ALBA.Net記者さんから再び「EENOUR」絡みの依頼が舞い込んだ
記者 タナビーくん、前回書いてもらった「EENOUR(以下、「イーノウ」)」のインプレッション記事、すごく好評だったよ。
※ちなみに前回の記事はこちら
クレカとほぼ同サイズ!? 「イーノウ」のレーザー距離計が小さいのに機能全部入りだった
田辺 ありがとうございます! 今回も「イーノウ」の案件でご依頼だとか。
記者 そうなのよ。「イーノウ」が新しく「SILLAID(シライド)」というプレミアムラインのブランドを作って、その新製品として『VOYAGE(ボヤージュ)』と『VOYAGE PRO(ボヤージュ プロ)』という2つのレーザー距離計をリリースしたんだ。今回は、上位機種の『VOYAGE PRO』をコースでテストしてもらって、その良さを存分に記事にしてほしい。
田辺 たしかに前回の取材では驚きましたよね。クレジットカードサイズのレーザー距離計に十分すぎるほどの機能が詰め込まれていて、しかも激安という……。でも、裏を返すと前回のモデルでも十分ハイレベルだったので、プレミアムラインの製品で訴求できることってあるんですかね?
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記者 タナビーくん、「3点計測」って知ってる?
田辺 いえ、知らないです。
記者 君もまだまだ情報収集が甘いね。正式には「3点間距離計測モード」って言うんだけど、私は今回の『VOYAGE PRO』の最大の売りは「3点計測」になると確信しているよ。正直、多くのゴルファーがGPSウォッチからレーザー距離計に持ち替える大きな転機になるとさえ思っている。
田辺 なんだか、すごそうですね……。
記者 私はね、こういう製品を待っていたんだよ。さあ、善は急げだ。コースで『VOYAGE PRO』の使用感をテストしに行こう。
田辺 記者さんがそこまで熱くなるとは興味が湧きますね。早速行きましょう!
画面の見やすさ、レーザーの当てやすさはピカイチ
記者 さあ、まずは外観をチェックしていこう。
田辺 『VOYAGE PRO』は筐体にレザーが使われているんですね。高級感のある見た目で、質感もいいです。持ってみると程良い柔らかさで手に馴染む感じがします。
記者 本革の「カウレザー」が使われているみたいだね。
田辺 レーザー距離計はコースで使う頻度が多いので、形状や素材による持ちやすさは大切なポイントですが、プレミアムラインを謳うだけあって良い作りをしていますね。あと特徴的なのは「S」のボタンが追加されたことでしょうか。前回テストした『EENOUR Ultra-mini U1000pro』は「電源/測定ボタン」と「MODE/セットボタン」の2つだけでしたが、今回は3つに増えています。
記者 「S」は「スロープ」を表していて、1タッチで「直線距離測定モード」と「スロープモード」、つまり高低差を加味した飛距離を表示してくれるモードの切り替えができるようだよ。私はほとんど使うことがなさそうだけど、競技で使う人には便利だろうね。
田辺 高低差を測る機能はほとんどの競技で禁止されていますからね。「直線距離測定モード」の間は緑色のランプが点灯するなど、競技ゴルファーへの配慮もしっかりされているのは好印象です。
記者 画面の解像感というか、見やすさもさらに向上したね。『VOYAGE PRO』には、「BAK-4プリズム」という高級なガラスが使用されているみたい。
田辺 高品質なレンズのおかげか、霧や雨の日でも距離を測れるというのが驚きですね。雨の中などは、レーザーに雨が干渉するためか、全然測れなくなるんですよ。競技だったら、シビアなコンディションほど、正確な距離の情報が欲しいのに、レーザー距離計が使用不能になるのは辛かったですが、それが解消されたのはありがたいです。
記者 レーザーを当ててから距離が表示されるまでのスピードも相変わらず速いし、今回もモノはかなり良さそうだね。
田辺 測定スピードや精度の高さは大手メーカーと比べても遜色ないですね。でも、前回の『EENOUR Ultra-mini U1000pro』とも大きな差はないように感じます。そうなると、記者さんが話していた「3点計測」が大きな訴求ポイントになりそうですね。
記者 その通りだよ、タナビーくん。『VOYAGE PRO』の基本スペックは間違いなく高いが、従来機種だって十分な機能を持っていたから、そこだけを訴求するのは難しい。新たに追加された「3点計測」が重要になるんだよ。
ALBA.Net記者が「3点計測」にこだわる理由は“歩く距離を減らせるから”……!?
田辺 「3点計測」ってつまりは、ボールとピンなどに任意の2地点にレーザーを当てることで、2点間の距離を計測できる機能ですよね?
