「構えやすい顔でやさしいクラブしか使わない」と語る9月3勝の平田憲聖 中古店で買った8000円の4番UTは何だ?
「フジサンケイクラシック」「シンハンドンヘオープン」「パナソニックオープン」と9月だけで3勝を挙げた平田憲聖。月間3勝は2001年の伊澤利光以来となる史上5人目の快挙だ。今季はここまで4勝を挙げて賞金ランキングは1位を独走している。ノリに乗っている23歳にクラブのこだわりを聞いた。
配信日時:2024年10月5日 02時00分
「フジサンケイクラシック」「シンハンドンヘオープン」「パナソニックオープン」と9月だけで3勝を挙げた平田憲聖。月間3勝は2001年の伊澤利光以来となる史上5人目の快挙だ。今季はここまで4勝を挙げて賞金ランキングは1位を独走している。ノリに乗っている23歳にクラブのこだわりを聞いた。
ルーキーイヤーの2022年からミズノとクラブ契約を結ぶ平田のキャディバッグの中身は、ほぼ同社のモデルで固められている。「ドライバーを真っすぐ打って、パターを入れる」というステディなゴルフが信条。ゴルフの組み立てに欠かせないのがドライバーである。
使用するドライバーは昨年の開幕から使い続けるミズノ『ST-X230』(10.5度)。「飛距離性能も大事ですし、構えたときの見え方、顔を大切にしています。フェースがかぶって見えると気持ち悪いので、真っすぐ見えるヘッドが好きです。そして打感ですね。弾きが良いモノよりも、フェースにくっつくような打感が好きです」と手に馴染んだ武器は飛距離性能と構えやすさ、コントロールしやすい打感を兼ね備えている。
シャフトは今年4月からフジクラ『24ベンタスブルー』(6X、45インチ)を挿している。以前は『ベンタスブルーTR』を使用していたが「前のモデルよりも楽にボールがつかまって、スピンも入る。球のねじれが少なくなってきました」。今オフのトレーニングも相まって22年シーズンよりも平均飛距離が10ヤード伸びている点も快進撃を支えている。
3番ウッドは契約外だが、テーラーメイド『Qi10フェアウェイウッド』(15度)をチョイス。「PGAツアーの選手がスピンが入るモデルを選んで使っているのを見て、テストしたことがきっかけです」。
『Qi10』シリーズのフェアウェイウッドは「ツアー」「MAX」「スタンダード」の3タイプあるが、海の向こうで松山英樹やローリー・マキロイ、スコッティ・シェフラーらが「ツアー」ではなく「スタンダード」を使っていることに興味を持った。
以前は違うメーカーのヘッドを使っていたが、「3番ウッドは14本の中で一番難しいクラブだと思います。しっかりボールは上がってくれますし、比較的やさしく打てるので気に入っています」とやさしくて飛ぶ3Wがエースとなった。
アイアンはミズノ『JPX923 ツアー』(5~9番)で、ウェッジはミズノ『T22』(46・50・54・58度)に日本シャフト『N.S.プロ モーダス3 ツアー115』を挿している。
「アイアンは操作性とかも大事ですけど、一番は真っすぐなきれいな顔じゃないと打ちたいってなりません。僕はグースの入った顔が好きです。中学時代からお世話になっているので、ミズノの顔や打感は大好きです」と慣れた顔、打感が手放せないと話す。
ミズノといえばプロも納得するマッスルバックのモデルもあるが、「マッスルはちょっと難しいじゃないですか。ヘッドも小ぶりですし、ミスしたときにミスになりやすいですから。難しいクラブよりも簡単なクラブの方が好きですね」と、ミスヒットにも強いタイプを愛用している。
ドライバーもアイアンも昨年から使い続けており、なかなか”クラブを替えない男”でもある。「パナソニックオープン」では54度のウェッジをリニューアルした。モデルは同じだが、バンスを8度から10.5度に変更した。54度だけ「なぜか飛ばない」とミズノスタッフに相談したところ、バンスを増やすことで解決した。
クラブを替えない男は、パターも長年オデッセイ『EXOロッシー』を使用していが、今年5月からオデッセイ『Ai-ONE TRI-BEAM 2-BALL CS』にチェンジ。「気分転換に替えてみたらショートパットが安定しました。短い距離のパットのミスが格段に減りました。テクノロジーの進化を感じます」と三角ネックとAIフェースにより、安定感が増したという。
14本の中でひときわ目を引くのが4番UTだ。新しいモデルが多い中で、4番は2010年モデルのミズノ『MP FLI-HI』(24度)である。2年ほど前に「中古店で8000円ほどで買った」というクラブだが、「飛びすぎないのがいい」という。最近のクラブはテクノロジーの進化もあり、想定外に飛んでしまうこともある。グリーンを狙うクラブでは命取りになりかねない。「昔のモデルですけど球が上がってやさしいですし、飛びすぎないのでコントロールもしやすいんです」と手放せない1本になっている。
狙ったところに打つために、まず気持ちよく構えられる顔に重きを置く。そして”やさしさ”を基準に新旧のモデルを織り交ぜて14本を構成している。ミズノ契約選手の賞金王は中嶋常幸(1982年、85年、86年)以来誕生していない。中学時代からお世話になるミズノに恩返しをする意味でも38年ぶりの快挙にまい進する。
【平田憲聖のクラブセッティング】
1W:ミズノ ST-X 230(10.5度、24ベンタス ブルー 6X 45インチ・D2)
3W:テーラーメイド Qi10(15度、ベンタス TR ブルー 6X)
UT:キャロウェイ APEX UW(21度、ベンタス TR ブルー 8X)
4U:ミズノMP FLI-HI(24度、N.S.プロ モーダス3 ツアー115X)
5I~9I:ミズノ JPX923 TOUR(N.S.プロ モーダス3 ツアー115X)
46・50・54・58度:ミズノ T22(N.S.プロ モーダス3 ツアー115S)
PT:オデッセイ Ai-ONE TRI-BEAM 2-BALL CS
BALL:スリクソンZ-STAR◆