マジか!? 2位発進の松山英樹が、ドライバーでこだわる『球体と直線で構えられる』顔って一体なんだ?
米国男子ツアーのプレーオフシリーズ初戦を制した松山英樹。自身初の年間王者獲得に向けて大事なプレーオフシリーズ初優勝、節目となる米ツアー10勝目を飾った。8月22~25日開催のプレーオフ2戦目では初日2位発進と好調をキープしている。そんな松山が絶対的に信頼するドライバーについてレポートしたい。
配信日時:2024年8月23日 04時00分
米国男子ツアーのプレーオフシリーズ初戦を制した松山英樹。自身初の年間王者獲得に向けて大事なプレーオフシリーズ初優勝、節目となる米ツアー10勝目を飾った。8月22~25日開催のプレーオフ2戦目では初日2位発進と好調をキープしている。そんな松山が絶対的に信頼するドライバーについてレポートしたい。
ドライバーは『スリクソン ZX5 Mk II LS』(9.5度)に、長年愛用するグラファイトデザインのシャフト『ツアー AD DI 8TX』を組み合わせている。本当に納得しないと使用しないという松山。彼はドライバーのどこを評価しているのか。松山のクラブを担当するダンロップの宮野敏一氏にじっくり話を聞いた。
「全米プロなどでたまに『ZX5 Mk II』を使用しましたが、だいたい『ZX5 Mk II LS』を使用しています。そういう使用状況を俯瞰して見ると、スピン量が少ないヘッドを生かして戦いたいのだと思います。より浅重心の『LS』の方がボール初速が出るので、気に入って使っているのだと思います」
つまり、ドライバーには高初速・低スピンの飛距離性能を求めているようだ。ただ、スピンが少な過ぎるとボールがドロップしたり、弾道をコントロールしにくいデメリットもある。
「松山プロのスピン量は2200~2600回転で変化しています。PGAのトッププロもだいたいこれくらいが平均値。『LS』は他社の浅重心ヘッドよりも、重心深度がやや深めなので、そこまでの低スピンにならないと思います。それに、スピンを減らした方が飛ぶというのは、データだけの話。やはり最適な低スピンの状態が理想だと思います」
そして性能や打感よりも、松山がクラブ選びで一番重視するのは『顔』だ。以前は宮野氏がペンなどで、フェースのトップラインを塗って好みの顔に微修正していた。現在はどうなのだろうか?
「今はやっていないです。僕が感じる松山プロの顔の好みを、製品になる段階で開発チームが仕上げてくれています。松山プロが好む顔は『フェースは真っすぐで、トゥ側の受け口がかぶって見えた方がいい』という点。10~15年前までは『いかにフェースがかぶって見えないか』が多くのツアープロたちの要望でした」
ツアープロは大けがにつながる左へのミスを嫌う。だからこそ、アマチュア向けのクラブはつかまり顔でも、プロは逃げ顔を好む傾向があった。それが時代とともに変わりつつある。
「ヘッドが大型化して、つかまるイメージを持ちたいのだと思います。本来スイングに顔は影響しないはずなんですが、選手たちは試合の中で自信を持ってスイングするためには、全体的にフェースがかぶり目でつかまるイメージを持ちたいというプロが多くなっています」
松山に話を戻すと、ドライバーの顔にも『アイアンと似たようなテイストが欲しい』という。
「ドライバーでも弾道を操りたいのが松山プロ。他のプロと比べて積極的に球を曲げて戦います。だから、アイアンと似た真っすぐな顔の方が、弾道の操作がしやすいのだと思います。あと、ボールが『球体』でヘッドも逃げ顔の『球体』だと、構えたときの印象が多少ボヤけてしまうのでしょう。ヘッドは『直線』の方が、アイアンみたいに曲げたりして打っていけるようです」
ドライバーはアイアンと違い、フェース面が丸く設計されている。これによりトゥ側やヒール側でヒットしたときに真ん中に戻すような回転、『ギア効果』が生まれる。だが、アイアンのようにドライバーを打ちたい松山には、フェースの先が逃げて見えるため、直線的なフェースを求めたのだろう。
微細にまでギアにこだわりを持つ松山の希望に叶うヘッドを作り出すのは至難の技。現在使用しているクラブに寄せる厚い信頼が、数々のスーパーショットにつながっている。
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●ウェッジはいろいろなヘッドやソール形状があり、悩んでしまう。アプローチに悩む人には関連記事【フェースを開いて激スピンで止める? ザックリを防いでミスなく寄せる? 最新ウェッジ30機種を完全解剖】がオススメ。これでピッタリモデルが分かる!