記者 そう。コースレイアウトにもよるけど、「3点計測」の機能を持ったレーザー距離計があれば、カートに乗ったままで、ボールとピンの距離、つまりセカンドで打つべき距離が分かってしまうわけさ。
田辺 たしかにすごいですが、別にボールの後ろに立って測ればいいのでは……? ヤード杭を見れば大体の距離が分かりますし、クラブを2〜3本持って行けば十分かと。
記者 あのさ、タナビーくん。それ、完全に上級者の上から目線だから。我々アベレージゴルファーは遠目に見たボールの距離なんて平気で数十ヤード間違えるし、そもそもボールが曲がるから、ラフや林に打ち込むことが少なくない。クラブを2〜3本持っていったのに、結局違うクラブが必要になって、カートに取りに戻るなんてことは日常茶飯事なの! それにヤード杭と言うけど、2グリーンのコースだと左右の杭で距離が大きく違うことも多いし、センター表示のこともあれば、エッジ表示のこともある。慣れたホームコースとかでない限り、そう簡単に距離なんて分からないんだってば。
田辺 でも残り距離を見間違えてカートまで戻ったところで、大した距離じゃないのでは?
記者 いやいや、いつもフェアウェイからセカンド打ってる奴には分からないんだって。日本のコースは基本設計上、カート道がフェアウェイの左側に作られている。だからスライサーの私が右に曲げると、カート道からどんどんボールが遠ざかっていくわけ。もし、ボールのところに行ってからカートにクラブを取りに行くとすると、フェアウェイの幅だけで大体30ヤード、そこにラフの幅をプラスした距離だから、片道50ヤード、往復で100ヤードほど余計に歩くわけだよ。これが10ホールで起きたら1000ヤードだよ? パー5だったら2回はクラブを取りに戻る可能性があるし、ホールによっては片道が50ヤードでは済まないこともある。実際には1500ヤードくらい行くかもしれない。そうなると1.3キロ以上、余計に歩くことになるんだよ。これは東京駅-神田駅間や新宿駅-新大久保駅間を歩くのとほぼ同じ距離だよ。最近上がり3ホールの体力が持たなくなってきてるのに、余計にそんな距離を歩くとか「勘弁してよ」ってなるでしょ?
田辺 そもそも曲げなければいいじゃないですか。ティショットをフェアウェイにしっかり置けるようになれば、残り距離もパッと分かるようになりますよ。
記者 おいコラお前、今日本中の悩めるスライサー・フッカーを敵に回したぞ。誰だって曲げたくて曲げているわけじゃないっつうの。
田辺 (これは余計なことは言わない方が良さそうだ)た、たしかにレーザー距離計1つで山手線の1駅分、歩く距離を減らせるのは魅力ですね。
記者 やっと理解できたか。アマチュアゴルファーがどれだけ歩きたくないか、君はもっと知るべきだし、考えるべきだよ。
田辺 はは、本当そうですね……。(みんながみんな、記者さんみたいに歩きたくないわけではないと思うが……)
「ピンロックモード」との合わせ技で快適に「3点計測」が使える
記者 前置きが長くなったけど、プレーしながら『VOYAGE PRO』の「3点計測」の使い勝手をチェックしないとね。
田辺 記者さん……。カートからボールにはレーザーを当てられるんですが、ピンに上手く当たりません。「3点計測」は通常の計測のようにレーザーの当て直しができないから、けっこうストレスかもです。
記者 頼むよ、タナビーくん。そんなときのために「ピンロックモード」があるんじゃないか。
田辺 あっ「電源/測定ボタン」を長押ししながら照準を動かすと、もっとも手前にある対象物の距離が測れる機能ですね。ピンの奥に林などがあっても、ピンにしっかり当たるという。
記者 『VOYAGE PRO』の「3点計測」では、A地点とB地点のどちらも測定時に「ピンロックモード」が使えるよ。
田辺 すごく快適になりました。ボールの後ろから測りたい場合も、「ピンロックモード」を使うと測りやすくて便利でしたよね。あとは、先にA地点としてピンまでの距離を測ってから、B地点としてボールに当てるのも良さそうです。やっぱりピンに当てるほうが難しいので、失敗が少なくなります。
記者 「スロープモード」にすることで、「3点計測」でも高低差を加味した距離を測定することができるし、これは便利でしょ。
田辺 あとは計測の精度ですね。いくらカートから距離を測れても、全然合っていなかったら意味がないですからね。
記者 それはその通りだね。よし、「3点計測」をしてから、ボールの位置に移動して、距離を測ってみよう。
田辺 今日は私の私物のレーザー距離計も持ってきていますので、これで測ってみましょう。これで数値の誤差が少なかったら、文句なしです。
