ウェッジをスマートに使い分けよう! ウェッジ基本の「き」を解説
初心者やアベレージゴルファーのなかには、ウェッジは何を入れればいいのか、どう使い分けたらいいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。セットで購入したPWは最初から入っているとして、別途買いそろえることの多いAWやSWはどうすればいいのか、いまひとつ判断に困ります。本記事では、そんな人のために、ウェッジの種類やウェッジごとの特徴、そして基本的な使い分けについて説明します。
配信日時:2024年6月12日 07時58分
1.そもそもウェッジとは何か
ゴルフのウェッジとは、短い距離を正確に打つために設計されたクラブのことです。アイアンをセットで揃えた場合、9番アイアンの次に位置するのが、ピッチングウェッジ(PW)となっています。
そのため、PWは10番アイアンともいえますが、一般的にはパターを除く、PW以下のクラブの総称がウェッジとなります。
またウェッジには、主にグリーン周りでの多様な状況に対応できるように、さまざまな工夫が施されています。
ウェッジの種類と特徴
ウェッジはそのロフト角によって大きく4種類に分けられます。
ピッチングウェッジ(PW):ロフト角43~48度
アプローチウェッジ(AW):ロフト角50~54度
サンドウェッジ(SW):ロフト角56~58度
ロブウェッジ(LW):ロフト角60度以上
※表示のロフト角は一般男性のおおよその目安
ピッチングウェッジ(PW)
ピッチングウェッジ(PW)は、ウェッジのなかでは最も飛ぶクラブです。個人による飛距離差はありますが、100ヤード前後のアプローチショットで活躍するほか、グリーン周りでのランニングアプローチやピッチ&ランに使います。
PWでのピッチ&ランのピッチ(キャリー)とラン(コロがし)の割合は「約1対2」です。
◆ランニングアプローチについては、「チップショットとピッチショットの違いは? それぞれのアプローチの特徴とチップショットの打ち方を解説」をご覧ください。
◆ランニングアプローチ専用のクラブ・チッパーについては、「ゴルフのチッパーとは? 使い方を学んでアプローチの苦手を克服しよう!」をご覧ください。
アプローチウェッジ(AW)
アプローチウェッジ(AW)は、PWでは大きすぎる80ヤード前後の距離のアプローチショットで使うほか、グリーン周りのピッチ&ランや上げて攻めるピッチショットに使います。
AWでのピッチ&ランの場合、ピッチ(キャリー)とラン(コロがし)の割合は「約1対1」です。
◆アプローチウェッジについては、「アプローチウェッジの角度は何度が正解? ショートゲーム攻略を楽にする理由&選び方のポイント」をご覧ください。
サンドウェッジ(SW)
サンドウェッジ(SW)は、名前のとおりバンカー用に作られたウェッジです。バンカーの砂に潜り過ぎないように、ソールにはバンスと呼ばれる膨らみが付いています。このバンスがあることで、芝では地面に刺さりにくくなります。
SWはバンカーで使うほかにも、AWでは大きすぎる60ヤード前後の距離のアプローチショットやグリーン周りでのピッチショットにも使えます。
ただ、バンスが大きすぎると先に地面に当たって弾かれてしまい、そのせいでウェッジの歯(リーディングエッジ)の部分が浮いた状態でボールにコンタクトしてトップすることも。バンカー以外での使用には注意が必要です。
◆サンドウェッジについては、「サンドウェッジの角度ってどれくらい? 特徴や選び方を解説」をご覧ください。
◆バンスについては、「バンス(バウンス)ってウェッジのどの部分? ハイバンスとローバンスの違いや打ち方を解説」をご覧ください。
ロブウェッジ(LW)
ロブウェッジ(LW)は、高く上げてピタリと止めるロブショット向けに作られたウェッジです。ボールが上がりやすいようにロフト角は60度以上あります。基本的にロブショットは難しく、上級者でも限られた場面でしか使いません。
ロブショット以外での使い道はほとんどないため、初心者やアベレージゴルファーは持たなくていいウェッジです。
◆ロブショットについては、「ロブショットの打ち方とは? 打つべき状況や適したクラブも解説」をご覧ください。
