復活したリッキー・ファウラーを直撃! コブラ『エアロジェット』が飛ぶとの噂は本当か?
昨年末から『AEROJET LS』にしていたリッキー・ファウラーが、復活優勝して今季を終えた。巷で“飛ぶ”と噂の『エアロジェット』について本人に直撃すると?
配信日時:2023年9月1日 00時23分
2019年以来の「ツアー選手権」にも出場
リッキー・ファウラー(米国)が、2019年以来となる最終戦「ツアー選手権」に出場、トータル8アンダーの16位タイで今季を終えた。ツアー屈指の人気者も、ここ数年は優勝シーンが見られず、いささか寂しい気持ちを抱く人も少なくなかったはずだが、今季は全く違った姿に興奮したファンも多いはず。
2019年の2月に「WFフェニックス・オープン」でツアー5勝目を挙げてから、今年の7月の「ロケット・モーゲージ・クラシック」の6勝目まで、実に4年以上を要したファウラー。19年に予選落ちは“ゼロ”だったが、翌20年は8回も喫し、続く21年も8回。22年は予選落ちが9回だったが、今季はわずか1回。ついに完全復活と言えるだろう。
なぜ、今季は輝きを取り戻せたのか? 米国でオデッセイ『VERSA JAILBIRD』パターの影響も報じられたが、それだけでないはず。昨年末にファウラーが替えて、巷で飛びが噂となっている『エアロジェットLS』にも理由があるはずと睨み、本人を直撃すると、コブラ愛に溢れた答えが帰ってきた。
今回は、復活したファウラーの一文字一句も無駄にせず、記者との一問一答形式で、ギア問答をお届けしたい。
Q.先般の優勝にコブラのクラブはどのくらい貢献しましたか?
ファウラー 大きいですね。単純にバッグに入れているコブラのクラブの多さだけを考えても、貢献度は大きいと言えます。クラブ調整にもそんなに時間はかからなかった。今のモデル(AEROJET LS)にも大変助けてもらいましたしね。
【ファウラーのクラブセッティング】
1W:コブラ エアロジェットLS(9° ディアマナ プロトタイプ70X)
3W:コブラ エアロジェットLS(13.5° アルディラ ツアーグリーン75TX)
5W:コブラ LTDx LS(18.5° USTマミヤ LIN-Q M40X 8F5)
4I~PW:コブラ KINGツアー(KBSツアーC-TAPER125 S+)
A,S,LW:コブラ KING(54,56,58° KBS610 WEDGE S)
PT:オデッセイ VERSA JAILBIRD(スーパーストローク3.0-17㌅)
BALL:テーラーメイド TP5
Q.飛距離は伸びたと思いますか?
ファウラー 正直なところ、いま出ているどのドライバーも飛距離に関してはもう限界値まで来てしまったと思っています。飛距離よりも、よりタイトにターゲットを狙えるか、ミスの幅が少ないかという面の強みが大きいですね。ヘッドスピードの数値を見ても、ここしばらくはほとんど極限値に達して大きな変化はないですけども(今使っている『エアロジェット LS』は)ショットの安定感、ミスした際の許容値が大きいことがありがたいですね。
Q.なぜL S(ロースピン)のモデルを選んでいるのですか?
ファウラー 自分のスイングは昔からスピン量が多い傾向にあるので、ロースピンにしているんです。L Sを使用することで求めているようなスピン量を効率的に得ることができました。
Q.コブラとの関係は長くなっていますが、これまでにメーカー側にリクエストしたこと、今後のクラブにリクエストしていることなどありますか?
ファウラー 自分がいつもお願いしていることは、クラブの形(構えた時の見た目)です。それと打感。いい音がして、打感が良いこと。
Q.具体的にどのような“見た目“が良いのですか?
ファウラー なるべくシンプルな形が好きなんです。特徴のある形をしていると苦手ですね。構えた時に、なんとなくヘッドが真っすぐ向いていないとか、特に左を向くように見えるヘッドは合わないんです。フックしそうで。実際に向いているかどうかではなく、気持ちの問題なんです。そういう意味で、コブラのスタッフは、見た目にとても気をつかって設計してくれていると思います。
Q.AEROJET LSの形を端的にいうと、丸いとか四角いとか、どう表現できますか?
ファウラー う〜ん、どんな言葉で言うかは人それぞれだと思いますが、皆さんが考える“伝統的”な形と思っていただければ良いと思います。フェースからヘッドのお尻の部分までが長いわけでもない、よく言う“西洋梨型”ですね。
Q.インパクト音にも触れましたが、どんな音が好きですか?
ファウラー どちらかと言えば低めの音で、表現が難しいですけど、重い球の出る音っていうんですかね。大きい音や金属を叩いた時のような高い音は好きではありません。小さく、重い球が出るような打音が良いです。なんとなく表すと、ブーンという種類の音が好きで、カーンとかパーンとかいう感じではない。野球で言えば、金属バットの音ではなく木製バットで打った時のような音とでも言いますかね。
Q.スイングを改造しましたが、それに伴ってクラブも調整しましたか?
ファウラー いえ、クラブは全くいじってません。スイングは変えましたが、クラブは問題がないと思っていましたからいじってません。キャリアを通じて、クラブはあまりいじらない方ですね。
Q.クラブに対して、何かリクエストしていることはありますか?
ファウラー 見た目のシンプルさには意見します。クラウン部分の見え方、線の入れ方、ロゴの場所をヘッドの中心にして、あまり目立たないようにしてほしいとか、全体の色合いとか、細部に関して話しました。とにかく見かけはシンプルにしてほしい、と。
Q.ソール部分は関係ない?
ファウラー ソール部分はどのようにしてもらっても構わない(笑)。見えないですしね。
Q.可動式のウェイトは好きですか?
ファウラー そうですね、でも一旦セッティングを決めるとほとんど動かさないので、自分にはあまり関係ない。その上で、さらに調整して鉛のテープも貼っています。『エアロジェット LS』にも可変式ウェイトはありますが、調整ができたら動かしません。ウェイトをつけて、さらに鉛のテープを貼って調整して、調整が完成したらいじらない。
Q.今後は、クラブに何を求めますか?
ファウラー 既に飛距離やヘッドスピードは極限に達したと考えていますので、今後はさらに効率的に打てるクラブ、よりミスの許容範囲が大きく真っすぐ飛ばせるクラブを求めます。それに、見た目は自分にとっては本当に大事なことで、どんなに数値的な性能が良いと言われても、見た目が合わないと打てなくなります。アイアンに関しても見た目は大切なんですけど、これまでにテストした結果、ブレードの打感も良いですが、キャビティのミスの許容範囲が大きいことを重視して今のモデル(KING TOUR)を使ってます。
Q.持ち球ってありますか?
ファウラー すごく調子の良い時は少しドローかなって感じますが、フェードもドローも打っていますね。
Q.最後に、14本の中で好きなクラブはありますか?
ファウラー う〜ん、特に1本というのはないですね。その日に一番活躍してくれたクラブが一番好きです(笑)。日替わりです。
Q.では、一番好きなショットは?
ファウラー 高い弾道のショットかな。これまでも高弾道のショットは好きで、得意です。条件さえ揃えば、木の上を超えていくような高い弾道のショットが気持ちいですね。
取材/田邉安啓
Yasuhiro JJ Tanabe