田辺 『VOYAGE PRO』で測った「3点計測」の距離が「99.7ヤード」、私物のレーザー距離計で測定した距離が「102.3ヤード」でした。
記者 さすがに完全一致とはいかなかったか。
田辺 おそらく2地点の距離を測るときに、レーザー距離計の位置が少しズレるので、それが誤差につながっている気がします。とはいえ、3ヤード前後の誤差だったら、十分実用的ですよ。持っていくクラブは1本に絞れます。
記者 そうだね。私の推測は間違っていなかったよ。断言するけど、クラブを2〜3本持って走る時代はもう終わったよ。これからの時代は、カートから「3点計測」で距離を測って、クラブを1本持って悠々とボールに向かうのがスタンダードになるのさ。
田辺 最初は「そこまで必要な機能かな?」って思いましたけど、使い出すとかなり便利ですね。ティショットを曲げて谷にボールを落とした時でも、崖を降りることなくボールとピンの距離を測ることができます。そもそもレーザー距離計は、極端な打ち下ろしだとピンが見えなくて測れないことがありますけど、「3点計測」があればかなりの状況をカバーできるはずです。
記者 タナビーくんにも「3点計測」の魅力を理解してもらえて嬉しいよ。
「3点計測」は酷暑が続く今こそゴルファーに必要な機能
田辺 18ホール『VOYAGE PRO』を使ってプレーしましたが、使い勝手の良さ、「3点計測」の便利さが十分に感じられました。
記者 私も、残り距離を全部、タナビーくんに「3点計測」してもらったからすごく楽だったよ。
田辺 今まで同伴プレーヤーの残り距離を測るときって、近くまでレーザー距離計を持って移動する必要がありました。さすがに大変なので、「自分が今いる位置で○○ヤード」みたいな伝え方をすることもありました。でも、「3点計測」があると、動かずにしっかりと残り距離を測って伝えられるのでいいですね。公式HPで「3点計測」のことを「仲間モード」と呼んでいるのも納得です。
記者 距離が分かることでスコアが良くなるのは当然として、歩く距離が最小限になって、体力を温存できるのは素晴らしいことだよ。ちなみに今日のラウンドでは、パー3を除く14ホールでティイングエリアから230ヤード地点でカート道路から反対側のラフの中心までの距離を測ってみたけど、703.6ヤードもあったよ。もしクラブを取りに戻って往復したら1407.2ヤードだ。曲げ幅によってはもっと長くなるかもしれない。
田辺 (自分の残り距離を測らずにそんなことをしていたのか……)とことん歩きたくないんですね。
記者 私はゴルフ場にゴルフをしに来ているのであって、お散歩しに来ているわけではない。歩くことが目的ならお金のかからない近所の公園にでも行くさ。それにね、タナビーくん。ゴルフ場で歩く距離を最小限に抑えることは、熱中症の予防にもつながるんだよ。
田辺 たしかにそうかもしれませんね。去年の夏もめちゃくちゃ暑くて、屋外で過ごすのがかなり辛かった……。
記者 気象の観測が始まって70年以上経つけど、2023年は北日本と東日本で“もっとも暑い夏”だったんだよ。例えば東京では、35度以上の猛暑日が22日、30度以上の真夏日が90日もあった。芝生の上は気温が5度以上高くなると言うし、照り返しの強いバンカーなどはもっと危険だ。今年の夏も酷暑の予報が出ていることを考えたら、ラウンド中の歩行距離は少ないほどいい。熱中症のリスクを下げる上で、「3点計測」はゴルファー必須の機能だと言っても過言ではないよ。
田辺 「3点計測」を搭載したレーザー距離計は夏ゴルフの必須アイテムになりそうですね。そう言えば、『VOYAGE PRO』の価格を聞いていませんでしたが、いくらなんですか?
記者 『VOYAGE PRO』が37,980円(税込)、もうひとつの『VOYAGE』が24,980円だね。液晶が違うのと、『VOYAGE PRO』は測定結果表示色が赤緑なのが、『VOYAGE』は黒というところが2つの機種の差かな。モードは「雨・霧モード」が『VOYAGE』には未搭載、『VOYAGE PRO』にはゴルフには使わない「スピードモード」が未搭載なだけで、どちらも機能はほぼ同等。もちろん「3点計測」は『VOYAGE』でも使えるよ。
田辺 プレミアムラインとは思えない恐ろしい価格破壊っぷり……。
記者 楽にゴルフができて、熱中症予防にもなってこの価格だったら、買う価値は十分すぎるほどあるね。
田辺 いろいろな意味ですごい製品でしたね。今日はレーザー距離計の進化を体感することができました。ありがとうございました!
取材協力/マグレガーカントリークラブ
撮影、構成/田辺直喜
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