200ヤードに自信が持てるユーティリティ選び【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はユーティリティの選び方のお話。
配信日時:2023年10月26日 03時03分
ウッドとアイアンの中間のユーティリティクラブ。今では、世界のトッププロもキャディバッグに入れていますよね。まだ私が研修生をやっている頃、20年以上前の話ですが、当時はユーティリティのたぐいはなくて、3番アイアンはもちろん、1番アイアンとか2番アイアンを使っていました。今見ると、ペラペラで包丁みたいなヘッドです。ちょっと芯を外すとビーンって手がしびれるので、寒い時期は特に打つのに勇気がいりました(笑)。
ロングアイアンを打ちづらく感じるプレーヤーが増えてことで、ユーティリティが誕生しました。タラコと呼ばれたプロギアの〈インテスト〉やキャスコの〈パワートルネード〉などが創成期ですね。当時のユーティリティはアベレージ向けで、とにかく上がりやすく、つかまりがいいクラブ。プロや上級者は手にしていませんでしたが、年々進化が進み、プロもやさしさを求めるようになって需要が増えました。ここ数年で、一番質の上がったクラブだと思います。
ヘッド形状は大きく分けてアイアン型とウッド型があります。日本ではユーティリティとひとくくりにされますが、米国ではウッド型のモノはハイブリット、アイアン型をユーティリティと呼んでいます。選び方の基準は、あまりにもベタ過ぎて言うのも恥ずかしいぐらいですが、フェアウェイウッドが得意な人はウッド型のハイブリット、アイアンが得意な人はアイアン型のユーティリティというのを入り口にしてください。
やはりアイアン型は、アイアンの操作性、フォルムを維持しています。純正品を見るとスチールシャフトが多く、基本的に4番、5番アイアンよりもボールが上がりやすく、ミスに強くて、アイアンの流れで振っても違和感が生まれません。
対してウッド型は、よりお助け機能を追加してミスヒットにも強くしています。ヘッドを軽くして、シャフトを長く設定してあるのもフェアウェイウッドの流れをくむため。アイアン型と同じロフトでも、重心が深くてシャフトが長いウッド型の方が、飛距離は出やすくなります。
操作性のアイアン型、上がりやすさのウッド型とも分けられますが、選ぶ大事な要素としては、フェースプレグレッション、いわゆるFP値があります。FP値は、シャフト軸線(シャフトの中心)からリーディングエッジまでの距離を示す数値で、FP値が大きいほど、リーディングエッジが目標方向に張り出した形状になります。総じてアイアン型はFP値が小さく、ウッド型は大きくなります。
FP値が小さいとアイアンと同じタイミングで打てますし、多少打ち込みすぎてもミートできます。FP値が大きいとボールに直接コンタクトしやすいので芝に少々沈んでいても打てますし、ボールを上げることもできます。
払うスイングの方にはあまり関係ありませんが、カット軌道など打ち込むスイングの意識が強い方は、FP値の大きなモデルは注意が必要です。アイアンと同じタイミングで振ると、リーディングエッジが前に出ている分、自分が意図するよりも早くボールに届いてしまい、トップやチョロが起こりやすくなるのです。
持ち球がスライスで、ウッド型のユーティリティに〝お助け感〟を感じない方やウッド型でミスヒットが多いと感じる方は、アイアン型やFP値の小さいウッド型が合っています。
逆に打ち込むスイングだけど、ボールを上げたいという方は、FP値の小さいウッド型にすると、イメージとおりの球筋が打ちやすくなったりします。ユーティリティは長い距離で味方になってくれるので、少しでも不安がある方は、FP値を見直してみてください。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル