“高MOI”と“滑らんフェース”は相性抜群!『B3 MAX』は眼中になかった川崎志穂が翻意した理由
ブリヂストンの新作『B3 MAX』シリーズと『245MAX』アイアンが4月5日デビュー!
配信日時:2024年4月4日 09時22分
ブリヂストンの新作『B3 MAX』シリーズと、『245MAX』アイアンが4月5日に発売を迎える。先だって行われたメディア向けイベントで、同社と契約する川崎志穂と宮里藍さんがデモや取材対応を務めたが、2人のヘッドスピードは大きく異なる。そのため「MAXやさしい」がキャッチコピーの新作の評価も割れると思われたが、両者ベタ褒めしていた。
■新作は眼中になかった川崎志穂
川崎のヘッドスピードは約45m/sと、女子プロでもかなり速い方。そのため打つ前は「やさしいと言われても『B3 MAX』はイベントの日だけの関係で、自分は『B2』が長年エースだし、絶対そっちでしょと思っていた」。ヘッドスピードの速い自分には「やさしいモデルは対象が絞られるから合わないはず」と思っていたそう。
もともと、前作『B2』ドライバーを3年近くも替えられない理由は「ポンと球離れが速いモノが私は苦手で、食いついてくれて右手に感触が残るものじゃないと安心できなくて…」と、特にドライバーにこだわりが強いタイプだと言う。
ところが、眼中にない新作で1球目から「すごい初速のえげつない球が出て、BSさんも私も一同ビックリ」。ヘッドスピードの速い人が遅い人向けのモノを打つとスピンや打ち出しが増えて上がり過ぎたり、つかまり過ぎたりしがちだが、そういったことも皆無だと言う。
「何球打ってもぜんぜん曲がらない。初速が出るのに食いついてくれるし、とにかく強い球。トウに外しても全然負けないし、下っ面でミスした時でも球が浮いてくれて、ミスした時の距離の落ち方がエースより遥かに少ないから、2打目の番手で長いクラブを持たなくて済む。雨の日でもキャリーも出ますし」(川崎)
一般に、国内メーカーのやさしいモデルは「非力なスライサー向け」なことも多く、川崎の打つ前の反応は振れる人にとって「あるあるネタ」。今回の新作の「上級者でも使える」守備範囲の広さは、同社開発陣にとっても「想定以上」だと言う。幅広くカバーできる理由についてこう話す。
■B3 MAXの「9.5°」はやや低スピン
「MAXやさしくした結果、使える人が想定以上に広がってしまいました。前作『B3』シリーズもカーボンモノコックボディでしたが、今作から滑らない【スリップレスバイトミーリング】が入ったことも大きいですね。高MOIヘッドと滑らないフェースの組み合わせは、すごく相乗効果が出やすいと実感しています。
ヘッドスピードの速い人や上級者も使える理由は、同じカーボン複合ヘッドでも、他社と違ってホゼルの受け部分の大半も軽いカーボン製で、余剰重量を40gも出せて設計自由度が大きくなったのが大きい。『MAX』と『MAX D』は同じ金型ですが、ウェイトの置き方で重心距離が5~6㍉も違っています」(同社開発)
シリーズには、ヒール後方内部にウェイトを配したつかまる『B3 MAX D』と、上下+左右MOIが9,300g・cm2前後の『B3 MAX』(10.5°)があるが、いずれも「ストレートフェースのいい顔」をキープ。滑らないフェースの効果でスピン量を下げられることもあり、上級者でも使える要素が生まれている。
そして、『B3 MAX』の9.5°と10.5°の味付けの差も大きい。直進性の高い10.5°より9.5°は低スピン設計で、シリーズで性能が微妙に異なる3つのヘッドが選べる。実際、米国女子ツアーで今季好調の古江彩佳も『B3 MAX』(9.5°)に変更してスピン量を約500回転下げ、効率よくランを稼げるのに、FWキープ率を昨季の84.8%➡88.8%(2位)に向上させたとか。
■宮里藍さんは『B3 MAX D』と悩み中
ヘッドスピード39m/s前後の宮里藍さんは、古江のドライバースタッツの向上について「すごく再現性の高いスイングと、すごくブレに強いヘッドは、最強の組み合わせですよね」と“鬼に金棒”状態の古江の活躍に頷く。
「私の現役時代の後半はストレート系の球筋でしたが『B3 MAX』(10.5°)だとそういう曲がらないストレートな球が打てて、ダウンスイングのかなり早い段階から【ヘッドが真っすぐ動こうとする】のを強く感じますね。『B3 MAX D』だと現役初期の懐かしい球というか、カンタンにドローが出てすごくゴルフが楽しいです。両方ともミスに強いですし、どちらも捨てがたくてすごく迷いますね」(藍さん)
記者もヘッドスピードを40m/s前後に落として『B3 MAX D』と『B3 MAX』(両方10.5°)をマリガンで打ち比べたが、藍さんの言う通り。どちらも打ち出しが高く、大きな放物線のネジレない球でフェアウェイを捉えられ、『B3 MAX D』もつかまり過ぎることなく、中・高弾道のストレートドロー。ほぼ同じ当たりだが『B3 MAX』よりドロー回転の分、4ヤードほど前に飛んでいた。
その他、新作で気に入ったクラブについて、藍さんは「朝露のラフで苦しんだので、この滑らないフェースのUTは現役時代に欲しかった。球も上がりますし、十数年使うUTから替えられるかも」。川崎はカーボン素材と振動吸収材の入った飛び系アイアン『245MAX』を挙げ、「打感も良くて球が上がるし、セットウェッジとは思えないほどスピンのかかるウェッジもオススメ」と話していた。(編集部M・K)