バンカーが苦手ならヒール側バンスのウェッジがいい【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はウェッジのバンスのお話。
配信日時:2023年11月14日 03時23分
私のスタジオに来るお客さまから、ウェッジのバンス(ソールの膨らみ)について、質問を受けます。同じように見えても、微妙に形や角度が違うので分からないと。世界でも日本でもプロの使用率ナンバー1の〈ボーケイ SM9〉は、市販品でも7種類のバンス形状がありますからね。
そもそもバンスの役割というのは、リーディングエッジが地面に刺さらないためにあるものです。ダウンスイングでヘッドが下りてきて、インパクト前にリーディングエッジ(刃)が地面に当たると、チャックリします。ソール部に膨らみがあることで、刃よりも先にバンスが地面に当たります。バンスは丸みを帯びているので、地面を滑ってくれます。バンカーでもヘッドの抜けがよくなり脱出しやすくなります。簡単にいうと、バンスは〝お助け機能〟です。
しかし、ツアープロはフェースを開いたり、特殊な打ち方をするので、膨らみが邪魔になることもあります。必要以上にバンスが当たるとボールが飛びすぎたり、地面に弾かれてトップしてしまいます。そのため、自分の打ち方に合わせてバンスの邪魔な部分を削っているのです。ツアープロのウェッジを見ると、みんなバンスの形状は微妙に違います。その流れから市販品でもバリエーションが増えたのです。
自分に合ったバンス形状の選び方は大きく分けて2つ。1つはアプローチの打ち方です。ボールを右足寄りに置いてハンドファーストに構え、手元を先行させて打つ人は、ヘッドが鋭角な軌道で下りてくるので、バンスが少ないと地面に当たりません。バンス角12度以上が適しています。
逆に、ボールを真ん中、もしくは左足寄りに置いて、インパクトで手元よりもヘッドを先行させる形で打つタイプ。もしくは自分でバンスを当てられる人や、すくい打つ人も同じですが、ヘッドが鈍角で下りてくるので、バンスが小さくても地面に当たるのでバンス角8度以下が適しています。打ち方によって、バンスの効果を発揮しやすい角度があるのです。
2つ目は、バンカーショットが得意か、そうでないかです。
バンカーはフェースを開いて打つのが、一般的です。「フェースを開いてバンスを多く出して」といった言葉を聞いたことがあると思います。フェースを開くことでバンス角が増えて、ヒール側のバンスが当たりやすくなります。バンスが砂に当たると滑りながらヘッドを前に出してくれるので、脱出しやすくなります。バンカーが苦手な人は、ヒール側にバンスがあるモデルやソール形状が四角いモノが向いています。ツアープロがヒール側のバンスを削っているからといって、バンカーが苦手な人がマネすると、難しいクラブになってしまいます。
バンカーが得意な人は、自分でボールの下にヘッドを入れて滑らせることができるので、ヒール側のバンスは少ない方が操作性はよくなります。ヒール側が当たりすぎると飛びすぎることもあるので、ヒール側が丸く落ちているものがオススメです。
さらに、バンスには幅もあります。バンス角が同じなら幅広のほうが、バンスは当たりやすくなります。バンカーが苦手で、アプローチはハンドファーストに構えて打つタイプだが、うまくいかないという人は、バンス角大きめのソール幅広めがミスを助けてくれます。
バンスの角度とヒール側のバンスの有無が、バンス選びの基本になります。トゥ側のバンス形状というのは、大きな影響はないと思ってください。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル