6~7年で1000個もドライバーを壊した!?【世界一飛ばす破壊神、カイル・バークシャーの衝撃】
コブラの開発にも携わる、世界一飛ばす男、カイル・バークシャーが来日!(その3)
配信日時:2024年2月2日 05時08分
31日、都内のインドア練習場にて、プーマジャパンが2024年のコブラ新製品発表&試打会を開催した。ゲストとして、コブラ契約のドラコン世界一を3度戴冠した、カイル・バークシャーが登場。バークシャー自身が21年から開発に携わった、『DARKSPEED』シリーズに関するPRを行った。世界一飛ばす“破壊神”、バークシャーから受けた“衝撃”の続き。
■ここ6~7年で1000個の1Wヘッドを破壊
コブラが用意したネットをウォーミングアップの8Iで貫通、3重の防球マットの破壊とレンジ球のダメージをお伝えしてきた世界一飛ばすカイル・バークシャーの凄さ。そして、記者が最も衝撃を受けたのがその「1Wヘッド破壊履歴」だ。「1年で何個くらいヘッドを消費するの?」と聞くと「ここ1年で100個くらいかな」とバークシャー。
HS50m/s前後の記者も若い頃にフェースが凹んだり、クラウンにヒビ割れたり、鎖骨や背中に当ててシャフトを折ったことはある。歴20数年の破損経験は6本くらいだが、バークシャーは昨年100個も“ヘッドを”破壊したとか。驚く記者に、バークシャーがさらにたたみかける。
「何年か前の大会で、25個ヘッドを持ち込んで練習や予選・決勝までいって、最終的に生き残ったヘッドが1個だけになったことがあった」。なんと1つの大会で24個も破壊したとか。「それってカイルには普通のこと?」と問うと「そうだね、ここ6~7年で1000個は壊したのは間違いない」と言い、それでも少なくなってきたよう。
直近1年を除外しても、5~6年で900個近く壊したと言い、壊れ方も色々で「フェース上のクラウンが平行に割れることもあるし、フェース面がヒビ割れることも多い」。さして芯を外さない男でも、最速ヘッドスピード74m/sに達すると、ヘッドがもたないとは……。サポートするコブラには心底、頭が下がる想いだ。
■耐久性はセンシティブな話題だが…
この破壊の逸話を記事にして「コブラに迷惑をかけないか?」と、記者は担当者に事前に確認をした。ところが、担当者はバークシャーと3年がかかりで作り上げた新作『DARKSPEED』に自信があるのか「全然大丈夫ですよ」と、こともなげに言う。
記者は色んなメーカーの開発者に話を聞いてきたが、耐久性重視の某社の場合、ハードヒッターの破損の話題にかなりセンシティブで回答を避けられたこともある。コブラはバークシャーやデシャンボーなど、最も過酷な強度テストにさらされてきた自負があるのか。
ただ、バークシャーは破壊が目的ではなく、あくまで“最速”を求める競技者。サポートするコブラは選手のパフォーマンスのため最高のマシンを用意する義務もある。バークシャーは開発にも携わってきて耐久性を相当リクエストしたのか、「メタルミックスした素材のおかげで『DARKSPEED』は壊れない」との言葉に嘘はなさそう。
実際、彼の『DARKSPEED LS』のソールにはマジックで4つの数字が書かれており、3年もカールスバッドの本社を往復してきたバークシャーは、エアロダイナミクスの効果や、フェース素材、フェースの板厚に加えて反発のCT値など、ヘッド設計の“キモ”を熟知している様子。その数字の意味をこう説明してくれた。
■数字に強いのは、米軍で勤務するコーチの影響
「ヘッドに書いた一番上の【3】という数字は3タイプ目というヘッドの識別で、2番目の【34】というのはCT値の一端を表していて、色んなモノを試しているよ。3番目の【192】は重さで、192gということ。4番目の【10】というのは、『DARKSPEED』の10個目のヘッドという意味だね」(バークシャー)
このように、ヘッドの細かな特徴や何個目かをナンバリングする破壊神。「数字に強いの?」と聞くと、大学でファイナンスやマーケティング専攻で元々数字に強いことに加え「コーチのボブが米軍に勤めているんだけど、風向きや打出し条件などを計算することに長けていて、飛ばすために数字を理解する大切さを学んできた」という。
2番目の【34】というフェースのCT値関連のモノから推察するに、CT値上限の257μではなく、これは234μの分厚い耐久性目的のフェースが装着された破壊神専用のプロトタイプだろうか。開発の細かな内情を語るのは避けたが、1000個も破壊してきた男が “速度も上がっても壊れない”という新作に俄然興味を持った。(編集部M・K)