットブラックを基調として落ち着いたデザインで美しい形状に仕上がっていました。余分なデザインを排除したシンプルな見た目は、構えやすく、ショットに集中できるイメージで好印象です。
今作は、純正シャフトも三菱ケミカル製『ディアマナZXi 50 for スリクソン』を用意していますが、カスタムシャフトもこの秋発売の各社シャフトが多数選べます。中でも、是が非でも試したいのが、マットコスメでヘッドと最強マッチの『ディアマナBB』。しっくり来過ぎるデザインは『ディアマナBB』でカスタムして!と、ダンロップが言っているようなモノですよね。
そして、実はこの『ディアマナBB』は、私自身がエースシャフトしてドライバー(6X)と3W(7X)に装着して使用しています。開発段階でプロトタイプシャフトのテストに参加させてもらったこともあり、非常に思い入れの強いシャフトなのです。既に打って、エースとして採用している人も多いでしょうが、ここまでクセがなく、分厚い当たりを何度でも復元できるモノもそうないと思いませんか?
『ディアマナBB』は、いわゆる“青マナ”の系譜の中元調子シャフトです。手元にしっかりとした剛性があり、中元部から順に中間、先中とスムーズにしなってくれます。どこか一部分が極端にしなるようなクセがなく、どんな振り方、ヘッドでもスクエアなインパクトを作りやすいモデルで必ず間に合います。個人的には、手元がしっかりし過ぎず、万人に合うオーソドックスなしなりと復元だと思います。
先端部の剛性を高め、ネジレ特性をコントロールしていることも特徴なため、最新の高MOIヘッドと相性が良いので『スリクソンZXi』シリーズにも間違いなく合うはず。そこで、今回の試打ではヘッド性能だけでなく、純正シャフトに似ている『ディアマナBB』も試して、どんな違いが出るかを見ていくことにしました。『ZXi』ドライバーのカスタムシャフトを検討する人は、ぜひ参考にしてほしいです。
『スリクソンZXi MAX ドライバー』でシャフトの違いを比較
まずは、純正シャフト(50S)を装着した『スリクソンZXi MAX 』(10.5度)を試打しました。振ってみると分かりますが、純正シャフトはコスメだけでなく、挙動も少し『ディアマナBB』に近いものがありました。手元部にややしっかり感があり、中間部から先端にかけて緩やかにしなってくれますので、高くつかまったボールが打ちやすくなっています。
シャフトの硬さを示す、インターナショナルフレックスコードは50Sで【4333】の表記。ただし、しなり量が多く、先端がやや軟らかいぶん、私のパワーだと少し吹け気味の弾道になりました。弾道計測をすると、ボール初速64.8m/s、打ち出し角9.3度、スピン量2,922rpmで飛距離が266ヤードという数値でしたね。
高MOIヘッドは、直進性が高く曲がりを小さく抑えられる一方で、ヘッド後方の比重が大きいぶん、インパクトでロフトが寝て当たりやすい特徴があります。1Wの弾道が低い人にとってはメリットになりますが、パワーのあるゴルファーが使うとボールが吹け上がって飛距離をロスする結果になりがちです。
しかし、『ディアマナBB』の53Sを装着した途端、そんなデメリットが払拭されて、適正スピンで前に伸びるボールが打ちやすくなります。結果、高MOIヘッドの曲がらない特性が強調される形で、どんどん叩けるようになっていきます。自分とヘッドのポテンシャルを最大限に引き出して、飛距離を伸ばせる組み合わせなので、今まで高MOIヘッドに苦手意識を持っていた人にも試してほしいですね。
53Sのフレックスコードは【6643】で、63Sは【6556】と先端剛性が上がることが分かります。ちなみに『ディアマナBB』は、40~80グラム台までの全21スペック中、『ZXi』のカスタムでは上の14スペック選べます。しかも、三菱ケミカル独自の技術で、どの重量帯、フレックスのシャフトでも特性や振り感が揃うように精密に設計されているので、あらゆるパワーのゴルファーが性能を実感できます。
最強の組み合わせは『LS』と『ディアマナBB』
純正シャフトとカスタムの『ディアマナBB』の違いを体感できたところで、『スリクソンZXi』シリーズの他の3機種も順にテストしていきました。ノーマルモデル『ZXi』は、構えた見た目が『MAX』に似ていて、打つと高めのつかまったボールが打ちやすい印象でした。ヘッドの挙動がニュートラルですので、4モデルの中では一番クセがないヘッドと言えそう。だから『ディアマナBB』が合わないわけがない。(笑)
一方、洋梨型の『TR』は、どれだけ叩いても左に行く気配がなく、強いフェードの打ちやすいヘッドでした。スピンもしっかり入ってくれるので、弾道を操作したいゴルファーにピッタリのドライバーになっていました。これも『ディアマナBB』との相性秀逸で、強い球で飛ばせます。
最後に試したのが、前述した松山英樹プロがすでにツアーで使用する『LS』です。構えてみると、ロースピンモデルとしては投影面積が大きめで、とても安心感があります。純正の6Sで打つとやや低めの打ち出しから、スピン少なめの強いボールでぐんぐん伸びるように飛んでいきます。【i-FLEX】による初速性能の高さもありますので、もっとも叩けて、飛ばせるドライバーだと言えそうです。
「コレはイケそう」と直感的に感じたため、試しに、自分のエースシャフトと同じ『ディアマナBB63(X)』を『ZXi LS』ドライバーに装着して打ってみました。すると、ボール初速66.7m/s、打ち出し角8.6度、スピン量2,379rpmで飛距離281.3ヤードという数値が出ました。やはり、コスメだけでなく『ディアマナBB』は『ZXi LS』にも満点の相性と言えそうで、このままエースに昇格しそうな勢い。
『ディアマナBB』のタイミング良く叩ける性能と『LS』のヘッド特性は、最高にマッチしていました。爽快なインパクトの打感も気持ちいいですし、何よりスイングパワーを最大効率で飛距離に変換してくれる組み合わせですので、飛びを重視するゴルファーにおすすめです。
今回は、『スリクソンZXi』シリーズの試打だけのはずが、思わぬ発見がありました。それは『ディアマナBB』を装着すると飛距離性能も、振りやすさも一気に高まること。純正シャフトもよくできていましたが、本当の意味で『スリクソンZXi』の性能を引き出すには『ディアマナBB』が“最強の相棒”だと言えそうです。これからお店に『スリクソンZXi』の試打クラブが並びますので、ぜひ『ディアマナBB』で打ってみてください。この秋の「最注目」という意味が分かると思いますよ。(ゴルフライター・田辺直喜)