アベレージ向けドライバーは長すぎる!?【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はドライバーの長さのお話。
配信日時:2023年11月13日 05時03分
シャフトは長ければ長いほど遠心力が生まれるので、パワーの出力は大きくなります。クラブの重量を増やすことも出力につながりますが、それ以上に長さの遠心力の方がパワーを出せます。私も最近、実測46.75インチの長尺ドライバーを手に入れました。これ、凄いんです。ボールがピンポン玉みたいに飛んでいくんです。普段45インチを使っている私は、ボールスピード70 m/s が精いっぱいですが、これを使うと74 m/sとか出るので、間違いなく飛距離は伸びます。
私はかつてドラコン競技に出ていまして、48.5インチのドライバーで382ヤードという記録を持っています。49インチまで挑戦したことがあります。しかし、長いドライバーは芯に当たらないんです。382ヤードを記録したときも、6球中、計測対象のフェアウェイにいったのは2球だけでした。最近手に入れた長尺ドライバーも、狙ったところに運べるいい球は、3球に1球しか出ません。
シャフトが長くなればなるほど、振り遅れやすく、タイミングを合わせるのが難しいのでミート率は下がります。特にリストワークを使う人や悪くなると手打ちになる人は、余計にデメリットを感じるはずです。1発の魅力もありますし、飛距離とミート率のバランスをどう考えるかですよね。
長尺にする場合の注意点は、総重量を軽くすること。軽くすることで長さを感じにくく、振り遅れを防ぐ効果があります。例えば普段45インチを使っていて総重量300グラムなら、46インチに伸ばす場合は、290グラムに軽くする。1インチ10グラムを目安にすると、振り感が合いやすくなります。ヘッドスピードが45 m/sあるからといって長くしても、60グラム台のシャフトと選ぶと当たらなくなります。
市販品のアベレージ向けとプロ・上級者向けのドライバーのシャフト長を比べると、アベレージ向けの方が0.5~1インチほど長く設定されていて、46インチ前後が多いのです。なぜかというと、メーカーはギアの進化を消費者に示さないといけません。数値上、飛んでいると実証がないと世に出せません。シャフトを伸ばすことが、〝飛びます〟という一番簡単な訴求になるのです。日本で一番売れたゼクシオの系譜をたどると、実測で46.5インチという時代もありました。技量のある人が使うプロ向けのクラブの方が短いというのは、ねじれ現象だと思います。アベレージゴルファーの適正の長さは、もう少し短い方がいいと思います。
米ツアーでは2016年の全米プロ覇者のジミー・ウォーカー選手が42インチを使って300ヤード以上飛ばしたり、身長175センチで日本人と変わらない体格のリッキー・ファウラー選手は44インチ前後を使っていたりします。ミート率を上げて、ティショットでストレスを感じないという選択だと考えられます。
最近はプロ・上級者向けのクラブもアベレージ向けのクラブも、重量の差がなくなってきています。プロ向けのドライバーで、軽い純正シャフトを選べば、45インチ程度なのでアベレージでもミート率が上がって飛距離アップにつながる可能性もあります。
シャフトは長い方が飛ぶことは間違いありません。しかし、飛距離を出す第一条は、芯に当てることです。長尺をうまく使いこなせれば大きな武器になりますが、ミート率が悪ければ意味がありません。市販のアベレージ向けドライバーでミート率が悪いと思ったら、短くすることをオススメします。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル