非力ながら高い技術を駆使してツアー通算5勝を挙げる青木瀬令奈。ギアに人一倍のこだわりを見せる彼女のクラブセッティングについて、直撃取材した。

ドライバーでは『ゼクシオ エックス』（9.5度）、3Wでは『スリクソンZ 65』（15度）と、比較的前に強い球が出るヘッドを使っている青木。しかし、5W・7W・9Wではやさしく球がつかまって上がる深重心設計の 2017年モデル『ゼクシオ10』を採用している。

「5W・7W・9Wは6年ぐらい同じモノを使っています。やさしく打てる安心感とヘッドが小さいのが好きなので。最近のクラブはどんどんヘッドが大きくなっているので、なかなか変えられない部分もあります。スピン量や自分の打点に応じたギア効果の度合いとか、長い間使っているので分かっているんです。ショートウッドは私の生命線なので、ヘッドが割れるまで使いたいなと思っています」

UTは5U・6Uでロフト25・28度の2016年モデル『スリクソン Z H65』を入れて、その下に7Uの『スリクソン ZX』（30度）を採用して、7番アイアンさえ抜いている。5U・6Uは、長く使用しており、もう手放せないギアとなっている。

「元々『スリクソン ZX』を6Uの代わりに入れると、FPが多い（刃が前に出ている）のか上に飛んじゃうので5ヤードぐらい飛ばなくて。ロフトを立てると刺さっちゃいますし。30度に寝かせてもらって（7番アイアンの代わりに）7Uとして使っています。シャフトの挿し方などで替えたみたいです。7番アイアンと比べるとスピン量が800回転ぐらい増えて、キャリーが一緒でした」

青木はアイアンを8I～PWの3本しか入れていないが、8Iにはより球が上がりやすい『スリクソン ZXi5』を投入。下の番手は『スリクソン ZXi7』という、操作性が高くスピンが入るモデルを入れて、徹底してスコアメイクできるギアを追求している。

開幕戦で撮影したときに入れていたパターは『スコッティ・キャメロン セレクト・ニューポート』だった。「これは開幕戦の高麗芝の琉球ゴルフ倶楽部仕様です。これが一番合うんです。打った初速のゆらぎが少なく直進性があります。オデッセイのブレード型も試して、こちらの方がブレが多少少なかったです。川奈ホテルゴルフコースの高麗芝やリコーカップの宮崎CCの高麗芝とも違うんです。高麗の中でもここのキレイな芝質に合っていますね」。

すべてのギアの指針となるべきものとして、ボールにもこだわりを持つ青木は、2025年モデルの『Z-STAR ♦︎』ボールを使用している。

「コロナ前の2020年に（『Z-STAR ♦︎』）を使い始めましたが、年々『Z-STAR XV』と『Z-STAR』の境目がなくなってきました。硬いのが軟らかくなり、軟らかいのが硬くなり。懸念はありました。でも『Z-STAR ♦︎』が出て、『すごくいいとこどりだな』と思いました。打った感触はセカンドのスピン量だけ入ってくる。UT、FWをよく使う私にしたらメリットしかありません。もちろん打感も柔らかくて、ショートゲームで一番感じますね」

彼女ほどギアのチョイスにこだわる女子プロも珍しい。飛距離不足というハンデを高い技術とギアで補う姿こそ、真のプロゴルファーと言えるだろう。

【青木瀬令奈のクラブセッティング】
1W：ダンロップ ゼクシオ エックス（9.5度／ベンタスレッド 5R）
3W：ダンロップ スリクソンZ 65（15度／アッタス COOL 6R）
5・7・9W：ダンロップ ゼクシオ10 2017（18・20・23度／アッタス COOL 6R）
5・6U：ダンロップ スリクソン Z H65 2016（25・28度／アッタス HY IPブルー 65R）
7U：ダンロップ スリクソン ZX（30度／アッタス MB HB 65R）
8I：ダンロップ スリクソン ZXi5（N.S.PRO 750GHラップテック S）
9I・PW：ダンロップ スリクソン ZXi7（N.S.PRO 750GHラップテック S）
50・58度：グラインドスタジオ プロト（N.S.PRO 850GH R）
PT：スコッティ・キャメロン セレクト・ニューポート
BALL：ダンロップ スリクソン Z-STAR ◆　2025

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