普段、B to C向けのエンドユーザーに向けた記事発信が多いALBA.netだが、先週末に行われた見本市「ジャパンゴルフフェア2025」ではB to B向けの企業にも取材。古くから業界を見続けてきた、ゴルフロボット製造の老舗「ミヤマエ」の想いを深く知ることができた。
9年ぶりの出展は三菱電機とコラボ
M&Mネクストソリューション株式会社の宮永良一社長(ミヤマエホールディングス副社長)に9年ぶりの出展理由を聞くと、「優れたAI技術をご担当いただいている、三菱電機とのコラボレーションが実現したため」と説明する。
「ゴルフロボはミヤマエ製ですが、さらにその動作設定を容易にするための支援機能を三菱電機の情報技術総合研究所が持つAI技術で試作いただきました。それぞれが培った新たな技術を広く業界内で認知してほしいとの想いを三菱電機様へお伝えしたところ、快くご賛同頂き、今回のコラボ出展となりました」(宮永社長)
展示内容は、タイガー・ウッズの全盛期のヘッドスピード・57m/sを上回る60m/sオーバーでの『ロボ10』のデモンストレーションの他、AI による手軽なスイング調整機能により作業効率と精度アップを実現する三菱電機のAI 技術の性能をアピール。今回『ロボ10』に装着したシャフトは、同社と縁ある三菱ケミカル『ディアマナBB 83TX』に、ヘッドはスリクソン『ZXi LS』。間近で見るHS60m/sの風切音やド迫力に来場者も驚いていた。
ミヤマエのロボットマシーンは、これまで主力の『ロボ3』が耐久テスト用で、展示していた『ロボ10』は最高機種。胴体(腰)と肩と手首が別々に稼働し、その量も一瞬で様々なゴルファーの動きを再現できる優れものだ。そこに、昨夏に加わったのが、両方の良さを兼ねる『ロボ8』で、出展理由には、実はこの中位機種の案内も大きいかったとか。
飛ばないボールに対応するクラブ開発が急務
「過去数年にわたるコロナ禍もありイベント等への出展は控えておりましたが、市場ニーズを捉えるために研究開発は継続しておりました。昨年8月の新機種『ロボ8』の製品化をきっかけに、現在稼働している製品のリプレイスならびに新たな市場開拓を目的として、今回の出展を新たなスタートと考えております。
というのも【飛ばないボール】の施行に伴うクラブ開発も次のレベルが求められると考えられ、『ロボ10 』 の基本機能を継承し『 ロボ3 』 の耐久性も兼ね備えたマシーンとして市場投入した『 ロボ8 』 がお役立て頂けるのではないかと。実際、多くのお問合せを頂き、約半分が『ロボ8』に関するものですね」(同)
宮永社長は用具ルールの変更に伴う先行投資の重要性を説き、R&AとUSGAが23年12月に発表した「ロールバック=飛ばないボール」の2028年の施行を見据え、「対応するクラブ開発が急務」だと憂う。そのことを国内老舗クラブメーカーの企画・開発担当に水を向けると、もちろん重要性を認識。「研究開発における製品テストの人員が少ないことは昔から課題で(投資して)生産性アップが必要なことは認識している」と話していた。
と同時に、「今いまの高額投資は難しい」と口ごもっていた企画担当者だが、宮永社長もそういった市況も認識しており “レンタル”利用やサブスク展開も検討中だとか。
東に多い、地クラブの要望増
「ロボの検証レンタルビジネス(サブスクリプション)も検討の余地があるのではないかと、約一年間にわたり多くの地クラブメーカー様を訪問させて頂いて感じています。大手様とは違って、高額なゴルフロボの一括投資は難しいとの声もお聞きしましたし、『ミヤマエでサブスクの仕組みや共同でクラブ実証検証の場を国内に創って欲しい』と、多くの意見を頂きました。
当社は東大阪が拠点で、本社工場にロボを設置していますが、東日本の方が地クラブメーカー様が多いのも現実。そういった事情から、今後は、東・西に検証の場を設置し、レンタルのビジネス化を検討して参ります。御社も含めた、メディア様にも検証に活用頂きたいですし、業界の発展も含め大いに期待される取り組みと考えております」(同)
また、同社は元々様々な計測用機器を揃えてきたことから、それらを包括的に扱う『ゴルフワールド』という構想を用いてきた。これを発展した考えで、昨今の気候変動に伴うゴルファーの猛暑対策にも対応していく。
飲める氷・アイススラリー冷蔵庫の展開
それが、シャープが開発した「飲める氷」こと、アイススラリー冷蔵庫の取り扱い。0℃を下回っても、液体のままの状態を作り出せる特殊なもので、よくある冷凍ペットボトル飲料のように「飲みたい時に溶けていない」といったお困りごとを解決する。このシャープのアイススラリー冷蔵庫のさまざまなシーンでの活躍を期待している。
「アイススラリーは、衝撃を与えると、透明から徐々に飲める氷に変わっていくことが見た目にも楽しいですよね。今回はまだ参考出品ですが、業界だけでなく、今後様々な施設で活用できる商品を創出して参ります。熱中症対策は社会課題で『体を中から冷やすアイススラリー』は、ゴルフやスポーツでの活用はもちろん、建設現場など屋外作業でも幅広く需要が見込まれるため、様々な業界へ提案を行っていく予定です」(同)
シャープの担当者いわくレンタルやリースなど販路を模索し「スポーツシーンにぜひ、アイススラリー冷蔵庫を広めて頂きたい」と言う。基本的に一晩冷やすだけで飲める氷が作れるとのこと。
【お問合せ先】
■窓口部門: シャープ株式会社 Smart Appliances & Solutions事業本部 事業戦略推進部
■メール: sharpdhex@sharp.co.jp
三菱電機のAIや、シャープの冷蔵庫など、様々な企業との取り組みを加速する宮永社長。「ミヤマエ」というロボット製造はその一部分で、“共創”の考えが現在の社名「M&Mネクストソリューション」に現れており、その由来を話して締めくくった。
「我々は市場と製造を繋ぐ企画会社であり、M&Mは【マーケティング】&【マニュファクチャリング】の頭文字になります。サプライチェーン全体の“共創”の輪を大きく拡大してゆくことを目指していて、『生産・供給』においては、ミヤマエの商品や技術をベースに、各メーカーや地域の独自技術を有する企業と“共創”して参ります。一方、幅広いユーザー様との接点拡大を目指し、ソリューション提案を進め、お取引先様との輪を広げて参ります」(同)
✦取材協力✦
M&Mネクストソリューション株式会社
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TEL:06-7632-0091