手首のコックを使って払い打ちする申ジエさん、一体何調子が合うんですか?【女子プロセットのどこマネる!?】
世界ランキング1位に輝いた実績のある申ジエ(韓国)のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。
配信日時:2024年4月23日 06時00分
世界ランキング1位に輝いた実績のある申ジエ(韓国)のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。
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撮影時はいろいろな新クラブのヘッドを入れて調整中だったとのことですが、参考にすべきはシャフトのチョイスでしょう。ほぼ完璧といえる構成です。ウェッジ以外は手元と先端が硬い中調子を投入しているからこそ、全番手で精度の高いショットが打てるのだと思います。
ジエプロは手首のコックを使ってリリースしながら打つタイプ。早めにコックをほどいて払い打つスイングが特徴ですね。こういったスイングは、中調子が合います。同じコックを使うプロとして不動裕理プロが挙げられますが、彼女はタメが強くて打ち込むスイングなので、同じコックを使うタイプでも、手元調子が合うのです。
女子プロにしては挙動が少なく、かなり硬いシャフトを全体的に使っているのも特徴ですね。コック&リリースを行ってさらっと払い打つタイプが、しなりにくいシャフトを使うと、振り遅れが出にくくなります。しなって動くシャフトだと振り遅れてしまう。シャフトはできるだけ挙動が少なくて、自分のスイングで球を拾ってつかまえたいのですね。
アマチュアがしなりにくいシャフトを使うと、インパクトで手元が浮いて振り遅れやすくなります。左腰が回らないとインパクトで詰まって手元が浮いてしまう。あくまで、コックを使って手元が浮かないインパクトが可能なスイングの人が使えるシャフトだと思います。
一番アマチュアの参考になるのは、アイアンに『TOUR AD-65 TypeII S』のカーボンシャフトを、ウェッジに『N.S.PRO 850GH S』のスチールシャフトを投入している構成です。このシャフト構成はすごくいいチョイス。ゆったり振って狙いたいアプローチでは、重くてしなり戻りが遅いスチールシャフトを使えば、距離感が合いやすいのだと思います。一方、アイアンショットではしなり戻りが速いカーボンシャフトで、楽に球を上げようという意図が見られます。この辺りはアマチュアが取り入れてもいい工夫だと思いますね。
【申ジエのギアセッティング】
1W:キャロウェイ パラダイム◆◆◆(9度/スピーダー569 EVO4 S)
3,5W:テーラーメイド ステルスプラス(15,19度/スピーダーNX 50S)
4,5U:テーラーメイド ステルス2 レスキュー(22,25度/MCH60 S)
6I〜PW:キャロウェイ APEX TCB(2024モデル/Tour AD 65 TypeII S)
50,54,60度:タイトリスト ボーケイ SM10(N.S.PRO 850GH S)
PT:スコッティ・キャメロン ツアーパター スーパーラット II
BALL:タイトリスト PRO V1
※2024年「Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」練習日のセッティング
■申ジエ
しん・じえ/1988年生まれ、韓国出身。米国女子ツアーで通算11勝を挙げて世界ランキング1位にも輝いた実力者。日本ではツアー通算28勝を記録しており、永久シード獲得(30勝)は目前。パリ五輪出場を目指し、今季は海外ツアーを中心に戦っている。スリーボンド所属。
■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている
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女子プロセットのどこマネる⁉【女子プロセッティング解説】