ウソだろ⁉ 平均飛距離264ヤードでドラディス1位の葭葉ルミが「4X」のカルカタシャフトで飛ばしていた
国内女子ツアーの「ニトリレディス」終了時点でのドライビングディスタンス264.24ヤードで1位につける葭葉ルミ。本間の未発表モデル『TW767プロトタイプ』を使用していることは既報どおりだが、さらに飛距離アップの秘密があった。
配信日時:2024年8月31日 02時00分
国内女子ツアーの「ニトリレディス」終了時点でのドライビングディスタンス264.24ヤードで1位につける葭葉ルミ。「NEC軽井沢72ゴルフ」の飛距離計測ホールでは301ヤードをマークして、ギャラリーを驚かせた。2017年・18年のドライビングディスタンス女王は、昨季252.90ヤード(12位)と落としたが、今季は大幅に飛距離を伸ばしている。本間の未発表モデル『TW767プロトタイプ』を使用していることは既報どおりだが、さらに飛距離アップの秘密があった。
目を引くのが未発表モデルのヘッドに挿さるシャフトだ。女子ツアーでは使用者の少ない三菱ケミカルの軽量ブランド『VANQUISH』(ヴァンキッシュ)だ。
「『ヴァンキッシュ』ってシマノの高級リールと同じ名前でイメージがいいんです(笑)」と釣り好きの葭葉ならではの冗談も出たが、ちゃんとこだわりがある。「走るシャフトで、つかまり感が好きです。振りにいってもつかまりすぎず、球がねじれにくいので安心して振れます」とヘッドとのマッチングもよくイメージしたドローボールが出やすいと話す。
驚きはそのスペックだ。重量は40グラム台、硬さはXの「4X」の46インチ。いわゆるカル(軽)・カタ(硬)だ。女子プロといえでも40グラム台のシャフトを使う選手は珍しく、葭葉と同じ本間ゴルフでいえばイ・ボミ(韓国)が使用するぐらい。一般的に“非力”なゴルファーが使う重量とされている。
葭葉自身も40グラム台を使うのは今回が初めて。「ヘッドが重いとかシャフトが重いと感じると振りにくく感じます。全体的にバランスを軽めにして、頑張って振りたいんです」。クラブの重さを利用してエネルギーを出すよりも、自分のスイングで飛ばすことに重きを置いている女王の眼鏡にかなった形だ。
ほかにも理由がある。「1日18ホールの長丁場でドライバーは最大14回振ります。後半になってもしっかり振り切れることが大事」と長丁場の戦いの終盤でも、しっかり振り切るために軽量モデルを好む。飛ばし女王のパワーにも耐えられるのが、『ヴァンキッシュ』ということになるのだろう。
『ヴァンキッシュ』は今年6月の「ヨネックスレディス」から装着しているが、この試合以降、試合ごとのドライビングディスタンスではトップ3を外していない。そのデータからもカルカタ効果が表れている。
クラブが軽く感じるとアマチュアはどうしても手打ちになってしまいそうだが……。「飛距離を出すには腕も振らないといけないので、ヘッドを動かすためには操作できる重量がいいと思います」。アマチュアにも振りにくさを感じるより操作できる方を推奨する。
軽量モデルを使うスイングのイメージも聞いてみた。「私はインパクトをあんまり感じないスイングをしたい。インパクトを作るのも大事ですけど、フィニッシュまでしっかり振り切れることを意識しています。そして自分のスイングに付いてきてくれるクラブが大切です。やっぱり振りにくいクラブでは飛ばないですから」。緩み知らずの気持ちいい振り抜きが飛ばしの秘訣とも教えてくれた。
本間の未発表の『TW767プロトタイプ』のヘッドに、三菱ケミカルの技術の詰まった軽量シャフトに加えて「ボールも飛距離に影響があります」という。「『767』のヘッドってブリヂストンのボールがバチバチ合っています。ボールとの相性って絶対にあるので」と、葭葉が使用するブリヂストンの『ツアーB XS』も飛距離アップにつながっているという。
ドライビングディスタンス部門は神谷そら、竹田麗央、小林夢果ら20歳代前半の選手が増えているが、今年31歳になった葭葉はいう。「飛距離はコツなんです。体力があれば何歳でも飛ばせます。それに楽に飛ばせるギア選びも大事ですね」。何歳になっても飛ばし女王の座は譲らない。
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●松山英樹は、アイアンもバンスがほとんどないモデルを使っているという。関連記事【松山英樹愛用のアイアンは、バンスがほとんどなくて超難しいってホント?】を読むと、その秘密が分かります。