好調佐久間朱莉さん、なぜ『10K』ヘッドに先調子シャフトを使わないんですか?【女子プロセットのどこマネる!?】
出場10試合でトップ10入りが5回と好調をキープする佐久間朱莉のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。
配信日時:2024年5月7日 03時00分
今季出場10試合でトップ10入りが5回と好調をキープする佐久間朱莉のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。
◇ ◇ ◇
彼女のセッティングで一番参考になるのは、ずばりドライバーのチョイス。シャフトに『レジオフォーミュラ MB+ 55 S』を使用していますが、手元が軟らかくて先端が動ないモデルです。全体がしなって戻るため、タイミングが取りやすいですね。ゆったり切り返す彼女は手元が軟らかい方が、スムーズに切り返せると思います。
ポイントはシャフトの先端剛性が高い点です。なぜなら、『G430 MAX 10K』は、ヘッド部分がかなり重いモデル。高慣性モーメントのヘッドは重量が重くないと実現できません。ダンプカーの方が普通車よりも当たりに強いのと同じ原理。重量が多い方がミスヒットに強くなりますよね。
ただ、先調子のシャフトを使用すると、ヘッドが垂れて振り遅れてしまいます。重心深度も深いため、ヘッドの挙動が大きくなりフェースが開きがち。だから、先端剛性の高いシャフトしか『10K』ヘッドには使えないのです。『Qi10 MAX』など、『10K』ヘッドを使う場合は、先調子などの先端が軟らかいシャフトだとミスが出てしまうので注意してください。
あとドライバーで参考になるのが、45インチと短くしていることです。クラブバランスがD0と軽く、かつ短い。飛ばすより曲げない意図があるのでしょう。1軸で回ってフェードを打ちたい彼女は、軽く短くすることでヘッドコントロールをしやすくしているのだと思います。
ドライバーから5番ウッドまでロフトを調整機能で1度寝かせている点は面白いですね。狙いは球のつかまりを良くしたいからでしょう。フェードヒッターなので、球をつかまえて出球を左に打ち出したい。ロフトを寝かせたヘッドで意図通りのフェードボールを打っているのでしょう。
彼女のクラブバランス構成は、アマチュアにすごく参考になります。ドライバーからアイアンまではバランスをD0に設計。フルショットに使う50度では、バランスをやや重めのD2に、アプローチに使う54度・58度ではバランスを重めのD3に設定しています。長いクラブは軽く設計してフェースコントロールしやすく、短い番手は重く設定して体の回転でゆったり振れるように仕上げている点は参考になると思います。一度お試しあれ。
【佐久間朱莉のクラブセッティング】
1W:ピン G430 MAX 10K(9度+1度で10度/レジオフォーミュラ MB+ 55 S、45インチ、 D0)
3W:ピン G430 MAX(15度+1度で16度/NXグリーン 60 S、43インチ、D0)
5W:ピン G430 MAX(18度+1度で19度/NXグリーン 60 S、42.5インチ、D0)
4U:ピン G430(22度/N.S.PRO モーダス3 GOSTプロト、39.25インチ、D0)
5U:ピン G430(26度/N.S.PRO モーダス3 GOSTプロト、38.75インチ、D0)
6I~PW:ピン BLUEPRINT S(N.S.PRO 850GH S、 36.7インチ 【#7】、D0 【#7】)
50,54,58度:ピン S159(N.S.PRO 950GH NEO S、35インチ・D2 【50度】、34.75インチ・D3【54度】、34.5インチ・D3【58度】)
PT:ピン DS72 2021(33インチ)
BALL:タイトリスト PRO V1x
※2024年開幕時のセッティング
■佐久間朱莉
さくま・しゅり/ 2002年生まれ、埼玉県出身。今季トップ10入りが出場10試合で5回と好調をキープ。初優勝が待たれる有望株。トータルドライビング3位とドライバーの上手さに定評がある。大東建託所属。
■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている。
◇ ◇ ◇
●今年はアスリートアイアンが売れているという。関連記事【僕らでも打てるアスリートアイアン27機種‼ 選ぶポイントは『表の顔』と『裏の顔』ってどういうこと?】を読めば、あなたに合うモデルが丸わかり‼
女子プロセットのどこマネる⁉【女子プロセッティング解説】