FWに引き続き、UT3機種の実力も調査
ドライバー、フェアウェイと見てきた【Ai Smart Face】搭載のキャロウェイ『PARADYM Ai SMOKE MAX』シリーズ。ゴルファー25万人分のスイングを計算して導き出したAIフェースは、ミスに強いだけでなく、様々なゴルファーに最適なモデル展開と合わせて弾道補正にたしかな威力を発揮することが分かっている。
今回はその仕上げで、UTとアイアンも総チェック。試打・解説してくれたのは、4Plus Fitting Labo & Golf Salonの吉川仁プロと、東宝調布スポーツパーク店の“博士”こと、静的データと動的データも両方を読み込む澤田嘉之フィッターだ。まずは、キャロウェイのUTについて澤田フィッターはこう印象を話す。
「キャロウェイのUTは、これまで世界共通モデルは米国で人気のトウが高いアイアンライクな形状が多かったですが、日本人には違和感を持たれる方もいました。でも、前作『パラダイム』シリーズで、ここが馴染みやすいウッド形状に変わった点にまだお気づきじゃない人も多いと思います。
新しい『PARADYM Ai SMOKE MAX』のUTも、3機種すべて構えやすいウッド形状なのが嬉しいところ。サイズ感や形状も似ていて『パッと見では、違いが分からない』と思われるかもしれませんが、FWも打つと明確に違いが分かったのでUTにも期待です」(澤田)
『ノーマル』は初速◎で、弾道が強い
試打はレンジ球だが、トラックマンでノーマライズをかけ、吉川プロがドライバーのヘッドスピード42m/s前後の想定で試していく。まずは、『PARADYM Ai SMOKE』の5Hで鋭い中弾道ストレートを放つ吉川プロ。
「とにかく弾きが良くて、トウやヒールにミスしても初速が落ちない。クセがなく万人に構えやすいオーソドックスなUTですが、特にアオり打つ人が飛ばせるUTと感じます。やや強弾道というか、しっかり初速が出て狙った飛距離が出しやすく、シャフト次第である程度パワーのある人もカバーしてくれそう」(吉川プロ)
澤田フィッターも解説を加える。「キャロウェイのUTは、3代前くらいからソールウェイトが真ん中に入った影響かお尻が垂れません。他社で深重心のモノはお尻が垂れてインパクトロフトが増えますが、スピンも増えて少し飛ばない人も出てくる。そういう人は、一度はキャロウェイを試すべき」と言う。
『HL』、『MAX FAST』はより上がる
吉川プロも頷き「まずは、スタンダードな『ノーマル』を他社のUTと打ち比べるといいかも」と応じ、澤田フィッターは「他社ならUT1機種でもおかしくないのに、症状に応じてノーマルの他に『PARADYM Ai SMOKE HL』も選べるのが嬉しい。【HL=ハイローンチ】もありますよ」と、『HL』を吉川プロに手渡す。
試した吉川プロも即座に反応。「たしかに『ノーマル』より簡単に上がりますね。スピン量含め、キャリーをしっかり出して止めたい人は、こちらを選ぶべき。サイズは似ていますが、『ノーマル』より『HL』の方がシャローに見えて弱冠FP(フェースプログレッション)が出ていて、球を拾い上げてくれますね」。
実は一般ゴルファーは『UTは何でもいい』人が多いと澤田フィッター。「ドライバーやFWはきちんと選ぶのに、UTは『同じメーカーなら何でもいい』人が多くて、キャロウェイみたいに3機種をゴルファータイプ別に作り分けていることを知らない人も多い」と、残念そうに話す。
吉川プロも頷き、「一番軽量な『MAX FAST』を打てば分かりますが、見てください、この球の高さ!ノーマル < HL < MAX FASTと、上がり方が全然違いますよね?『UTは何でもいい』と決めつけるのはもったいない」と言う。
最も非力な人向けな『MAX FAST』の特徴は「弾道が打出しから高くロスがない」という。「可変スリーブがなく低重心なのか、打出しから高い放物線でロスなく飛ばせるのが魅力」と吉川プロ。澤田フィッターも「個人的には、性能的に真ん中の『HL』が球を拾ってくれて総合力も高いオススメの1本」と話していた。
アイアンも細かなキャラ分けが凄い!
次は、『PARADYM Ai SMOKE』シリーズのアイアン3機種だが、こちらもUTと似たモデル分けで、『ノーマル』・『HL』・『MAX FAST』が用意されている。3機種をチェックした吉川プロは、こう話す。
「やはり、決め手はAIフェースですよね。3機種とも飛び系アイアンに分類される中で、昔から『飛び系は高初速で飛ぶのはいいけど、現場だと右に滑っちゃう』という方がすごく多いので。今回の『PARADYM Ai SMOKE』は、そういうミスが改善されて、少しくっついてくれて、なおかつスピードが出せますよね。
選び方としては、弾道とスイング傾向だと思います。最も球が強いのが『ノーマル』で、『HL』はそれより高く上がるのはUTと同じ。だから、シャクリ上げて打つ人は『ノーマル』がいいですし、少し潰すような人は『HL』が合う。『MAX FAST』は軽量なので、基本的には非力な方に合いますね」(吉川プロ)
澤田フィッターは「在庫リスクも高いのに、よくこんなに作り分けますよね…」と唸りつつ、UTよりも他機種化が著しいアイアンについて、こうも話す。
「一般ゴルファーの方は、弾道計測器の数字など小難しいことを理解せず、量販店試打のトータル飛距離やバックフェースのデザインなどで即決しがちですが、やはりこれだけ素材も設計もAIも、キャロウェイだけが突出して“キャラを作り分け”しているので、きちんと選べば強力な武器になりますよ。
例えば、ウチのお店では動作解析『GEARS』でリアルな体の動きを可視化し、重心位置の微調整がどんな変化とフィットを生むか?知ってもらえると、本当に驚くお客さまが多いんです。今回、AIがスイングデータを読み込んで作り分けていますけど、アイアンこそ万人に合うモノはないですから」(澤田フィッター)
今回のUTとアイアンは、ノーマル機種の球が強く「アオリ打つ人に合う」共通点が見られた。これは長年改善したくても、直しづらい悪癖を「キャロウェイのAIが先回りしてくれたのかも」と2人は予想。多様な“キャラ”を作り分ける“キャラ”ウェイ。その分、ハマった時のリターンは大きいのだ。
✦取材協力・4Plus Fitting & Golf Salon東宝調布スポーツパーク店
✦https://4plus-golf.com/