古江彩佳のメジャー初Vに貢献した『BITING SPIN ウェッジ』はアマチュアでも使いこなせる?
ベストスコア「67」、ホームコースのハンディキャップ「0」を誇る、貧打爆裂レポートのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、ギアについての噂の検証をします!実際にゴルフコースに持ち込んで、動画を撮影しながらラウンドしたレポートです。
配信日時:2024年9月25日 10時45分
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
『BITING SPIN ウェッジ』は、ブリヂストンスポーツが、2024年9月6日に発売。シンプルな名称の新しいブランドのウェッジです。
『BITING SPIN ウェッジ』のコピーは、“食いつくミーリングで止める 軟鉄鍛造のNewツアーウェッジ。”です。名称の『BITING』は食いつくという意味ですので、ストレートというか、素直です。とはいえ、名前通りに機能しないクラブも市場には少なからずあります。じっくりと観察してみます。
最初に注目するポイントは、コストパフォーマンスです。『BITING SPIN ウェッジ』は、直販サイトの価格が(2024年9月17日確認)24,200円(税込み)となっています。ツアーウェッジは、四捨五入すると3万円になるのが当たり前になって久しいので、この価格は魅力があります。機能するのであれば、コストパフォーマンスは極めて高いと言えます。
具体的なテクノロジーで注目したのは、「BITING SPIN IX MILLING」です。「I」は縦溝、「X」は斜め溝。2
つを効果的に組み合わせることで、濡れた状態でのスピンの減少を抑えて、アプローチ時にスピンがかかりやすくなります。また、少し開いて使用することが多いツアー現場で、最高のスピン性能を発揮するようになっているそうです。
「ブラスト処理」と「緻密なレーザー加工」は、接点の科学に定評があるブリヂストンスポーツの得意技です。摩耗力と排水性を高め、スピンのかかりを良くし、ノーメッキのウェッジのようなフィーリングになって、イメージが出やすいウェッジになっているとのことです。
『BITING SPIN ウェッジ』は、48度~60度の2度刻みで、56度と58度は2種類のバンスから選択できるようになっています。58度のバンスは8度と12度で明確に違いますが、56度のバンスは8度と10度と微妙な差しかありません。これは『BITING SPIN ウェッジ』が、ツアーウェッジの敏感さを持っているという証拠になると感じさせます。
価格が安めのウェッジはフルラインナップではない場合が多いのですが、『BITING SPIN ウェッジ』は、フルラインナップですから、ウェッジ3本体制、4本体制、自由に合わせることが出来ますし、パワーの有る無しでも、男女でも、チョイスしやすくなっています。
『BITING SPIN ウェッジ』は、特別な飾りはありません。極めてシンプルなウェッジです。構えてみると、少し丸顔で、ネック部分の処理も日本のゴルファーが好きな形状になっていて、好感触でした。アドレスビューは、ウェッジの命だと考えるゴルファーがいます。色々とこだわりはありますが、『BITING SPIN ウェッジ』は良いと感じるゴルファーは多いと思います。
期待に胸を膨らませて、『BITING SPIN ウェッジ』の48度、52度、56度、60度のロフトを試打しました。試打した日は、気温24℃~29℃。薄曇り。使用したボールは、使い慣れていてクラブだけの影響に集中しやすい『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
『BITING SPIN ウェッジ』の打音ですが、音量はやや大きめです。硬質で高音のスッキリした音質です。フェースに当たる場所で、打音が変わるのはツアーウェッジらしくて良いと思います。打ち応えは、乗り感が独特で重く強めです。手応えは敏感で、クリアな芯感も伝わります。
【弾道・球筋・スピン】
『BITING SPIN ウェッジ』は、打ち出し低めの高弾道。高低の打ち分けに反応してくれて、特に低く打ち出すボールは打ちやすいです。開いて使っても、カット感が弱いところは好印象です。
【スピン性能・距離感覚】
『BITING SPIN ウェッジ』のスピン性能は、オートマチックにしっかりかかります。フルショットからハーフショットの距離であれば、落ちてすぐに止まるボールが普通に打てます。ロフトより少し飛ぶ感じがしましたが、それに慣れれば距離感も作りやすいので、やさしいと感じるゴルファーも多いはずです。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『BITING SPIN ウェッジ』は、アドレスビューがお見事です。日本のゴルファーが昔から好む和顔の要素がバッチリと入っていますが、過剰ではないのです。その加減が、ちょうど良いと思いました。
フェースの加工がグレーよりも茶色に近く見えます。最初の数ホールで慣れますが、それがダメ、という評価になるゴルファーもいるかもしれません。
『BITING SPIN ウェッジ』で、想定より良かった点は、ソールの効きです。開いて打つことが多いのですが、フェースは開いてハンドファーストというツアープロのようなアドレスでも、ピタッと合うだけではなく、スッと滑って抜けます。フルショットのときも、あまり気にしないで打てるので、対応力という意味でも、完璧だったのです。
試打ラウンドをしながら、『BITING SPIN ウェッジ』は良いウェッジだと感心しました。自由自在に、好きなようにさせてくれるところが、大好きです。色々と挑戦したくなりますし、その中で、自分の得意とウェッジの得意が合致していく感じがしました。
敏感すぎて、特殊な使用法でなければ使えないツアーウェッジも、市場にはたくさんあります。『BITING SPIN ウェッジ』は、敏感ですが、こちらに合わせてくれるやさしさもあります。単純にやさしいとは言えませんが、使えば使うほど楽しくウェッジゲームが出来るやさしさは、確実にあると感じました。一緒に成長していけるようなウェッジを待っていたゴルファーに『BITING SPIN ウェッジ』はオススメです。
最初に書いたコスパ良しについて、最後に書きます。一般的なショップ12店を調査したところ、2万円を切った価格で販売しているショップが複数ありました。しかし『BITING SPIN ウェッジ』は機能を考えれば確実に安いのです。ウェッジは消耗品だと考える人もたくさんいます。そういう場合でも、安くて良いものが不可欠です。『BITING SPIN ウェッジ』は、コース内だけではなく、そういうシーンでもゴルファーを救ってくれるのだと感じました。
【試打ギアスペック】
『BITING SPIN ウェッジ』
ヘッド素材 軟鉄(S20C)
ロフト 48度~60度 ※2度刻み
シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR105 (S)
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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