オーバルキャビティ構造は「芯、広すぎ」。PRGR『04』アイアンは“長く使える感”が異次元!
取材協力・フナボリゴルフ、REAL SPEC GOLF
配信日時:2024年9月2日 01時28分
“長く使えるアイアン第一”の石塚&斎藤
今夏、プロギア『RS X』シリーズドライバーで「ミドル・ワンオン」に成功し、その性能を高く評価した石塚昌広と斎藤大は、東京・江戸川区の「フナボリゴルフ」に新たな工房「REALSPEC GOLF」をオープンしたばかり。実はウッドのフィッティングより「長く使えるアイアンをお客さんに当てるのが得意」だと言う。
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そんな二人に「プロギアの新しいアイアンとウェッジがある」と伝えると、二つ返事で「打ちたい!」。が、新作『04(ゼロヨン)』アイアンのセミラージサイズを見るなり表情が曇る石塚。「これってやさしい飛び系ですよね? 小ぶりなアスリートモデルじゃないんですか…」と、HS48m/sのMB好きはガッカリ顔だ。
石塚は自身が理想とするアイアンの試作・設計も自費研究するアイアンマニアで、特にサイズ面にはうるさい。「フェース長は80㍉近くあるでしょ? ミスに強いデカヘッドは、操作性が悪いから苦手なんですよ」と、プロギアアイアンの中でも最も幅広く使える『04』を打つ前から、先入観で「合わない」と決めつける。
が、盟友の斎藤クラフトマンは「普通に構えやすくてすごくいい顔ですね」と好感触。フェース素材がクロモリ鋼な点に石塚が「クロモリも苦手」と食わず嫌い発言を繰り返すが、弾道計測器『フライトスコープ』でレンジボールテストを敢行。7Iロフトは28度と、人気のど真ん中だが、その性能はどうなのか。
「オーバルキャビティ構造、ヤバすぎ」
石塚は初球を打つなり「MCI for PRGR」の純正シャフトに反応。「自分が使う重めのスチールよりも軽すぎますけど、手元の剛性感で大きめのヘッドを力感なく走らせてくれる感じで、すごく振りやすい。ヘッドとバランスがすごく合ってるから、アンダースペックでも気持ちよく打てて驚きますね」。
それもそのはず、プロギアアイアンの中で、やさしい『03』や『05』にも装着される純正シャフトは、多くのアベレージ層からシニアアスリートまで評価の高いモノ。打っていく中で石塚は「スミマセン、さっきの前言撤回! めちゃくちゃ芯が広く感じるんですよ。何で?」と困惑しはじめる。
記者が「プロギアアイアンの中で最も幅広く使える、現代のど真ん中モデルを目指すため【Oval Cavity(オーバルキャビティ)構造】を採用したそう」と伝える。すると「異常なくらい芯が広くてかなりトウ下に外しても、普通にナイスショットの打感と飛距離なんですよ。試しにヒール側もわざと外しても大丈夫。溝の入ったエリアは全部芯と言っていいくらい、許容性が広いし距離も普通に出ます」と興奮。
シャフトに合わせて軽く打って185~192yd前後が出続けていたため、記者はてっきり芯付近だと思っていたが、石塚によれば「芯を外してるんですよ、コレでも……。有り得ます?」。疑う記者にフェースのシールで証明し「ほら、こんな打点ですよ?オーバルキャビティ、芯広すぎでしょ。テニスのラケットみたい!」と、大声を出す。
「重心距離が長く、左のミスが助かる」
この評価は片手シングル級かつ、ツアープロのクラブも支える石塚だからでは? とHS40m/s前後の斎藤クラフトマンにも『04』アイアンを試してもらう。すると、やはり石塚と同様の感想で「自分もヒールより遥かにトウ側の許容性を感じました。少し重心距離が長いのか、いつもの巻き込みがちなミスでも、左にいく量も少なくかなりやさしい。でも、上級者もいけそうな本格派な面も感じますよ」。
事前に伝えなかったが、今回の『04』アイアンは【オーバルキャビティ構造】という特殊なフレームのような設計で、低重心かつMOIを高めている。また、センター重心化を図り重心距離も「40mm」とやや長めだ。そう伝えると、斎藤クラフトマンは「明らかに普通のアイアンよりトウ打点に強いし、外したのに気づかないほど打感も柔らかい。自分が嫌いな引っかけ系の左のミスが収まるのが嬉しい」と頷く。