2.基本的なアプローチショットとウェッジの使い分け
グリーンまでの距離やグリーン周りの状況によってアプローチの方法が違ってきます。また、それぞれのアプローチショットに適したウェッジがあり、どれを使うかで成功率に差が出ます。
アプローチショットの種類と使いやすいウェッジ
グリーン周りでのアプローチショットは、やさしい順に「コロがす」=ランニングアプローチ、「上げてコロがす」=ピッチ&ラン、「上げて止める」=ピッチショットの3種類。
また、グリーンから距離があるアプローチショットでは、コントロールショットか、ウェッジの使い分けで対応します。
いずれにしても、それぞれの状況ごとに、いちばんやさしい方法を選択することが成功のカギです。
距離別の使い分け
グリーンから距離があるアプローチショットは距離の打ち分けが必要です。PWのフルショットで100ヤードなら、AWで80ヤード、SWで60ヤード程度。
100ヤード以下ならPWのコントロールショットでも対応はできますが、同じクラブを使っての距離の打ち分けは難しく、番手なりの距離に応じてウェッジを変えた方が成功の確率は高くなります。
なお、ウェッジもアイアンセットの一部として、番手間のロフト角に連続性を持たせた方が有利です。一般的に、番手間のロフト角は5度前後しか空いていません。8番アイアンが34度なら9番アイアンは39度、PWは44度という具合。
セット購入のPWのロフト角が44度で、6度間隔で空けるとすれば、50度のAWと56度のSWを補充すると距離の連続性が保たれます。
◆ロフト角と飛距離の関係については、「ゴルフクラブのロフト角とは? クラブ別のロフト角と飛距離目安を一覧で紹介」をご覧ください。
グリーン周り状況別の使い分け
ランニングアプローチに適した状況
グリーンまでの距離が短く障害物がない状況では、一番やさしいコロがしを選択しましょう。芝の抵抗が気になる場合はウェッジのなかではロフトの立っているPWでのランニングアプローチが有効です。
ピッチ&ランに適した状況
ボールとグリーンの間にラフやバンカーがある状況では、ボールを上げる必要があるためピッチ&ランの出番です。ピッチ&ランではPWかAWを使いますが、ボールからグリーンエッジまでの距離とグリーンエッジからピンまでの距離の比で使うウェッジが違ってきます。
ピッチ&ランのピッチとランの比率は、PWで約1対2、AWで1対1のため、ボールからグリーンエッジまでの距離とグリーンエッジからピンまでの距離が同程度~2倍以下ならAWを、2倍以上あればPWを使います。ただし、受けグリーンなのか、ピンに向かって下っているのかで、ボールの転がる距離が違ってくるので注意が必要です。
ピッチショットに適した状況
ピンがグリーン手前に立っている場合や、グリーンがピンに向かって下っている状況では、上げて止めるピッチショットが有効です。ピッチショットにはSWかAWを使います。SWはヘッドが重くバンスが大きくできていて滑ってくれるため、ラフからのショットに威力を発揮。AWは少しフェースをオープンにして使えばロフトが寝て高いボールが打ちやすくなります。
バンカーでの使い分け
ガードバンカーに入ったボールは高い顎や砂の抵抗もあるため、バンカー用に作られたSWで打ちます。バンカーショットの基本は砂の爆発で砂とボールを一緒に飛ばすエクスプロージョンショット。SWでボールの手前にヘッドを入れると、ソールのバンスが潜り込まない程度に砂の中を滑り、砂とボールを飛ばします。
しかし、ロフトが大きいため距離を出す場面には不向き。ピンまで距離があればPWを使ってみるのもいいでしょう。
◆ウェッジ別の打ち方については、「菊地りお ウェッジの種類と打ち分け」(ALBA TV)をご覧ください。
3.まとめ
本記事では、ウェッジの種類や特徴、そしてウェッジの使い分けについて説明しました。
アプローチショットはスコアに直結する、本当に大切な一打。さまざまな状況のアプローチに対応するためには、その状況に相応しく、かつ、やさしく打てるウェッジを使うと、成功確率が高まります。
初心者やアベレージゴルファーは、まずは適切なウェッジ選択を覚えて、スコアアップにつなげましょう。