えっ!? 8度ピッチは空きすぎ? 日本一曲がらない男・稲森佑貴が50・58度のウェッジを入れる理由とは……
国内男子ツアーは選手会主催の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP bY サトウ食品」が行われている。2022年大会覇者の稲森佑貴は、2日目に「67」をマークしてトータル8アンダーで予選通過。前日の28位タイから11位タイに順位を上げ、大会2勝目、通算6勝目を目指す。
配信日時:2024年6月22日 03時00分
国内男子ツアーは選手会主催の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP bY サトウ食品」が行われている。2022年大会覇者の稲森佑貴は、2日目に「67」をマークしてトータル8アンダーで予選通過。前日の28位タイから11位タイに順位を上げ、大会2勝目、通算6勝目を目指す。
稲森といえば、8季連続フェアウェイキープ率1位で、日本一曲がらない男として有名だ。もちろん今季も78.214%と驚異的な数字で2位の金谷拓実(67.143%)に10%以上の差をつけて定位置にいる。2打目もフェアウェイから打てるので、パーオン率も高い。昨季は72.901%で3位に入っている。
一方、昨季のドライビングディスタンスは260.17ヤード(106位)と天は二物を与えない。「僕の飛距離だと下を厚くしても仕方ないので上を厚くしたい」と他の選手よりも2打目の残り距離が長くなるが、そこは道具で補う。キャディバッグを覗くと1W、3W、5W、3U、4Uがあり、アイアンは5番から。他の男子プロに比べると上の層が厚い。
こだわりはそれだけではない。「何もいじっていない」というPWは市販モデルと同じロフト44度。その下は『クリーブランド RTX
ZIPCORE』の50度と、『クリーブランド RTX DEEP FORGED2』の58度となっている。
最近の男子プロは48・52・56・60度など4度ピッチで4本入れるのが主流で、52・58度の6度ピッチの選手も少なくない。稲森のように8度も間が空くのはとても珍しい。
これには理由がある。「フルショットやスリークオーターのときに、52度だとスピンが入りすぎて風に弱くてタテ距離が合いにくかったんです」と話す。昨季のパー5の2オン率2.749パーセント(105位)とパー5では3打目でグリーンを狙うことが多いが、3打目で使う番手の距離感を合わせやすいように52度から50度に替えている。
また、2018年の『日本オープン』でツアー初優勝を遂げる前は58度ではなく56度だったが、「フェアウェイからのロブとか、56度じゃ限界があったので」とトーナメント仕様のグリーンで止めるために58度にチェンジした。
50度と58度のメリットはグリーン周りでも発揮する。「58度は普通に止めたいときとかロブショットに使います。50度はコロがし専門です。52度だときれいに入るとスピンが入りすぎて思ったよりコロがらずにショートすることがありました。50度というロフトならしっかりコロがってくれます。58度は止める、50度はコロがすとメリハリをつけられます」。上げようかコロがそうかといった迷うことなく、しかもイメージ通りに打ちやすいメリットがあるという。
ちなみに、PWのフルショットは135ヤードで抑えて120~125ヤード。50度のフルショットは110ヤードでスリークオーターで100ヤード。58度はマックス90ヤードと、打ち分けの階段はできている。
50・58度の構成にしてから、ここまで5勝を挙げている。フェアウェイキープ率とパーオン率は高い。グリーンを外したときも寄せるのに困らないし、パー5の3打目も距離が合いやすい。自分の長所とギアの工夫で積み上げた勝利数だ。今週も『50・58』が火を噴くか。
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