そして「これ、コンコンチェックでもかなり芯が広いのも分かりますが、顔も含めて上級者もいけると感じます」と、チラッと横目で石塚の冒頭の食わず嫌い発言を揶揄する。「初心者・中級者・上級者と幅広く使えるのは、大きめだけど構えた形状がキレイだから。トップラインに丸みがあってフェースの高さもあるので、慣れるとそこまで大きく見えない」。
「他社もこの構造を真似そう」
MBを使う石塚は、試打を重ねると「この『04』アイアンを開発した、プロギアの人はかなり上級者でしょ?」と呟く。理由を尋ねると「フライトスコープで言う【プロ球】が普通にバンバン打てるんですよ。ドロー目に出て落ち際がフェード、反対にフェード目に出て、落ち際がドロー。PGAツアーの中継や、男子プロのショットメーカーがこういう曲がらず飛ぶ球を打つのはインパクトで“押し”を入れるからで、『04』アイアンはやさしい系に見えて競技で使える球が打ちやすい。併せ持ったアイアンは滅多にないですよ」。
石塚が「本当に長く使えるアイアン選び」の絶対条件がこの部分で「ほら、よく打つ前にクルッとヘッドを回してから構えるプロも多いでしょう?あれは無意識にヘッドの操作性を確かめてるんです。『04』アイアンもすごく回しやすい。コレは“押せる”やつです」。ただ、極めて感覚的な話しでもあり、それは“操作性”に優れるということか? ならば、MBや小ぶりなヘッドの方が“押し”やすいはずでは?と、しつこく問う。
「いや、操作性が良すぎると“押し”をやり過ぎがちで、練習量と調子の良さが無いとダメ。だから『04』アイアンはそこも有り難い。重心距離が長めで“押し”をやり過ぎないから安全というか、他社の大きめのモデルって、そういう“押し”が使えないモノが多いんですよ。だから、外ブラのアベレージ向けの大きなヘッドをプロは使わないでしょ? 『04』アイアンは【芯広なのに、技も使える】のが凄いなと。それに、ここまで短いネックなのに、打点ブレで押し負けないように出来てるのも中々ないことですよ。
多分、ラケットのフレームみたいに周囲が軽い【オーバルキャビティ構造】だから、このサイズでも操作性と許容性を両立できたのかな。他社のこのサイズ感のやさしい系は“押し”が使えないのがほとんどなので、そうとしか考えられない。開発の方が狙って作った操作性なのか【オーバルキャビティ】の副産物かは分かりませんが。それに、この先のモデルも相当強いはずで、このオーバル構造で、もし小ぶりが出たら、それこそゲームチェンジャー。今後、他社も絶対真似るはずですよ」(石塚)
『0ウェッジ』もサイズ感が『04』に合う
説明を聞いても“押し”の正体と物理現象がよく分からない。半信半疑の記者に、石塚は「実例を見せますよ」とデモンストレーション。「ボクはドローがベースなので、今から落ち際がフェードになる“押し”を入れますね。『04』アイアンの7番は28度でさっきまで軽く打つと190yd強でしたよね? ちょっと内側からヘッドを入れる中で、インパクトの“押し”でフェード回転にスピン軸に少し傾けるので」。
弾道を見るとたしかに頂点まで中・高弾性ドローで出ていったが、落ち際がわずかに薄くフェードな球が、それまでより先の着弾地点に届く。そして、計測器の表示「220yd弱」にびっくり。石塚はしたり顔で「このサイズで意のままに押しやすいなんて、初見では信じられないでしょ」と、冒頭の思い込みを釈明し「ゼロヨンは羊の皮を被った狼です…」と苦笑いする。
最後に、『04』アイアンとほぼ同一サイズで流れが整えやすい、PRGR『0』ウェッジを斎藤クラフトマンからテスト。フェースを開いて構えがちな彼に石塚は「スクエアに構えた方がこの幅広ソールはバンスが邪魔しない」と助言。30、50、95、110ydと弾道のラインがストレートに整っており「たしかに、幅広ソールがやさしく滑ってくれて、自分のウェッジより距離のロスが少なく、『04』アイアンの流れにもピッタリに感じますね」と話していた。
石塚も「ボクにはちょっとサイズが大きすぎますが、『04』アイアンと揃えたい人にはピッタリのサイズ感ですね。地面から打つクラブは見た目の安心感だけじゃなく、ヘッド挙動を整える意味でもサイズが揃っている方が統一感が取れていいです。ウェッジは引っかけないことがまず大事で、その点でも『04』と挙動がすごく整っていました」と納得していた。(編集部M・K)
◆取材協力/フナボリゴルフ(https://funaborigolf.jp/)/REAL SPEC GOLF(https://realspecgolf.jp/)/PRGR(https://www.prgr-golf.com/)