アイアンでダフる人は、バンス多めのアイアンがいい!?【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はアイアンにもあるバンスの話。
配信日時:2023年9月30日 02時51分
今回はアイアンのバンスがテーマです。バンスとはシャフトを垂直にしたときに、リーディングエッジより下部に張り出したソール部分を指します。一般的にはウェッジの性能を左右する項目としてロフト角と一緒にバンス角として表し、ヘッドに記載しているモデルも増えていますね。実はこのバンス、アイアンにもついているのです。メーカー表記で1~2度と少ないモノから、10度以上のモノまで実は幅広くあります。最近人気の飛び系やミスヒットに強いアイアンは、バンスが大きく設定されていることが多いです。いわゆるアベレージ向けのアイアンは、バンスを大きくすることでミスを軽減するのが目的なのです。
アベレージゴルファーの多くは、アウトサイドインの軌道で上からヘッドをたたきつけるような強いダウンブローになっています。そういったゴルファーがバンスの小さいアイアンを使うと、少しでもボールの手前にヘッドが入るとリーディングエッジが地面に刺さってダフってしまいます。バンスが大きければ、多少手前からヘッドが入っても、リーディングエッジより先にソールが接地し、滑ってくれるので大ダフリのミスを防いでくれるのです。一般的にバンスが大きいモデルは、ミスを助けてくれる〝やさしい〟というイメージ。バンスがあることで、ダフらずにしっかり振り抜けるという安心材料にもなります。
昔のアイアンには、バンスはほとんどついていませんでした。今でもすべてのアイアンについているわけではなく、マッスルバックなど一部のモデルにはほとんどついていません。アイアンでドローやフェードなどの打ち分けやスピンコントロールをするゴルファーは、バンスの小さいモデルを好んで使います。打ちたい球筋によってヘッド軌道を微妙に変えているので、バンスが大きいと意図しない形で地面に当たって、狙った球筋が打てなくなってしまいます。特にフック系のボールを打つときは、インサイドアウト軌道で地面とヘッドが平行に動くレベルブローに近いインパクトになるため、ボールをクリーンにとらえるのが難しくなります。
技巧派の上級者のみならず、アベレージゴルファーでも、大きいバンスが合わない方もいます。フェアウェイウッドが得意な人や、すくうように振ってフック系のボールを打つ人です。レベルブローないし、ヘッドを持ち上げるようなアッパーブローのヘッド軌道になるため、バンスが大きいモデルだとインパクト前にソールが地面に接地してしまい、ヘッドが跳ねてボールをとらえにくくなってしまうのです。
ダウンブローで上から打ち込みたい人は、大きいバンスがやさしくなりますが、逆にすくい打つ方は小さいバンスがダフリを少なくしてくれます。すくい打ちの人がよりやさしさを求めるなら、バンスが小さくて、ソールの幅が広いアイアンがオススメです。ソールが地面に接地した時に滑ってくれるので、ミスを軽減してくれますよ。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル