なぜHS50m/s超のPGA選手が【7W】を好む? PINGの回答が深い件
バケモノ揃いのPGAツアーで、実は7Wの使用者が激増中!?
配信日時:2023年6月7日 10時08分
パワフルなPGA選手が7W!?
一般アベレージゴルファーでも「3W-5W-UT」という人は多く、3Wと7Wという組み合わせの人は、かなり少数派かもしれない。ところが、この3W&7Wのフェアウェイ2本体制が、PGAツアーの新定番となる兆しを見せている。
【ビクトル・ホブランの使用ギア 】
1W:ピンG425 LST(9°Speeder TR 661TX,45.75㌅D4)
3W:テーラーメイドStealth Plus
7W:ピンG430 MAX(20.5°Ventus TR Blue 8X)
4I~PW:ピンi210(KBS Tour-V 120X)
50SS,56SS:ピンGLIDE 4.0(KBS Tour-V 130X)
60TS:ピンGLIDE 2.0(DG Tour Issue S400)
PT:ピンPLD DS72
BALL:タイトリストPro V1
なにしろ、平均ヘッドスピード51.5m/s(115.2mph)のPGAツアーの中で、ホブランはそれより速い52.9m/s(118.32mph)。ここまでのハードヒッターになぜ7Wが必要なのか? 気になってPINGの他のPGA選手の使用ギアを調べると、驚きの事実に気づく。
PING勢の6割が「上がる」7W
PINGのPGAツアー登録される29人中、使用ギアが確認できるのは27人。その中で、なんと16人(59.25%)もの選手が7Wを使用していた。前述の3W&7Wの組み合わせが15人で、10人が『G430 MAX』の7Wだ。アイアン型のクロスオーバー、ウッド型ハイブリッドなど過去作も選び放題なのに、なぜ『G430 MAX』の7Wが人気なのか? PINGの回答が下記だ。
「まず、PGA選手たちはハイブリッドを使用するケースが少ないです。背景には、FWと比べて打ち出し角が高くないこと、スピンがかけにくいといった理由が挙げられます。7Wはハイブリッドの#2や#3と比べて重心が後方にあるため、必然的に打ち出し角が高くなり、ラフからでも容易にボールが上げられます。
また、スピン (縦回転・横回転共に) がかけやすくなり、バックスピン量がロングアイアンやハイブリッドより増え、サイドスピンがかけやすいことから、コントロール性も向上します。ハイブリッドやロングアイアンよりソールが広いことも、ラフや悪いライからのショットでセットアップ時やショット時にストレスが軽減されます。
『G430 MAX』の7Wはクラウンがカーボンになり、従来作と比べ、ツアー内では打ち出し角が高く、バックスピン量が若干増えた印象があります。PGA選手たちにとって、その事がどんな状況でもボールコントロールしやすいクラブに感じていると思います。選手たちは、フィッティングで最大のパフォーマンスを発揮できるモデルを選んでいます」(同社広報)
リアルロフト的に実質6W
一般アマチュアには『G430』ハイブリッドが大人気だが、遥かにHSが速いPGAツアー選手たちは、幅広ソールで深重心の7Wに優位性を見出していた。これは、🟠洋芝の猛ラフ、🔵500yd近いPAR4、🟢硬く止めづらいグリーン、といったコース設定の難易度から頷けるところ。
ただし、ロフト18°の5Wを抜いて、21°の7Wで大丈夫なのか、飛距離は気になるところ……。そこで、PGA選手たちの7Wのリアルロフトを確認すると、16人の平均が19.3°と、15人が21°の7Wを少し立てて【実質は6W】として使用していた。
これは、3年ほど前にテーラメイド契約のダスティン・ジョンソンが飛びすぎる5Wではなく、7Wを選んだことが契機かもしれない。ハンドファーストの強いDJは、5Wで270yd以上のキャリーが出てしまうため、高さが出せる7Wを選んだ逸話も記憶に新しい。そして、直近で契約フリーのアダム・スコットも7Wの利点を力説していた。
AS「深いラフで200yd飛ばせる」
アダム・スコットも直近でスリクソン『ZX Mk II』ユーティリティ(20°)を加え、テーラメイド『ステルス』の7W(21°)という、近接したロフトの2本をバッグに入れていた。「なぜこんなに使える7Wをアマチュアの人は活用しないの?」と、手放せない理由を語る。
「7Wだと高く上げやすいけど、ボクは通常のライでは敢えて高さを少し抑えて打つ。それでもフェアウェイから240ydキャリーが出せるし、なんといっても7Wが一番活かせるのは、深いラフからの脱出だよ。ソールが広い7Wだと、沈んだラフからでも簡単に200yd飛ばせる。他のクラブなら、こうはいかないよね」(スコット)
平均HS54m/s(120.9mph)と、ツアー21位の飛ばし屋アダム・スコットが話す「スコアのための7W」。パワーが違い過ぎる我々が彼らに学ぶ必要はあるだろうか。ちなみにPINGは「国内男子プロに7Wは少ない」と話すが、筆者は『G430 MAX』の7Wを購入し、6W化を狙うつもりだ。
Text/Mikiro Nagaoka