シャフトを“同じメーカー”で統一するとスコアアップできる!?
スチールシャフトのイメージが強い「日本シャフト」だが、実はドライバーからパターまで、あらゆるクラブに対応した製品を開発、製造している日本で唯一の“総合シャフトメーカー”でもある。つまり、日本シャフトの製品で全てのクラブを揃えることが可能なわけだが、これはゴルファーにとって非常に大きなメリットがある。それは、完璧なシャフトマッチングで、“振り心地が揃う”ことだ。撮影/近澤幸司
配信日時:2023年4月13日 01時00分
スチールとカーボンは製法が全く異なる
そもそもの話になるが、なぜスチールとカーボンの両方を扱う“総合シャフトメーカー”は少ないのか。その理由のひとつとして、スチールとカーボンで、シャフトを製造する過程が大きく異なることが挙げられるだろう。
スチールシャフトは、金属の薄板を溶接によってパイプ状に成型し、そこから内部の肉厚調整や熱処理を行うことで、シャフトに仕上げていく。一方、カーボンシャフトは、さまざまな形に裁断したカーボンシートをマンドレルと呼ばれる芯に巻き付け、それを熱処理で硬化させることでシャフトが完成する。製造過程も、設計に対する考え方も、必要な設備も全く異なるため、1つのメーカーがスチールとカーボン、両方のシャフトを製造するのは非常に難しく、容易に参入できる事業ではないのだ。
特にスチールシャフトは、融点の高い金属を熱処理するために大規模かつさまざまな専門機器を使わなければ製造できない。設備投資に多大なコストがかかってしまうし、開発についても、カーボンに比べて設計自由度の低いスチールでさまざまな特性のモデルを作るには、独自の技術を培っていく必要がある。カーボン以上に参入が難しい、専門性の高いジャンルが、スチールシャフトの製造なのだ。
このように、カーボンとスチールの両方を1つのメーカーが製造するのはとても難しく、結果、世界的に見ても“総合シャフトメーカー”はわずかしかないわけだ。
総合シャフトメーカーの強みは絶妙なシャフトマッチング
では、本題に入ろう。日本シャフトのような“総合シャフトメーカー”がスチールとカーボン、両方のシャフトを製造することは、ゴルファーにとって、どんなメリットがあるのか。それは、同じメーカーが開発、設計しているからこそできる、絶妙なシャフトマッチングが可能になることだ。
ラウンドをしていて、「ドライバーは上手く打てるのに、アイアンは当たらない」といった経験をしたことはないだろうか。これはドライバーとアイアンのシャフトマッチングが上手くいっていない典型的な例で、簡単に言えば、クラブごとに振り心地がバラバラになっているために起こるのだ。
多くのゴルファーは、クラブごとに違ったメーカーのシャフトを装着している。その場合、特性が近いシャフトを組み合わせていればまだ良いが、アイアンは手元が柔らかく、先端が硬いシャフトを使っているのに、ドライバーでは手元が硬く、先端が柔らかめなモデルを使うなど、真逆の特性を持ったシャフトを組み合わせてしまっている例も少なくない。これではスイング中のシャフトのしなるタイミングや量が変わってしまうため、上級者であっても、全てのクラブで安定したショットを打つことは困難だ。
とはいえ、市場に数多あるシャフトの中から、自分に合っていて、尚且つシャフト同士のマッチングも良い組み合わせを見つけ出すのはとても難しい。そこで頼りたいのが、マッチングを計算した上でシャフトを開発している“総合シャフトメーカー”だ。
日本シャフトでは、ツアーで人気の『N.S.PRO MODUS3』シリーズの特性としっかりマッチする設計のウッド用カーボンシャフトとして、『N.S.PRO Regio Formula+』シリーズをラインナップしている。例えば純正シャフトとして装着されることの多い『N.S.PRO MODUS SYSTEM3 TOUR105』をアイアンで使用しているなら、ドライバーには『N.S.PRO Regio Formula MB+』を装着すれば、どちらのクラブも同じ感覚で振ることができる。
ドライバーからでも、アイアンからでも、自分が振りやすいと感じるシャフトを見つけることができれば、あとはメーカーが推奨する組み合わせを選ぶだけで、完璧なマッチングのシャフトを使うことができるわけだ。選ぶのがすごく楽になるし、全てのクラブでショットが安定するので、スコアアップも期待できるだろう。
日本シャフトのおすすめモデルを紹介
最後に、日本シャフトが販売しているモデルについて紹介していこう。まずは、ドライバー、FW用のカーボンシャフトの『N.S.PRO Regio Formula+』だ。
スチールシャフトの開発で培ってきた技術力と開発力を生かして、開発されたウッド用カーボンシャフトが『N.S.PRO Regio Formula+』シリーズだ。独自の設計と高性能素材を贅沢に使用することで、強烈な“つぶれ戻り”を実現しており、圧倒的なボール初速を叩き出す。飛距離性能をとことん追求していることが大きな魅力となっている。
また、『N.S.PRO MODUS3』シリーズとのマッチングを追求したシリーズにもなっていて、シャフトの剛性分布を揃えるだけでなく、スイングした時のフィーリングもマッチするように細かな調整がされていることも他メーカーにはない特徴だと言えるだろう。
日本シャフトの代名詞とも言うべきアイアン用スチールシャフトは、全ての重量帯で最高のモデルを揃えていることが特徴だ。米国男子ツアーで高い使用率を誇る『N.S.PRO MODUS3』シリーズや軽量スチールの大定番『N.S.PRO』シリーズ、そして新時代の軽量シャフトである『N.S.PRO Zelos』シリーズなど、一般的に設計自由度が低いと言われるスチールシャフトで、これだけのモデルを揃えているのだから驚きだ。
余談だが、日本シャフトは製品誤差がほとんどないことも大きな特徴。より高精度な製品を世に送り出すために、製造の各過程において厳しい基準を設けて、厳格に検査している。こうして生まれた高性能かつ高精度なシャフトだからこそ、世界中のゴルファーから信頼されているのだ。
デザインを一新し、5月からの発売を予定しているのが『N.S.PRO PUTTER』シリーズだ。よりパッティングのストロークが安定するよう重量が見直され、120グラム、140グラム、160グラムの3つの重量帯のシャフトがラインナップされている。
このモデルから「Luxury Silverめっき」という新しい仕上げが採用されている。光の反射を抑えたつや消し仕上げのメッキで、ストローク時の集中力を高める効果がある。また、有害な重金属などを使用しない、環境問題に配慮したメッキであることも特徴となっている。これは、車など他業種において、特定の重金属を使用したメッキが禁止されていることを受け、ゴルフシャフトのリーディングカンパニーである日本シャフトが、環境問題への取り組みの一環として始めたことだという。
最後に、ハイブリッド用の『N.S.PRO MODUS3 HYBRID GOST』と『N.S.PRO MODUS3 WEDGE』を紹介しよう。どちらも日本シャフトが培った独自の技術が生かされたモデルとなっている。
まず『N.S.PRO MODUS3 HYBRID GOST』は、特許を取得した独自の接着技術によって、スチールの本体にカーボンを複合したシャフトとなっている。スチールシャフトが持つ方向安定性、操作性、打感の良さを生かしながら、カーボンシャフトの飛距離性能と寛容性をプラスすることに成功している。
次に『N.S.PRO MODUS3 WEDGE』では、独自の熱処理技術「MHTテクノロジー」が生かされ、ショートゲームに最適なフィーリングが得られるように調整されている。操作性を徹底追求したウェッジ専用のシャフトで、米国男子ツアーを中心に使用者が年々増えているモデルでもある。
このように、日本シャフトは、総合シャフトメーカーとしてドライバーからパターまで、高性能な製品を揃えている。ヘッドを同じメーカーで揃えるゴルファーは多いが、シャフトを同じ日本シャフトで揃えることも検討してみてはどうだろうか。振り心地が最適化されて、ゴルフがより楽になること間違いなしだ。