【2023年ゴルフルール改正】複数の規則違反に対する罰の適用が、わかりやすくなった!
誤ってルールを覚えていたり、ミスが重なり焦っていたりすると、起こりやすいルール違反。立て続けに違反をすることは珍しいが、そんな時の罰の適用の仕方が簡潔になった。この記事では、複数の規則違反に対する考え方について解説する。
配信日時:2023年3月20日 09時00分
1.複数の規則違反に対する罰の重課は「介在する出来事」の有無で判断
2023年の改正により、複数の規則違反に対する罰の重課は、複数の規則違反の間に以下の2つの出来事が介在したかによって決定することとなった。
- 【1】ストロークの終了:ショットした。パットした。 など
- 【2】違反に気づいた場合:バンカー内で砂に触れたと気づいた。バンカー内で砂に触れたと指摘された。 など
今までのルールでは、上記に加えて「複数の違反が関連するかどうか」についても決定する必要があり、その場で判断するには複雑だった。そのため今回の改正で簡素化を図ったのだ。
2.想定される「複数の規則違反」の3つのケース
実際に罰がどのように課されるのか、基本の2ケースに加え、例外のケースについて紹介する。
- ケース1|「介在する出来事」までに複数の違反をした
- ケース2|「介在する出来事」の前後で複数の違反をした
- 例外のケース|動かされたボールをリプレースしなかった
ケース1|「介在する出来事」までに複数の違反をした
「介在する出来事」までに複数の違反をした場合、1つの罰だけを受けることになる。異なる違反をしている場合は、重い罰が適用される。
例えば、バンカー内でショット前にクラブが砂に触れてはいけないと知らず、2回砂に触れながら素振りしてからバンカーショットしたとしよう。ちなみに、ショット前にバンカーに触れると「12.2b バンカーの砂に触れることに関する制限」が適用され、2打の罰が課される。
この場合、違反に誰も気づいていないため、「介在する出来事」に該当するのはバンカーショットが終わったこととなる。バンカーショット以前に何度砂に触れていようが2打の罰のみが課されるのだ。
ケース2|「介在する出来事」の前後で複数の違反をした
介在する出来事の前後でそれぞれ違反した場合、各違反に対して別に罰打が課される。
例えば、バンカー内でショット前にクラブが砂に触れてはいけないと知らず、バンカー内で砂に触れながら2回素振りをし、バンカーショット。ボールがバンカーから出ず、もう一度砂に触れながら素振りした上でバンカーショットしたとしよう。
この場合、「介在する出来事」は1回目のバンカーショットが終わったこと。この前後で起きた違反についてそれぞれ考えるのだ。
「介在する出来事」以前は、ケース1の考え方が適用され、何度砂に触れていようが1つの罰として扱われる。そして、「介在する出来事」以降の違反は1つだけなので、前後それぞれで2打の罰となり、合計4打の罰が課される。
例外のケース|動かされたボールをリプレースしなかった
「介在する出来事」があったとしても、前後の罰が重課されない例外がある。動かしたボールのリプレースを求められているにもかかわらず、そのままプレーしたケースだ。この場合「規則14.7 誤所からプレーすること」の罰のみが適用されることと定められている。
ここでポイントとなるのは「リプレースを求められている」こと。求められている=違反に気づいていることになるため、「介在する出来事」に該当する。
つまり、本来であれば違反に気づく前の時点の「9.4b 球を拾い上げること、故意に球に触れること、球を動かす原因となったことに対する罰」と、「規則14.7 誤所からプレーすること」が重課されるはずだ。しかし、この場合では例外として後者のみが適用され、2打の罰が課されるルールとなっている。
3.まとめ
2023年より、複数の規則違反に対する罰の重課は、介在する出来事の有無で決定することとなった。介在する出来事の前のみに複数の違反があった場合は、違反の数がいくつあっても1つだけの罰として扱われる。一方で、介在する出来事の前後で複数の違反があると、重課されてしまう。
なかなか違反を重ねるケースはないかもしれないが、競技に出る方は押さえておきたい変更点だ。詳細は日本ゴルフ協会の公式サイトに掲載されている『2023ゴルフ規則』で確認可能だ。