ゴルフの前夜だからといって無理に早寝しなくていい【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
ゴルフ前夜、なかなか寝られず焦ることがある。そんなときは無理に早く寝ようとしなくていいそうだ。「5時間でもいい眠りを取れば問題ありません」と、順天堂大学医学部の小林弘幸教授はいう。就寝前の行動をチェックし、心身ともにリラックスできる睡眠を取ろう。
配信日時:2023年5月3日 22時30分
明日は5時起きでゴルフ。寝坊しないよう早く寝なきゃ――そういうときに限ってなかなか眠れない、という悩みをお聞きします。「食事と入浴を済ませ、10時前に布団に入りました。そのうち眠くなるだろうとスマホでゴルフの動画を見ていたら目が冴えて、結局いつもと同じ12時に。睡眠をたっぷり取らないと18ホールもつか不安……」。
■就寝1時間前にはテレビやスマホを見ない
こういう場合、焦る気持ちは分かりますが、無理して「寝よう、寝よう」とする必要はありません。睡眠時間は長いほどいいというものではなく、少なくとも5時間寝れば一般的なゴルファーならラウンドに支障を来すような影響もないので心配しなくていいでしう。
たとえ5時間でも、よい眠りを得てすっきり起きれば心身の疲れを回復させることができます。それによって自律神経のバランスが整い、翌朝、副交感神経と交感神経とがきれいに入れ替わりますので、むしろ体の動きはよくなってゴルフパフォーマンスも向上するでしょう。
よい眠りを得るための第一歩は、就寝の1時間前以降はテレビやスマホを見ないことです。普段スマホを手にしたまま寝るような習性のある方は、ぜひスマホを枕元から離して布団に入ってみてください。
あおむけの体勢で目を閉じると心身ともに落ち着いてくるでしょう。副交感神経が高まり、自然に眠りへ入っていけるのです。寝坊が心配ならアラームを二つセットしておけば安心です。
■内蔵も脳も休めて、よい眠りを得よう
このように、よい眠りというのは副交感神経がしっかり働き、心身ともにリラックスした睡眠のことである、と私は考えています。脳や内臓を休ませることも必要です。
それには就寝前の行動が重要であり、特に食事や入浴の後は交感神経を刺激しないようゆったり過ごす心がけが大切です。とはいえ、ゴルフのときだけ生活リズムを変えるのは難しいかもしれませんので、できるだけ就寝前の過ごし方をルーティン化するのがお勧めです。
ある程度の時間寝てもすっきり起きられない、朝から疲れを感じるという方は、交感神経が優位になり眠りの浅い状態が続いているのかもしれません。寝る前にパソコン画面を見続けたり、食後まだ十分な時間がたっていないうちに寝たり、スマホを見ながら寝落ちしたりしていないでしょうか。
そうした行動によって睡眠中も内臓や脳は働き続けます。心身は緊張・興奮したまま睡眠の妨げになりやすいので、ご自分でチェックしてください。また、一睡もできないようであれば体への負担も車の運転も大変危険です。ゴルフ面でも疲れてプレーが雑になったり、食後に眠くなって思うようなプレーができなくなったりしますので要注意です。
5時間でも大丈夫。心身ともにリラックスしてよい睡眠を取りましょう。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。