昨年、念願のツアー初優勝を果たした阿部未悠。「彼女はブリヂストン契約の女子プロの中でもかなりギアに敏感で、自分でいろいろ調整を考えてピッタリなクラブを常に探しています」（ブリヂストンスポーツの女子プロ担当）という彼女のセッティングを撮影すると、面白いスペックを発見。その詳細をレポートしたい。

ドライバーはブリヂストンの『B2HT』（9.5度）ヘッドに『ベンタス TRレッド 50R』シャフトを採用。どこを気に入っているのかを本人に聞いてみた。

「スピン量が適正に入ってくれて、弾道の高さも確保できるので使用しています。その方がやっぱりキャリーが出る。キャリーとランの比率が良かったんです。本来はつかまりやすいヘッドなので、持ち球のフェードが出やすい。自分でつかまえなくても、つかまって左に打ち出せるので楽ですね」

そして、シャフトの『ベンタス TRレッド 50R』は自然にしなりを生み出せるモデルだと語る。「先がちょっと走ってくれるので、つかまりやすいですね。ヘッドがちゃんと動いて欲しいから使っています。あまり、しならないシャフトだと自分でしならせようとして手先で操作しちゃう。力みにもつながるし好きじゃないんですね」。

3・7Wでは、タイトリストの『GT2』（15・21度）ヘッドに『スピーダーNXグリーン 60S』を採用。新モデルをすぐに採用するほどかなり気に入っているようだ。「ヘッドがほどよく小さくて顔が好きなんです。ストレートっぽい顔が構えやすく、球を拾いやすい。あと左足下がりとツマ先上がりとか、ライが悪くても拾いやすい顔とヘッド形状をしていますね。座りが本当に良くて傾斜でも打ちやすいんですね」。

スコアメイクの生命線となる6I～PWでは軟鉄鍛造のセミキャビティ『221CB』に『スチールファイバーi70cw』シャフトを採用。浅重心のアスリートモデルとなっている。

「キャビティやマッスルも選択肢に入れて、このモデルを選びました。キャビティバックだと、ソールが広くて邪魔だし、やっぱり操作性が欲しいんです。ちょっと距離を落としたいときに飛んじゃうのでキャビティは避けました。ブリヂストンのアイアンはすごくよくて昔から使っています。ソールが抜けて、ちゃんと上がって止まってくれるんです。ソールは前が落としてあって、滑ってくれるので刺さる感じもないです」

顔もブリヂストンのアイアンに惚れ込んでいる理由の一つだと話す。「アイアンは顔も好きで、リーディングエッジもトップラインも真っすぐで、構えやすいので好きですね。大きすぎずに小さすぎないのもいいんですよ」。

アイアンシャフトの『スチールファイバーi70cw』を昨季ツアー途中から使用。「スチールよりやさしくてカーボンよりハードでしっかりしているから、いいとこ取りしているような感じ。上がってくれるし落下角度が増えるので、硬いグリーンでも止まってくれます。最近女子ツアーは硬いので、上がるクラブじゃないとダメなんですね」。

48・52・58度と3本入れているウェッジ『BRM2』も顔を重視して選んだ。「アイアンじゃないけど、割とストレートネックだし、トップラインも丸くなくクセのない顔なので、使用しています。フェースを開くにしてもトップラインが真っすぐの方がどれだけ開いているかが分かりやすいのが好きなんですね」。

安定したショットでスコアメイクする阿部未悠。愛用ギアを駆使して今季にツアー2勝目を挙げられるか。期待したいところだ。

【阿部未悠のクラブセッティング】
1W：ブリヂストン B2HT（9.5度、ベンタス TRレッド 50R）
3・7W：タイトリスト GT2（15・21度、スピーダーNXグリーン 60S）
4・5U：ブリヂストンB3 MAX（22・25度、ベンタス HB 7S）
6I～PW：ブリヂストン221CB（スチールファイバーi70cw）
48・52・58度：ブリヂストンBRM2（DG95 S200）
PT：ピンPLD ミルドアンサー・プロトタイプ
BALL：ブリヂストンツアー B X（セッティングは2024年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で撮影）

◇　◇　◇

今季はUTに当たり年と言われている。関連記事【ウソだろ？　ヘッドは『上』と『正面』から見たら性能が分かるの？　最新UT21機種の”顔”に注目！】を読めば、ピッタリモデルがわかります。