鹿又芳典の今年ベスト候補、後編。「パラダイムシフトは1Wだけじゃない!」
今年の新作を総チェックする鹿又芳典に「ベスト候補は?」と尋ねると、キャロウェイ『パラダイム』の名が。改めてHS41m/sのフェードヒッターに新作をテスト検証してもらった企画の後編だ! 前編では、『パラダイム』ドライバーを中心に、鹿又芳典が「今年のベスト候補の筆頭」と言う4機種をチェックしたが、ドライバー以外のフェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンはどうなのだろうか?
配信日時:2023年3月6日 03時00分
まずはフェアウェイウッド。1Wと同機種がラインナップ
鹿又芳典が「今年のベスト候補の筆頭」と言う『パラダイム』ドライバー4機種を中心にチェックした前編をおさらいすると、「基本は『パラダイム X』が6割のゴルファーに合う。『パラダイム』と合わせると8割が当てはまる」とのことだった。では、ドライバー以外のクラブに関してはどうなのか?
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まずは、フェアウェイウッド4機種についてだが、ドライバーと同名の『パラダイム』『パラダイム X』『パラダイム MAX FAST』『パラダイム ◆◆◆』が用意されている。それぞれのターゲットについては「基本的にドライバーと同様の選び方で問題ないです」とのこと。
対象者が異なるため【フォージドカーボン】がソールに使用されない機種もあるが、AI設計がドライバー同様に圧倒的な進化をした。今回の【AI FLASHフェース】は数万行ものコードをスーパーコンピュータが計算、着弾点のバラつきも抑えるように開発されており、高MOIと高初速を同時達成したとか。
「1W以上にネジレず初速が出る」
「今年のベスト候補」と『パラダイム』のドライバーを絶賛した鹿又だが、冷静な表情でフェアウェイウッドに関してもいきなりこう言う。
「FWはロフトで用途が変わるので、ヘッドサイズも含めて選べばいいんだけど、今回の『パラダイム』に関しては、FWも【曲がりにくさ】と【初速の出方】と【オフセンターヒット時の球のねじれにくさ】は、ドライバー以上に出てます。自分が打って、フェアウェイでミート率1.5が出続けるなんて、ほとんど無いことじゃないですか。今もかなり手前から入って1.48でしょ?
ただ数字が出るだけじゃなく、コースに行った時に違う。自分たちがスコアメイクする時って【ナイスショットとミスショットの差が少ないものの方がいい】という選び方を必ずします。『FWはミスショットで選んだ方がいいよ』って。で、その差がほんとに少ないのが今回の『パラダイム』シリーズだと思っていて、本当に実戦向きに仕上がってますよね」
ドライバーのヘッドスピードが約41m/sの鹿又が5Wを打って、『パラダイム』も『パラダイム X』もほぼ同じ227ヤード前後のデータだった。これについては、「同じ純正シャフトだから、番手によってこの2つは選び分けるのもアリ」だと言う。
「ロフトが立ったもの(例えば3W)はドライバーと同じものを選んで、5Wとか7Wは『パラダイム X』だった人でも、より左を消せる『パラダイム』でもいいと言う人も出てくるでしょうね。ティショット重視で考えるのか、セカンド重視で考えるのか?という観点で『パラダイム』と『パラダイム X』を選び分けてもいいと思います」
「UTはつかまりで選び分け」
ただし、この考え方は『パラダイム』『パラダイムX』『パラダイム MAX FAST』の3機種が用意された「ユーティリティには通用しない」と言う。
「UTほど【つかまった方がやさしい】って思う人と、【左に行かないからやさしい】って思う人が分かれるクラブって無いと思うんですよ。自分はいろんなライで打ったりするから、つかまって打ち出しが高く出るものの方がやさしいタイプなので、『パラダイム X』の方が凄く使いやすいです。
ただ、持ち球が逆(鹿又は基本フェーダー)の人からすると、左に行くのが嫌だと振れなくなっちゃいますよね。だから、つかまる『パラダイムX』ではなく、『パラダイム』の方が合うパターン。これは、ヘッドスピードではなくて、どっちのミスが嫌かによって、どちらかを選ぶのがいいと思います」
左右のつかまりの話がメインになったが、フェアウェイウッド同様、肝心の飛びに関してはどうか。4H(ロフト21°前後)で当初の想定は「190くらいかな」と言いつつ、210ヤードを全機種軽くオーバーした鹿又。前作よりウッドライクなトウ側が下がった顔も好印象だと言う。
「形状も良くなったけど、ロフトが寝てくるユーティリティなのに、やっぱりコレもミート率1.5を連発でしょ。初速が出てるってことだから、ロフトの設定よりも飛んでくるに決まってますよね!UTはロフトも長さも各社いろいろだけど、『パラダイム』の場合、ロフトと番手の想定よりもミート率も初速も断然上って形ですよ」。
「多様化のアイアンはオートマ感が鍵」
最後にチェックしたのが、『パラダイム』『パラダイム X』『パラダイム MAX FAST』と、ユーティリティ同様に3機種用意されているアイアンだ。まず、この選び方の背景にある、アイアンの多様化について話す鹿又。
「キャロウェイさんでも最新の10機種以上もアイアンが用意されてますよね。何でそうなったかっていうと、素材だったり、ロフト設定だったり、操作性や打感とか、好みがすごく多様化しているから。だから、【どっちがやさしいから使った方がいいよ】っていう選び方ができないのがアイアンなんです。他のクラブと同様、中心となるのは、『パラダイム』と『パラダイム X』の2つですけど、まず、この2機種を見るべきですね。
オートマ感が強くって、常に同じ条件で同じ球を打っていけるのが『パラダイム X』。芯を外しても同じ球になるのがこちらで、それよりも操作性がちょっと高くなってセミオートマ感があるのが『パラダイム』。プレースタイルで、アイアンで弾道を少し操作したいと思う人は『パラダイム』の方がいいし、逆に常に同じ距離をずっとどこからでも打っていきたいなら、『パラダイム X』 の方がいい、っていう選び方でいいと思う」
「アイアンだけ MAX FASTもアリ」
軽量で速く振れるのが『パラダイム MAX FAST』で、ドライバー、FW&UT、アイアンと一貫して選べるようになっている。ところが、鹿又は「上からパラダイム Xを選んだ人でも、アイアンだけは短い番手で打ちたい人も多いし、それならアイアンだけ『MAX FAST』を選んでもいい」と言う。
「MAX FASTが26°と一番ロフトが立っていて、1.5°ずつ『パラダイム X』<『パラダイム』と寝ていく形になってますよね。だから、ロフトで選ぶっていうのも1つの方法。シャフトも『NS850』とかが入ってますし。顔も『パラダイム X』より『MAX FAST』の方がシャープなのに安心感もある。
トップブレードの厚みもある程度あって、やさしさは出てるんだけど、すごくスタイリッシュにできてるのが『MAX FAST』なので。だから、ウッドの上からの流れと違って、アイアンだけは3機種を一旦フラットに考えて、【短い番手で飛ばしたい】という人なら、『MAX FAST』を選ぶのはアリですよ」
アイアンはロフトが異なるため「飛距離性能」に関する言及は少なかったが、ご覧の通り、やはりミート率は「1.5」に近いものを記録。取材後に、一服しながら「全部のクラブが1.5って、ちょっとおかしいよね…」と、小声でつぶやく鹿又だった。
●取材協力/千葉カントリークラブ川間コース
●撮影/山代厚男