ウェッジは4本がスコアメイクにつながる【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はウェッジの本数のお話。
配信日時:2023年11月9日 03時34分
ゴルフクラブの中古ショップによく行くのですが、気がついたことがあります。20数年前に一世風靡した、ブリヂストンのジャンボ尾崎さん使用ブランド〈J’S〉の5番ウッドがあったのですが、ロフト角がなんと20度でした。今の5番ウッドは、18度が一般的で、やさしいクラブになると17度なんてモデルもあります。実に3度も立っているのです。立派なストロングロフト化です。
ストロングロフト化で一番変化しているのはアイアンです。最近の技術の進化により、ロフト角が立ってもボールが上がりやすくなっているので、番手の数字を変えずにロフト角だけが立っているモデルはたくさんあります。ピッチングウェッジで比較すると分かりますが、その昔、プロが使うピッチングウェッジは48~50度でした。今は、ツアープロが使用するモデルは45~47度と最大5度ほど立っています。また、飛び系アイアンになると40度前後のもあります。昔の8番アイアンのような感覚ですよね。同じ〝P〟という表示でも、ロフト角はけっこうバラバラなのです。
アイアンが飛ぶようになったことでメリットはあると思いますが、ピッチングウェッジ以下のウェッジのロフト角選びが重要になってきます。ピッチングウェッジより下のウェッジの定番ロフトといえば、52・58度ではないでしょうか。しかし、ストロングロフト化が進み、何も考えずに〝52・58〟と選ぶのは危険です。
詳しく調べないでアイアンを買い替えると、知らぬ間にピッチングウェッジのロフトが43度なんてこともあります。その下が52度では9度の差ができてしまいます。ロフト角1度あたり2~3ヤードの飛距離の差が出るといわれます。9度違うと、フルショットで約20ヤードの差になります。精度が求められるピッチングウェッジで、20ヤード以上のコントロールをしないといけません。プロでも同じですが、コントロールショットするよりもフルショットの方が距離感は合うものです。
外国ブランドのメーカーはその間を埋める、ギャップウェッジとしてセット販売に組み込んでいるものもあります。各メーカーの単品ウェッジのロフトバリエーションは増え、46度から60度まで多岐にわたっています。
まずは、自分が使っているピッチングウェッジのロフト角を知り、ウェッジのフルショットできれいな距離の階段ができるように4度前後のピッチでウェッジのロフト角選びをしましょう。
私は長らくピッチングウェッジのロフト角が47度のアイアンを使用していましたが、ストロングロフト化の流れにのって、ピッチングウェッジが45度のアイアンに替えました。その下のウェッジが〝52、58〟でしたが、7度も開いてしまうので、50度、54度、59度のウェッジを入れました。ウェッジを1本増やした分は5番ウッドを抜きました。
実は、54度のウェッジは初めてキャディバッグに入れました。これが思わぬ副産物でしたね。54度をアプローチで使うのですが、これがまあ、簡単なわけですよ。今までは58度のウェッジでやっていましたが、54度はロフトが立っているぶん、アプローチの振り幅が小さくても前に行ってくれます。冬場の持病、チャックリはなくなりましたし、振り幅が小さいぶん、ミスヒットなく狙った距離を打てます。「50ヤード以内はサンドウェッジ一本」という方もいると思いますが、54度を試すとミスが少ないのが分かると思います。
私は54度のウェッジを選択しましたが、ピッチングウェッジの下に3本のウェッジを入れると、短い距離でフルショットの階段もできますし、54度を使うことでアプローチもやさしくなります。ストロングロフト化でツアープロでもウェッジの本数を増やす時代です。ピッチングウェッジを含めて4本ウェッジ体制にすることで、スコアメイクにつながると思います。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
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